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「運動会の写真」を顔が隠れるAI画像にしてSNSへ→元小学校教諭が明かす、悪気ない投稿が招くリスク

  • 2026.5.31
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

授業参観や運動会、発表会など、子どもの学校行事は成長を感じられる大切な機会。わが子の姿を記録に残したくて、写真や動画をたくさん撮っている保護者も多いのではないでしょうか。

一方で最近は、「学校行事の写真をSNSに投稿してもよいのか」「AIでイラスト化した画像なら問題ないのか」といった悩みの声も聞かれるようになりました。

実際、学校側では写真や動画の扱いについて、想像以上に慎重な対応が取られているケースもあります。そこには、単なる“マナー”だけではない、さまざまな事情があるようです。

今回は、小学校教諭として10年以上の経験を持つ風間千歌さんに、学校行事における写真撮影やSNS投稿について、現場での対応や背景を伺いました。

学校行事の写真や動画、学校側はどのように対応している?

---授業参観や運動会などでの写真・動画撮影やSNS投稿について、学校側ではどのような対応が取られているのでしょうか?

風間千歌さん:

「学校によって対応は異なりますが、私が勤務していた学校では、写真や動画の撮影、SNSへの投稿について、行事ごとに注意喚起を行っていました。

たとえば授業参観では、事前に配布するお便りで『撮影およびSNSへの投稿はご遠慮ください』と伝え、前日にも保護者連絡アプリやメールで再度お知らせします。当日も、廊下や教室前に貼り紙を掲示するなど、複数の方法で周知していました。

背景には、個人情報やプライバシー保護の問題があります。写真や動画には、自分の子どもだけでなく、ほかの児童の顔や名前、教室内の掲示物、学校名などが写り込むことがあります。家庭によっては、子どもの写真を外部に出したくない、事情があって居場所を知られたくないというケースもあるため、学校としては慎重に対応する必要がありました。

また、授業参観は、子どもたちが普段とは違う雰囲気の中で学習に向かっている場でもあります。スマートフォンのシャッター音や、カメラを向けられる動きが気になって、集中しづらくなる児童もいます。

一方で、運動会については、子どもの成長を保護者に見てもらう大きな行事でもあるため、撮影自体は認めている学校が多い印象です。ただし、その場合も『SNSへの投稿は控えてください』と、事前のお便りや競技前のアナウンスで伝えていました。

学校行事の写真や動画については、さまざまな事情を抱えた子どもがいることを踏まえ、SNSへの投稿は慎重になる必要があると思います。」

「悪気はない投稿」でも、学校側が慎重になる理由

---学校現場では、写真や動画のSNS投稿について、どのような懸念があるのでしょうか?

風間千歌さん:

「私自身は、学校行事で撮影された写真や動画がSNSに投稿され、大きなトラブルに発展したケースを直接経験したわけではありません。ただ、写真や動画の扱いについて、学校側が非常に慎重にならざるを得ない場面は何度もありました。

特に印象に残っているのは、家庭の事情から、子どもの居場所や通っている学校を外部に知られたくないという保護者がいたケースです。安全上の理由から、学校で撮影されること自体に強い不安を感じており、行事のたびに『ほかの家庭の写真に写り込まないか』『どこかに投稿されないか』と心配されていました。

周囲の保護者からすれば、運動会や参観日の写真は『かわいいわが子の成長記録』であり、悪意なく撮影していることがほとんどです。しかし、その背景には、他の子どもや家庭の事情までは見えていません。たとえ小さく写り込んでいるだけでも、それがSNSで拡散されれば、服装や背景などから居場所が特定される可能性があります。

学校側としても、プライバシーの観点から家庭の事情を他の保護者に説明することはできません。そのため、全体に向けて『撮影した写真や動画は家庭内で楽しむ範囲にしてください』『SNS等への投稿は控えてください』とお願いする形になります。

このような経験から、写真投稿の問題は、単にマナーの問題だけではなく、子どもや家庭の安全に関わることもあると感じています。」

AIでイラスト化すれば投稿しても大丈夫?

---最近では、学校行事の写真をAIでイラスト化してSNSに投稿するケースも見られます。顔が分からない形に加工していれば問題ないのでしょうか?

風間千歌さん:

「我が子の成長を喜び、家族や友人と共有したいという気持ちは十分に理解できます。また、『他の子が写り込んでいる写真や、顔がはっきり分かる写真がだめなら、AIでイラスト化すればよいのでは』と考える方がいることも分かります。

しかし、AIでイラスト化したとしても、元の写真に写っている子どもの特徴や、服装、背景、学校行事の様子などから、見る人が見れば個人や学校が分かってしまう可能性があります。とくにSNSは、思っている以上に身近な人に見られているものです。投稿した本人に悪意がなくても、別の保護者の目に入り、『うちの子の写真を勝手にAI加工された』『許可なく投稿された』と受け止められれば、トラブルにつながることも考えられます。

また、AIに対する考え方も家庭によって異なります。子どもの写真をAIサービスに読み込ませること自体に不安を感じる家庭もありますし、たとえ顔が変わっていたとしても、わが子の姿をもとにした画像がSNSに投稿されることに抵抗を感じる保護者もいると思います。

学校行事で撮影が認められている場合でも、それはあくまで家庭内で思い出として楽しむことを前提にしているケースが多いです。『撮影してよい』からといって『加工すればSNSに投稿してもよい』ということにはならないと思います。

学校行事の写真や動画については、さまざまな背景を抱えた子どもたちがいることを踏まえ、AIで加工したものであっても、SNSへの投稿には慎重になる必要があると考えます。基本的には、家庭内で楽しむものにとどめるのが安心ではないでしょうか。」

「うちの子だけ」のつもりでも…配慮が求められる時代に

学校行事の写真や動画は、子どもの成長を記録する大切な思い出でもあります。一方で、その1枚の中には、自分では気づかない形で他の子どもや家庭の情報が含まれていることもあります。

特にSNSは、投稿した本人が想像している以上に多くの人の目に触れる可能性があります。悪意の有無にかかわらず、別の家庭に不安や負担を与えてしまうケースもあるため、「記録したい気持ち」と「周囲への配慮」のバランスを意識することが大切なのかもしれません。


監修者:風間千歌

小学校教諭として10年以上、公立小学校に勤務したのち、2人目の妊娠を機に退職。現在はフリーランスライターとして、教員経験を活かした教材作成や入試問題の解説のほか、育児・教育分野のウェブメディアで執筆を行っている。

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