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キャプテン交代の『国民的美少女グループ』最新シングル“収録曲”を手掛けた【意外すぎる人物】とは

  • 2026.5.28

赤えんぴつが乃木坂46に楽曲を提供する。最初にその知らせを見たとき、多くの人が少し驚いたはずだ。バナナマンの設楽統演じるおーちゃんと、日村勇紀演じるひーとんによるフォークデュオが、乃木坂46の41stシングル『最後に階段を駆け上がったのはいつだ?』収録曲「君ばかり」を手がけたというのだから。けれど、実際に曲を聴いてみると、意外性より先に胸に残るものがある。そこにあったのは、ただ話題を呼ぶための企画感ではなく、誰かを好きだった時間のぬくもりと、その時間をあとから思い返すときの切なさをそっとすくい上げた、やさしいラブソングだった。

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【プロ野球ロッテ対西武】試合前にスペシャルライブで曲を披露する乃木坂野球部=ZOZOマリンスタジアム(撮影・田村亮介) (C)SANKEI

“好きだった時間”をたどる歌詞と、素朴なメロディ

歌詞は、四月の出会いから始まる。五月、六月と相手を目で追う時間が続き、夏が近づくころには、その思いがはっきり恋だとわかってくる。サビの〈どこにいても 君の事ばかり〉というフレーズは、そんな気持ちをそのまま言葉にしたものだろう。そして「君ばかり」は、そのまっすぐな恋心に、過ぎた時間を振り返る感情も重ねていく。曲の後半には、楽しかった時間を思い返すような空気が流れ、最後には「好きだった」という気持ちがじんわりと余韻として残る。恋をしている最中の高まりと、その時間をあとから思い返したときに胸に残る気持ち。その両方を描いているところに、この曲のよさがある。

ここで印象に残るのが、赤えんぴつらしいフォークソング調のメロディだ。親しみやすく素朴な旋律に乗ることで、“好きだ”という言葉がすっと入ってくる。大げさに盛り上げなくても、恋のぬくもりや切なさがちゃんと伝わってくるのは、このメロディの力も大きい。派手なアレンジで感情を煽るのではなく、口ずさめるような自然さの中で、思いがじわじわと広がっていく。そのやわらかな響きは、乃木坂46の歌声ともよく合っている。

“今はもう会えない君”を、写真と記憶で見せるMV

MVも、「君ばかり」の切なさをよく映している。描かれているのは、“今はもう会えない誰か”との思い出だ。メンバーはそれぞれ歌詞の世界に沿った“君”を演じていて、ひとつの物語がまっすぐ進んでいくというより、誰かを思い出したときに浮かぶ場面が少しずつ並んでいくような作りになっている。コインランドリーのシーンや、赤えんぴつの2人、遠藤さくらと口笛を練習する場面も、そのひとつだろう。MVにあるのは、恋をしている最中の熱さというより、過ぎた時間を思い返すときのやわらかな切なさである。

なかでも印象的なのは、ラストの<何年経っても 思うんだー>に重なる梅澤美波の横顔と、そのあいだに差し込まれる写真の場面である。梅澤が参加する最後のシングルという背景もあって、このシーンは恋の記憶だけでなく、一緒に過ごした時間そのものの大切さまで感じさせる。好きだった相手を思う歌であると同時に、戻ることのできない時間を見つめる歌としても響くところに、「君ばかり」の余韻の深さがある。聴き終えたあとに心に残るのは、恋心だけではなく、誰かと過ごした時間への愛着なのだと思う。

この曲の背景には、乃木坂46とバナナマンが長い時間をかけて築いてきた関係がある。そのことを踏まえると、「君ばかり」に込められた思いも、より伝わってくる。『乃木坂って、どこ?』の頃からグループを見守り、『乃木坂工事中』でも“公式お兄ちゃん”として並走してきた2人だからこそ、この曲に流れるやさしさや親しさにも自然と説得力が生まれている。もっとも、「君ばかり」を印象に残る一曲にしているのは、そうした背景だけではなく、歌詞、メロディ、MVがそれぞれきちんと心に残る力を持っているからだろう。

意外な組み合わせに引かれて耳を傾けた人も多かったはずだ。けれど、聴き終えたあとに心に残るのは、好きだった時間のあたたかさと、もう戻れないことを知っているからこその切なさである。「君ばかり」は、その感情を素朴なフォークソングの響きに乗せて、まっすぐ届けてくる。だからこそこの曲は、話題性とともに消えていく一曲ではなく、聴いた人の記憶に残り続ける楽曲になっている。


※記事は執筆時点の情報です。

ライター:川崎龍也
大学卒業後にフリーランスとして独立。現在はアイドル雑誌を中心に、取材・インタビュー/コラム執筆を主軸に活動している。主な執筆媒体は『BOMB』『MARQUEE』『EX大衆』『音楽ナタリー』『RealSound』など。
X(旧Twitter):@ryuya_s04

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