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「もう、無理」と自分の命を捨てる前に、自分以外のものを全部捨てて逃げる【著者インタビュー】

  • 2026.4.4

【漫画】本編を読む

漫画家・叶輝(かのうあきら)さんと、うつ病により休職を繰り返していた朝待夜駆(あさまちよかけ)さん。二人のもとにたびたび足を運んでいた地域猫はある日、病気で瀕死の子猫を連れてくる。「朔太郎」と名付けられた子猫は、深刻な病気を患っていた。二人は朔太郎に寄り添いながら、日々を重ねていく……。

エッセイ漫画『スローステップ朔太郎』(叶輝:漫画、朝待夜駆:脚本/KADOKAWA)は、命と希望のリレーを描いた作品だ。2025年春に上下巻で発売された本作は、仕事の悩み、病気との向き合い方、経済的な不安など、多様な困難を抱える読者から共感を呼んでいる。

それぞれが抱える困難の中で見えてきた「支え合うこと」の新しい形とは? 実話をもとに、ユーモアと愛情で表現した本作の制作背景を、作画担当の叶輝さんと、脚本を手がけた朝待夜駆さんに伺った。

――朔太郎を保護したものの、朔太郎が猫エイズに感染していることが発覚します。ショックを受けるお二人でしたが、懸命に、少しずつ前に進む朔太郎を見て朝待先生が、うつ病で休職している状況に焦りながらも「立ち止まるのも悪くない」と受け入れるシーンが印象的でした。これに絡んで、今、立ち止まっていることに焦っている方々へ、メッセージをいただきたいです。

朝待夜駆さん(以下、朝待):私が言えることは一つ。今、わかることって、あまりないんです。後になってから「そうか……あのとき」と理解できるようになる。振り返って立ち止まった未来で、「意味」が必ず回収できると思います。人は、物語を生きる生き物ですから。

叶輝さん:浮かんでくる考えを止めるのはなかなか難しいと思いますが、良くも悪くもすべての事柄は変化します。さらに、最悪になる未来も、最良になる未来も存在すると思います。

でも、その未来も、ちょっとした選択次第でどんどん変化します。窓を開けて外の空気を吸ってみる、いつもと違う道を歩いてみる、食欲がなくてもご飯を食べる、知らない味を試してみる、小さなことから選択して、心地良いもの・場所・人、楽しいと思えるものを少しずつでも増やしてほしい。思い切って生きる場所、仕事、人間関係をガラッと変えてみたって、相当やばいことを選ばない限り、死にません。

もしもあなたを責める人、否定する人がいるなら、その人は今のあなたに必要ない人なので気にしなくて大丈夫です。捨ててもいいと思います。

今の状況が辛くても、未来の自分のためにできることを積み重ねれば、未来の自分は今よりちょっと幸せになっているかもしれません。けど、他責はしすぎないほうがいいです。自分と向き合えなくなっちゃいます。

あと、「よし、死ぬか」と考えている人は、自分の命を捨てる前に、自分以外のものを全部捨てて逃げちゃうのもアリだと、個人的には思います! な〜んか楽しそうなことをしてからでも、きっと死ぬのは遅くないでしょうから。幸せになってください。

――環境によって「命」の行方が変わることを考えさせられる作品でした。愛犬や愛猫との日々を過ごす中で、「これで良かったのかな」と悩んでいる方々に、どんな言葉をかけてあげたいですか?

朝待:存分に悩んであげたらいいんじゃないかと思います。なんだろう……かわいがっていた犬や猫に対して悩んでいるそのとき、自分の心の中に犬・猫がいるわけじゃないですか。それが過去のものだとしても今のものだとしても、自分のために気持ちをつかってくれているということ自体が、犬・猫たちにとって嬉しいんじゃないかなと思います。

取材・文=松本紋芽

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