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大阪のど真ん中「船場」でひな祭りを堪能&老舗の和菓子店と結納品店【上研・Wあさこのおいしい社会科見学vol.13】

  • 2026.3.7

お料理教室&上方食文化研究會(上研)を通じて上方の家庭の味を伝える日本料理家・吉田麻子先生と、奈良在住の編集者・ふなつあさこの“Wあさこ”がお届けする、上方(関西)の食にまつわる大人の社会科見学。

今回は、豊臣秀吉が大坂城を築いて以降、「天下の台所」として栄えた大阪の心臓部、船場(せんば)へ! 年2回開かれている「船場博覧会」の春のイベント「船場のひなめぐり - 春の船場博覧会2026」に参加してきました。

お雛さまを愛でながら、歴史的建造物や史跡、モダン建築が点在する北船場の老舗和菓子店「菊壽堂義信 (きくじゅどうよしのぶ)」と結納品店「澁谷利兵衞商店(しぶたにりへえしょうてん)」もご紹介します。

上方文化の発信地・船場でお雛さまめぐり

「上方文化って、京都だけやなくて大阪も発信地やねん。とくに食文化は、まず食材が港のある大阪に集まっていたし。大阪の中でも一番の中心地っていうたら船場やと思うわ」と麻子先生。

そんな船場文化を気軽に楽しめるのが、春(2月下旬〜3月初旬)、秋(11月下旬)の年2回開催されている船場博覧会。春には、「船場のひなめぐり」と題してエリア内各所でお雛さまが公開されています。今年は3月3日(火)まで開催されました。

登録有形文化財・伏見ビルに飾られていたのは、「赤玉フトン袋」で知られる現・赤玉株式会社の創業家である三原家のお雛さま。関西では、御所の儀式にならって紫宸殿(ししんでん)を背にして左側に男雛を飾るのが通例です。

大阪証券取引所ビルの1階アトリウムには、延宝3年(1675)創業の豊田糸店(現・豊田産業)の創業家、豊田家のお雛さまが飾られていました。こちらは、昭和7年(1932)に当時の当主が長女の誕生を祝ってあつらえたもの。

船場博覧会の楽しみのひとつは、会期中にさまざまなイベントが開催されていること!

当日参加が可能だった「茶室の大坂雛を観ながら出来たて和菓子とお抹茶」に参加してきました。お菓子は、ご近所の老舗和菓子店、菊壽堂義信のひなまつりのお菓子「いただき」です。

街中のビルの2階ににこんな立派なお茶室があるなんて! ここはもともと、茶道・藪内(やぶのうち)流のお稽古場だったそうで、そのルーツを大切にしようとお茶室を設えたのだそう。

ちなみに1階には以前ご紹介した「日本料理 栫山(かこいやま)」さんのお店があります。昨年のミシュランガイド 日本で一つ星を獲得しはりました!

江戸時代の船場・道修町(どしょうまち)は、薬種問屋が軒を連ね、今でも多くの製薬会社の本社があります。

薬種中買仲間会所の書記を務めていた別所家のお雛さまは、明治末頃に別所家に嫁いだ茶道具商のお嬢さんの花嫁道具だそう。

そんな道修町に鎮座する薬の神様を祀った古社「少彦名神社(すくなひこなじんじゃ)」は、「神農(しんのう)さん」の愛称で親しまれています。

例大祭が行われる11月下旬には、秋の船場博覧会が開催されます。開催概要や各種イベントなどの詳細は、船場博覧会の公式サイト「船場navi」でチェックしてください!

船場が誇る和菓子店、菊壽堂義信のお菓子作りワークショップにトライ!

麻子先生も大好きという船場の和菓子店・菊壽堂義信は、残っている記録では天保年間(1830~1844)、実際は江戸時代初めに創業したという老舗。

名物のひとつが、独特のフォルムが印象的な「高麗餅」です。

店舗には看板も暖簾も出ていませんが、お菓子があれば店内でのイートインが可能。夏には「氷ぜんざい」や「氷しるこ」、「宇治金時」が登場します。

持ち帰りのお菓子は、予約がおすすめです。

こちらも名物のひとつ「梅干し」。梅干しをかたどった白あんを求肥(ぎゅうひ)で包み、赤い羊羹生地にくぐらせたお菓子です。

パッケージは木樽なので、贈り物にしたら話題になること間違いなしです。

そんな菊壽堂義信さんのお菓子作りワークショップが船場博覧会のイベントで開催されました。聞けば、あっという間に満員御礼となったそうですが、運よく参加が叶いました〜!

レクチャーしてくださったのは、17代目となる現店主の久保昌也さん。

粒あんを丸めたものをグリーンのきんとんで包み、黄色いきんとんをあしらい「菜の花のきんとん」の完成。

きんとんに使われている白あんは、手ぼう豆ではなく希少な白小豆(しろしょうず)で作られていて、食べてみると全然味が違います。豆くささがほとんどなく、上品な味わいです。

さらに、3色の高麗餅作りにもトライ。

求肥にあんを巻き付けるようにしてギュッと握るだけなのですが、簡単なようでどうしてもあんから求肥が飛び出してしまい、結局指でならしてごまかしました。

菊壽堂義信のあんは、今でも銅のさわり鍋で一日一升しか炊かないそうで、やや水気が多いのが特徴。

小豆を潰す以外の工程は全て手作業で作られたあんは、鮮度第一。出来たてを味わうのが一番おいしいです!

船場の華やかな婚礼文化を今に伝える澁谷利兵衞商店

菊壽堂義信のワークショップの会場となったのは、結納関連用品の老舗・澁谷利兵衞商店。映画やドラマの結納シーンなど時代考証を手がけることもあるのだそう。

立派な金封(のし袋)が並んでいます。贈る金額に合わせた金封の選び方などを教えていただけるほか、文字入れもお願いできます。

創業は享保9年(1724)。明治15年(1882)に刊行された大阪のガイドブック『浪華の魁(なにわのさきがけ)』にも「鰹乃し蝋燭(かつお、のし、ろうそく)」の名店として紹介されています。

婚礼用だけでなく、自宅で気軽に使える鰹節も販売されていました! 手軽なだしパックも。

お店の近くにある「高麗橋」は、江戸(東京)の日本橋と対をなす、東海道の西の終点。

東海道というと浮世絵などの影響で京都までの五十三次(53箇所の宿場町)のイメージが強いですが、本来は京都からの4つの宿を加えた五十七次あるんです。

現在の高麗橋の橋名板は、9代目となる現当主・渋谷善雄さんが揮毫したもの。

せっかくなので、高麗橋にも立ち寄りました。

大阪は「水都(すいと)」と呼ばれるほど水運を活用して発展した街。網の目のように堀川がめぐらされ、幕末には200ほどの橋があったようです。
戦後になって堀川の埋め立てが進み、高麗橋のかかる大阪市内最古の堀川・東横堀川や道頓堀川などが残るのみとなりました。

「ここ(船場)で商売するということは、一流の証」と渋谷さんが語ってはった通り、各所に残されている立派なお雛さまからも、その繁栄を窺い知ることができました。

この記事を書いた人

編集者 ふなつあさこ

ふなつあさこ

生まれも育ちも東京ながら、幼少の頃より関西(とくに奈良)に憧れ、奈良女子大学に進学。卒業後、宝島社にて編集職に就き『LOVE! 京都』はじめ関西ブランドのムックなどを手がける。2022年、結婚を機に奈良へ“Nターン”。現在はフリーランスの編集者として奈良と東京を行き来しながら働きつつ、ほんのり梵妻業もこなす日々。

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