1. トップ
  2. 恋愛
  3. 花粉症の治療「舌下免疫療法」って知ってる?わしお耳鼻咽喉科院長鷲尾先生にお伺いしました

花粉症の治療「舌下免疫療法」って知ってる?わしお耳鼻咽喉科院長鷲尾先生にお伺いしました

  • 2026.3.6

最近周りで増えてきた花粉症治療「舌下免疫療法」ってどんな治療なの?期間や向いている人、向いていない人とかあったりする?そんな疑問について、わしお耳鼻咽喉科院長の鷲尾有司先生にお答えいただきました。

ママ広場

花粉症の治療はどんなのがあるの?

春につらい時期が毎年来てしまうのが花粉症。年々、花粉症の低年齢化も進んでいます。また、お子さんの場合、大人に比べて長い年数のつらい時期を繰り返してしまいます。では、国民病ともいわれる花粉症にどんな治療法があるか知っていますか?

鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版(第10版)~通年性鼻炎と花粉症~では第2世代抗ヒスタミン薬などの内服薬、点鼻ステロイド薬を中心に行う薬物治療、レーザー治療などの手術による外科的治療に加えて、アレルゲン免疫療法の3つの治療法が主にスギ花粉症の治療として推奨されています。

アレルゲン免疫療法は最新の治療法?

アレルゲン免疫療法には2種類あって、皮下免疫療法と舌下免疫療法があります。
2種類の違いはアレルギーの原因物質であるアレルゲン(抗原)の投与方法の違いです。皮下免疫療法は皮下すなわち注射によってアレルゲンを投与する方法、舌下免疫療法は舌の裏(舌下)から抗原を吸収させる方法です。免疫療法の歴史で、皮下免疫療法の方が実は古くからある治療法なのです。世界では100年以上前から報告のある治療法で、日本でも、当時は減感作療法といわれ、60年ぐらい前より行われていました。

一方、舌下免疫療法が行われるようになったのが世界では40年ぐらい前になります。日本では、遅れること30年、2014年よりスギの舌下免疫療法がスタートしました。そして今ではダニアレルギーとスギ花粉症に対して健康保険適応が認められています。

アレルゲン免疫療法とはどんな治療法?

症状緩和を目的とする他の治療法と異なり、アレルゲン免疫療法は、体質そのものを改善することを目標にした唯一の治療となります。アレルゲン特異的免疫療法ともいわれ、スギ花粉症であれば、スギ花粉のみ(特異的に)をターゲットにした治療です。

アレルゲンを体内に少しずつ入れていってアレルギー反応を起こさない、または起こしにくい体にしていきます。体内に入れる方法に皮下免疫療法(皮下法)と舌下免疫療法(舌下法)の2種類があります。どちらも強いアレルギー反応が起こらないように注意しながら、年単位で継続が必要な治療です。

花粉症なら誰でもアレルゲン免疫療法が出来るの?

一番のポイントは正しくアレルギーの診断がついていることが必要となります。自己申告の花粉症や「花粉症っぽいですね」とか「花粉症かも」といった診断では適応となりません。専門医のもとで正しくスギ花粉症、またはダニアレルギーと診断された方のみが適応になります。

また、5歳以上であれば適応になります。しかし、正確な診断に血液検査が必要であること、皮下免疫療法は注射であること、舌下免疫療法でも飲み忘れが多いと十分な効果が得られにくいこと、などを考慮すると、実際の医療現場では小学校入学後からの治療開始が多いです。

ママ広場

アレルゲン免疫療法はどんな効果が期待できるの?

◎治癒または長期寛解(長く良い状態が続くこと)が期待できる
◎他の花粉症など、さらなるアレルギー獲得の可能性を下げる効果
◎気管支ぜんそくなど、他のアレルギーへの進展を予防する効果

アレルゲン免疫療法は、単に花粉症に効く以外に、治療終了後にも効果が持続することを目標にした治療です。その効果が一生続けば、治癒といった状態になります。一生でなくても効果の持続が年単位で期待できるのがアレルゲン免疫療法です。そのためには少なくても3~5年といった時間をかける必要があります。

昔はスギ花粉症だけだった人がカモガヤなどのイネ科花粉症やブタクサなどのキク科花粉症も増えてしまったという話はよく聞きますよね。実はアレルゲン免疫療法にはそういったアレルゲンの種類が増えてしまうのを抑制する効果が報告されています。

さらに花粉症のほかに気管支ぜんそくなど、アレルギーマーチと言われる他のアレルギー疾患に進展することを抑制する効果も期待できるのです。
また、皮下免疫療法と舌下免疫療法の効果を比べると皮下免疫療法の方が高いといわれています。

アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)はどんな人に向いている?

5歳以上で花粉症の根治を目指している人は全員対象となります。ガイドラインでは重症度を軽症から最重症の4段階に分けていますが、重症や最重症の人だけでなく、症状が軽い人でも対象になります。

医療現場の実際では、お子さんの将来のことを考えての人や今までの治療では効果がなかった人が多く希望されています。また、花粉症を含めたアレルギー疾患は家族で共有することが多いので、ご家族みんなで通院している方も多いです。特に花粉症だけでなくダニアレルギーのある人は1年を通して通院・投薬されていますので良い適応になります。
治療中の方が妊娠された場合でも基本的に継続治療が可能です。ただし、妊娠中の方が新たに始めることはできません。妊娠中の投薬は難しいかもしれないので、妊娠を希望されている方も選択肢の一つになります。

アレルゲン免疫療法の弱点は?

●アナフィラキシーのリスクがある
●即効性がなく、継続的な治療が必要
●治療できる医療機関が限られている

アレルゲン免疫療法はアレルギーの原因物質であるアレルゲンを投与する治療法です。この治療法は必ずアナフィラキシーといわれる強いアレルギー反応に注意して行うことになります。しかし、これは抗生物質や鎮痛解熱剤などでも共通していえることで、注意しながら行っているアレルゲン免疫療法の方がむしろ対応しやすいといえるかもしれません。原因がクリアになっている分、専門医のもとで十分な管理下で行えば、安全性の高い治療法とも言えます。さらに、皮下免疫療法に比べて舌下免疫療法の方が強いアレルギー反応の確率は低いため自宅でもできる治療となります。

残念ながらアレルゲン免疫療法に即効性はありません。効果を実感するには早くても月単位の経過が必要になります。通常の場合、少なくても3~5年の継続的な治療が必要です。3~5年しないと効果が出ないということではなく、全員ではありませんが、早ければ翌年の春から効果が実感できるでしょう。再発の可能性を下げるために、治療効果が長く続くために、効果発現後も年単位の継続が推奨されます。

国民病ともいわれる花粉症の患者数に対して、アレルゲン免疫療法を行っている医療機関が限られていることも弱点になっています。特に皮下免疫療法を行っている施設はかなり限られています。そのため転居や転勤などの影響で継続したくてもできないケースが出てしまいます。そのあたりも考慮して、治療の開始タイミングや治療法の選択を行いましょう。

花粉症は毎年つらい病気ですが、実はいろいろな治療の選択肢があります。
その中でも舌下免疫療法を含めたアレルゲン免疫療法は時間がかかりますが、体質改善を目標として将来を見据えた治療法の一つです。現在と将来の両方を考えて、治療の選択・組み合わせをする必要があります。特にお子さんの場合は年齢や症状、ご家庭の状況に合わせて、専門医と相談しながら選択していきましょう。

執筆者

プロフィールイメージ
鷲尾有司
鷲尾有司

耳鼻咽喉科専門医・アレルギー専門医
兵庫県西宮市「わしお耳鼻咽喉科」院長

耳鼻咽喉科疾患はもちろん、花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー関連疾患を総合的にアレルギーに診療している。また、薬物療法だけでなく、レーザー治療、免疫療法(皮下法、舌下法)、生活指導やセルフケア指導も行っています。

わしお耳鼻咽喉科

元記事で読む
の記事をもっとみる