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貴重書に立ち飲み、オリジナル商品まで。店主のこだわりが詰まった京都の書店6選

  • 2026.4.1

中心部だけでなく、少し外れたエリアにも個性ある書店がいくつも見られる京都では、当たり前のように本が日常に根づいている。新刊から古本まで、店主たちが自由に集めた本棚には、思いがけない出会いが待ち受ける。

photo: Shoko Hara / text: Atsushi Takeuchi

京都〈余波舎〉店内、〈古書善行堂〉店内、〈ba hutte.〉店内、〈MEDIA SHOP〉店内、〈午睡書架〉店内、〈余波舎〉店内
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余波舎(鞍馬口)

西陣界隈の町家の2階、新刊と古本が同じ扱いで並ぶ

レジの上にロフトスペースも見られるほど天井高のある〈余波舎〉は、本棚を奥の壁際にまとめて抜けのいい書店空間を実現。特徴的なのは、長い本棚のちょうど中央に置かれた、“←古本、新本→”という表記。新刊と古本がまさに半々の品揃えになっていて、しかも、一見そのことに気づかないくらいに古本の状態がいいのだ。

「古本といっても自分で一冊ずつ選んでいる本も多くて、新刊を仕入れるのと同じような感覚でやってるかも。流行りを気にしすぎず、自分がピンとくるものに素直に、です」と店主の涌上昌輝さん。店内のいくつかのスペースではポップアップが同時進行。書籍だけでなく、ZINEや雑貨にも焦点を当てて店の広がりを生んでいる。

京都〈余波舎〉店内
小さな個人商店が立ち並ぶ大宮寺之内エリアの、かつて名喫茶〈西陣ほんやら洞〉が営業していた町家の2階で2024年に開業。
京都〈余波舎〉本棚
本棚に貼られた小さな掲示が新刊と古本の境目。新刊と古本が同じように扱われている。

Information

京都〈余波舎〉外観
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余波舎

1階で営業するイタリアンのドリンクメニューをオーダーして、ゆっくり本を選ぶこともできる。

なごろしゃ
住所:京都市上京区前之町443 2F
TEL:なし
営:12時~19時
休:月曜・火曜
Instagram:@nagorobooks

ba hutte.(修学院)

古本と立ち飲み、そのいいとこどりで楽しめる

通りに面して間口が約18m、一方で奥行きは数mという特徴的な敷地に、気鋭の建築家による設計で、建築好きの海外旅行者も訪れる〈ba hutte.〉。

店の隅に併設された立ち飲みスタンドはいつも賑わっているが、常連客も旅行者も分け隔てなく接する店主の清野郁美さんの客あしらいのよさもあって、程よい喧騒が店内を満たして、書店利用だけでも居心地はいい。

田中小実昌、植草甚一といった特定の作家の名前が目につく本棚はダブりの古本も多く、「家に売るほど本があるから売るというスタンスなので、私と旦那が好きな作家の本しかなくて。本って名刺代わりにもなるからいいんですよ」。古本と立ち飲み、どちらの入口から入っても楽しめる。

京都〈ba hutte.〉店内
古本が中心だが、自主流通本を中心に新刊本もちらほら。オリジナルのTシャツや手ぬぐいをはじめ、雑貨類も販売。
京都〈ba hutte.〉平台
古本では珍しい、ダブりの古本を積み上げた平台。店主の好みがはっきりと伝わってくる。

Information

京都〈ba hutte.〉外観
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ba hutte.

広い間口を全面ガラス張りにした開放感のある建物は、京都の木村松本建築設計事務所の設計。

バヒュッテ
住所:京都市左京区山端壱町田町38
TEL:なし
営:14時過ぎ〜20時頃
休:火曜・水曜、不定休
Instagram:@ba_hutte

午睡書架(北白川)

高価な美術本や貴重書は選書室でじっくり吟味を

2025年7月に現在地へ移転オープンを果たしたばかりの〈午睡書架〉。ビロードのカーテンを閉じて一人きりになれる、試着室ならぬ選書室を設けているのが何ともユニーク。

「特装本や装丁にこだわった美術書なども多くて、立ち読みでは決してその良さはわからないので。しっかり本と向き合って選んでもらいたくて」。そう話す店主の廣瀬純和さんは〈アスタルテ書房〉で店を手伝っていた経験もあり、コレクターズアイテムになっている国内外の幻想文学関連の貴重書なども扱っている。

決して広くはない店内だが大きなソファを置いて、壁面の一角では企画展示も定期的に開催。一冊の本と出会う時間を贅沢なものへと演出している。

京都〈午睡書架〉店内
貴重書へのダメージを最小限にするためにも店内は土足厳禁。
シュルレアリスムの専門誌『SIESTE』
異端・シュルレアリスムの専門誌『SIESTE』も店から刊行。25年11月には第4号を発売予定。

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京都〈午睡書架〉入口
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午睡書架

開業は2021年。25年、北白川のビル内へと移転を果たした。ビルの隣室には〈シスターフッド書店Kanin〉が入居している。

ごすいしょか
住所:京都市左京区北白川堂ノ前町1 デュ北白川106号
TEL:080-4015-2016
営:12時~19時
休:火曜・水曜
Instagram:@gosuishoka

古書善行堂(北白川)

文学と古本好きの店主が山ほどの蔵書とともに待つ

本棚の上にも前にも、倉庫にしている2階への階段にまで本が積み上がる店内、「もう片づけなあかんなとは毎日思ってるよ。けど……」という話の続きは、とにかく店主の山本善行さんが古本好きゆえ。整理が追いつかないほどに買い付けてしまうのだ。

本が溢れ返るその見た目から古本好きの巣窟⁉と敬遠されるかもしれないが、「ボクは話し好きやから。ただ売ったり買ったりやなくて、本を介していろいろやりとりできるのがこの商売のいいところ」と言う山本さんの人柄は、古本ビギナーにとっても絶好の導き手。

文学にまつわる豊富な知識を基に、本のことならたちどころに応えてくれるので、安心して古本の海にどっぷり身を任せることができる。

京都〈古書善行堂〉店内
店内BGMは主にレコードで、中古レコードの販売も行っている。
京都〈古書善行堂〉本棚
山本さんが編者を務めた夏葉社や中公文庫の本に、持ち込まれた日記ZINEなども販売。

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京都〈古書善行堂〉外観
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古書善行堂

古書好きで、“古本ソムリエ”としても活動していた山本善行さんが2009年に開業。山本さんを目当てに京都旅のついでに全国から訪ねてくる人も少なくない。

こしょぜんこうどう
住所:京都市左京区浄土寺西田町82-2
TEL:075-771-0061
営:12時~19時
休:火曜

MEDIA SHOP(三条)

本とアートが自然に共存する繁華街の知の拠点

河原町三条の繁華な一角で1981年から続く書店&ギャラリーが、2024年から同じビル内で部屋を移って雰囲気を一新。前に入居していたアパレルショップの什器(じゅうき)などもうまく活用して、店頭ではウィンドウギャラリーも開始。

店内に目を向けてみても、大きな平台の下に鉄の造形作品がなにげなく置かれていたりして、本とアートが自然と共存しているのに気づかされる。本のラインナップは、アート、デザイン、建築にまつわる和洋書を中心に、ガラスケース内には図録や美術書の貴重な古書も。

「本を介して人と人が出会う場である。その考えはずっと変わっていません」と齋藤孝司店長。メディアが離合集散する場としての店の可能性を今も追求している。

京都〈MEDIA SHOP〉店内
2024年の店舗改修を担当したのは、リートフェルト研究家でデザイナーの佐々木一泰。
京都〈MEDIA SHOP〉平台
国内外の大手出版社、独立系出版社、個人出版の刊行物が並ぶ、建築本を集めた平台。

Information

京都〈MEDIA SHOP〉外観
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MEDIA SHOP

アート・建築系学生の御用達書店としても知られ、同じビル内でレンタルギャラリーの運営も。

メディアショップ
住所:京都市中京区河原町三条下ル大黒町 44VOXビル1F
TEL:075-255-0783
営:12時~20時
休:無休
Instagram:@mediashop_plants

鴨葱書店(京都駅)

本を読むことの喜びを柔らかく分かち合う書店

東京・三鷹の書店〈UNITÉ〉店主としても知られる大森皓太さんが、京都駅から徒歩圏内の路地に2024年開店。古民家の雰囲気を生かしたまま改修した店内は、平置きした本の間にも隙間をキープするなど、書店特有の圧迫感を感じさせない配慮が行き届いている。

それでいて各ジャンルの注目本が目配りよく揃い、欲しかった本が次々と目につくのが不思議。今でも日々の書店巡りを欠かさないという大森さんの本への関心の深さが、棚のラインナップにも反映されているのだ。

今後、ますます観光地化が進むエリアだが、「本を読むことを日常的な営みと捉えず、旅先だからこそ手に取りたくなる本もあるはず」と、この場所ならではの本棚が期待される。

京都〈鴨葱書店〉店内
本の書き手や学者、研究者らを招いたトークなども実施。
京都〈鴨葱書店〉店内
土壁に包まれる静かな空間に、オリジナルおみくじなどの遊び心ある仕掛けもいろいろ。

Information

京都〈鴨葱書店〉外観
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鴨葱書店

築100年という物件ながらコンクリート打ち放しのシャープな外観、程よくほどけた店名……と硬軟のバランス感覚も絶妙。

かもねぎしょてん
住所:京都市南区東九条東岩本町11-4
TEL:なし
営:11時~19時
休:月曜(祝日の場合は翌日休)
Instagram:@kamonegi_kyoto

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