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「100:0じゃない」追突された被害者なのに…保険会社は「過失1割」を提示→プロが明かす“意外な落とし穴”

  • 2026.3.14
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。自動車販売・整備・保険業に27年従事している河野みゆきです。

「追突事故は後ろの車が100%悪い」

運転していると、そんな話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。実際、追突事故の多くは後続車の責任が問われます。しかし事故対応の現場では、必ずしも100:0にならないケースも存在します。

「危ないかもしれない」で踏んだブレーキが1割過失に

以前、契約者Aさんが関係した追突事故で、少し意外な過失割合になったケースがありました。

夕方の幹線道路を走行していたときのこと。交通量はそれなりにありましたが、流れはスムーズで周囲の車と同じペースで走行していたそうです。

交差点に差しかかる少し手前で、歩道側に視線を向けた瞬間、何かが動いたように見えたといいます。

「子どもかもしれない」
「自転車が飛び出してくるかもしれない」

そう感じ、とっさに強めにブレーキを踏んだそうです。

結果的に、歩道からの飛び出しはありませんでした。「見間違いかな」と、Aさんが安堵したのも束の間、後方から衝撃を受けたのです。後続車による追突でした。

Aさんは当然、「追突事故だから100:0になるはず」と考えていました。ところが後日、保険会社から提示された過失割合は1:9だったのです。

過失の理由は、前方に客観的な危険が確認できない状況で急減速したということでした。後続車にとって予測しづらい減速だった可能性があるという判断です。Aさんは、この説明に納得できず、事故当時のドライブレコーダー映像を確認することになりました。

映像には、歩道側からの明確な飛び出しは映っていませんでした。一方で、ブレーキランプが点灯した直後に車の速度が大きく落ちている様子ははっきり記録されていました。

Aさんとしては危険回避のつもりだったブレーキでしたが、客観的には急減速と評価される余地があると説明を受けたそうです。

結果として、事故の主因は後続車の前方不注意とされながらも、前車の減速操作が影響した可能性があるとして1割の過失が認定されました。

「追突でも前の車に過失?」ドラレコが示した危険な急ブレーキ

Aさんの事故ではAさんの過失が問われましたが、逆のケースもあります。

ある別の事故では、Bさんが直線道路を通常の流れで走行していたところ、前の車が突然強くブレーキを踏んだといいます。前方には交差点もなく、歩行者や自転車の飛び出しも確認できない状況でした。後続車のBさんは、慌ててブレーキを踏みましたが減速が間に合わず、そのまま追突してしまったのです。

追突事故の場合、基本的には後続車の車間距離不足や前方不注意が問われます。しかし、事故の状況によっては、急ブレーキの理由や前方に危険があったのか、周囲の交通状況といった点が客観的に検証されるのです。

もちろん、最終的には後続車の責任が大きくなるケースがほとんどですが、状況によっては前車の運転も事故要因として検討されることがあります。

Bさんのケースでは、ドライブレコーダーの映像から、前車のドライバーがBさんの進路へ入り込むように前へ出て、急ブレーキを踏んでいる様子が確認されました。

映像だけで意図を断定することはできません。しかし、状況から見ると無理な割り込みと急減速が行われたようにも見える内容でした。

このように、前方に危険がない状況での不自然な急ブレーキや割り込みが確認された場合、事故原因の一部として前方車の運転が問題視されることがあります。実際の事故処理では状況によって判断が分かれますが、場合によっては前方車にも一定の過失が認定され、3:7程度の過失割合になるケースもあるのです。

追突事故でも必ず100:0とは限らない

追突事故は「後ろの車が悪い」と思われがちです。実際、車間距離を保つ義務がある以上、後続車の責任が大きくなるケースがほとんどです。しかし、今回紹介したように、前車の急減速や不自然な運転が事故に影響したと判断される場合、過失割合が修正されることもあります。

そして近年、こうした判断の大きな材料になっているのがドライブレコーダーの映像です。

ドライブレコーダーは「被害を証明するための装置」というイメージが強いかもしれません。しかし、実際には運転の状況そのものを客観的に記録する装置でもあります。つまり、相手の運転だけでなく、自分の運転も評価されるということです。

追突事故でも必ず100:0とは限らない。そのことを意識するだけでも、普段の運転の仕方や車間距離の取り方は少し変わるかもしれません。

事故を防ぐためにも、急ブレーキにならない余裕を持った運転を心がけたいものです。


筆者:河野みゆき
自動車販売・整備・保険業に27年従事。損害保険募集人資格を保有し、車両購入からメンテナンス、カーライフに関わる保険まで幅広く対応。現場経験をもとに、ユーザー目線でわかりやすい情報発信を行っています。


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