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保護者「仲の良い子はあえて離す?」元小学校教諭が語る、意外と知らない"クラス替えの裏側"

  • 2026.4.17
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

毎年春になると多くの保護者がやきもきする「クラス替え」。新しい担任の先生や、どんなお友達と同じクラスになるのか、子どもにとっても親にとっても不安と期待が入り混じる時期です。「仲の良い子と離されてしまった」「事前の希望が反映されていなかった」など、クラス編成の結果に対して疑問や戸惑いを感じた経験を持つ方も多いのではないでしょうか。

学校は一体どのような基準でクラスを決めているのでしょうか。そして、もし子どもにとって配慮が必要な場合、学校へはどのように相談すればよいのでしょうか。

小学校教諭として10年以上の経験を持つ風間千歌さんに、クラス編成の現場で行われている調整のプロセスと、保護者が知っておくべき「相談のコツ」についてお話を伺いました。

クラス替えはこう決まる!学校側が重視する「4つのポイント」

---学校では、具体的にどのような基準でクラス編成を行っているのでしょうか?

風間千歌さん:

「クラス替えで最も大切にしている考え方は、『子ども一人ひとりが安心して学べる最善の環境をつくること』です。とはいえ、公立小学校には様々な個性や背景をもつ子がいますから、『トラブルが起こらない完ぺきな環境』を作ることは不可能です。それでも、よりよい環境を目指して、教員同士で何度も話し合いながら調整していきます。具体的な調整のポイントは、①学力②人間関係③リーダー性④特別な支援を要する子どもについてです。

①学力は、各クラスの学力のバランスが均等になるよう、学力テストの結果などの、客観的な学力が分かるものを指標に振り分けます。

②人間関係は、過去に深刻なトラブルがあった子ども同士や、一緒にいると常にもめごとになってしまう子どもは離すことが多いです。保護者から『○○さんとは離してください』と言われることもあります。その場合は、約束はできませんが、と伝えるもののほとんどの場合離すことになります。担任の方でもやはりトラブルは避けたいからです。

③リーダー性についてですが、行事等の際にリーダーシップや積極性のある子がいてくれると学級運営がしやすくなるので、各学級にリーダー性のある子を配置するようにします。

④特別な支援を要する子どもについては、発達的な特性や、授業中立ち歩いてしまう、衝動的な行動が見られるなどの行動面で困難を抱えている場合、やはり一つのクラスに偏りがないように振り分けることが多いです。」

「仲の良い子」はあえて離す?保護者の要望はどこまで通るのか

---よく耳にする「仲が良い子同士は引き離される」という噂は本当でしょうか。また、保護者から要望が出た場合、学校側はどのように対応するのでしょうか?

風間千歌さん:

「よく『仲の良い子同士はあえて離すのですか?』と聞かれますが、私の勤務経験では、仲が良いという理由だけで意識的に離すことはありませんでした。実際に意図的に離すことがあるのは、一緒になることで本人たちや周囲にとってマイナスが大きいと判断される場合が中心です。

あくまで私の経験ですが、『離してください』と要望された場合はできる限り配慮していました。また、そのような要望は年度をまたいで学校内で毎年引き継がれ、クラス編成の検討材料の一つになっていました。学校でも、長引くトラブル対応は子どもたちにも教員にも負担が大きくなるので、起こらないに越したことはないからです。

一方で、要望の反映が難しいケースもあります。それは、『離してほしい』という声が特定の子どもに集中している場合です。その場合、すべての要望をそのまま受け入れると、学力や人間関係のバランスが大きく偏り、かえって学級運営に支障が出ることがあります。

また、近年は1学年2クラスという学校も増えており、クラス数が少ないほど調整の自由度は下がります。3〜4クラスあればある程度組み合わせを考えやすいのですが、2クラスしかない中で『○○さんとも△△さんとも離したい』といった要望が重なると、物理的に実現が難しくなることもあります。

保護者の方からすると、『事前に伝えていたのになぜ反映されなかったのだろう』と不安や戸惑いを感じるのも当然だと思います。ただ、クラス編成は一人の希望だけで決められるものではなく、学年全体の人数構成や人間関係、学力、支援の必要性など、さまざまな要素を踏まえて総合的に調整されています。要望が反映されない場合にも、学校側にはやむを得ない事情があることはご理解いただければと思います。」

不安なときはどう伝える?学校への上手な相談の仕方

---もし子どもに関してクラス替えの配慮が必要な場合、いつ、どのような形で相談するのが望ましいでしょうか?

風間千歌さん:

「クラス替えについて配慮をお願いしたい場合は、早めに相談することが大切です。2学期末に個人懇談がある学校であれば、その機会に伝えておくとよいでしょう。そうした場がない場合でも、クラス編成の検討が本格化する2月に入る前には、電話などで相談しておくと学校側も対応がしやすくなります。

伝えるときは、『なぜ離してほしいのか』という気持ちだけでなく、これまでにどのような経緯があったのか、同じクラスになることでお子さん本人がどのような困りごとを抱えそうなのかを、事実ベースで落ち着いて伝えることが大切です。相手の子を悪く言う形ではなく、『こんな出来事が続いていて、本人が不安を感じています』といった伝え方の方が、学校にも状況が伝わりやすいと思います。

過去に深刻なトラブルがあったケースでは、学校側もすでに配慮を検討していることが多いですが、不安がある場合は保護者からも一言伝えておくと安心です。

学校には個人情報の関係で説明できないことや、クラス数・人間関係・学力バランスなど、さまざまな事情があります。そうした背景も踏まえて、『学校にもいろいろな事情があると思いますが』と前置きしながら丁寧に相談すると、気持ちが伝わり、より前向きに話し合いやすくなると思います。」

学校と家庭、双方の理解が「よりよいクラス環境」を作る

クラス編成は、限られたリソースの中で教員が何度も知恵を絞り、検討を重ねて行われる繊細な作業です。要望が必ずしも叶うわけではない背景には、学年全体を見渡した「学級運営のバランス」という学校側の切実な事情があることが分かりました。

もし、子どものために配慮をお願いしたいことがある場合は、感情的にならず「なぜ必要なのか」という事実を早めに伝えることが重要です。学校側もトラブルを避けたいという思いは同じはず。「学校にも事情がある」と相手を尊重する姿勢で相談を始めれば、教員もより前向きに検討しやすくなるのではないでしょうか。


監修者:風間千歌

小学校教諭として10年以上、公立小学校に勤務したのち、2人目の妊娠を機に退職。現在はフリーランスライターとして、教員経験を活かした教材作成や入試問題の解説のほか、育児・教育分野のウェブメディアで執筆を行っている。


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