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回遊動線で家事ラクなのに…LDKが通路化、壁が減って大型家具が置けない大誤算

  • 2026.3.29
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、元注文住宅営業マンのホリカワです。

「家事ラク」を実現する間取りとして、回遊動線が注目されています。ぐるりと回れる動線は、日常の家事や生活をスムーズにしてくれるので、便利ですよね。

しかし、回遊動線は「設計上の検討事項が多い間取り」でもあります。動線に目を奪われていると、見落としてしまうものも――それが「壁」です。

この記事では、回遊動線がもたらすトレードオフと、後悔しないための考え方をご紹介します。

通り抜けが増えると、壁が減る

間取り作成では、理想をかなえようとすると何かを諦めないといけない――そんなトレードオフが生じることも。回遊動線も、そのトレードオフが生じやすい間取りのひとつです。

回遊性を生み出すためには、空間と空間をつなぐ出入り口を増やす必要があります。出入り口が増えるということは、その分だけ壁が減るということです。

壁が減ると、何が起きるでしょうか。

大型家具を置ける?

まず、大型家具を置ける壁面が減ります。

テレビボードやソファを壁付けで配置する場合は、ある程度の連続した壁面が必要です。複数の出入り口に挟まれた小さな壁では、大型家具の配置がままならないこともあります。

使いやすい位置にスイッチを付けられる?

さらに、意外と見落とされがちなのが照明スイッチの設置場所です。

一般的に、スイッチはドアを開けたときに自然に手が届く位置に設けられます。しかし、出入り口が増えると「使いやすい位置に設置できない」という状況が生まれることもあります。あ

最近は人感センサーやスマート照明を活用して、スイッチの場所不足を補う手法もあります。しかし、それらはコストアップにつながることも。

まずは基本に立ち返り、自然な位置にスイッチが確保できるか確認してみてください。

LDKが「くつろげる場所」でなくなる

もうひとつ確認したいのが、心理的な落ち着きの問題です。

たとえば、玄関からLDKへのアクセスを2ルートにし、回遊動線にするケースが多くあります。このような「回遊動線に組み込まれたLDK」は、家族が通り抜ける「通路」を兼ねた空間になることも。

ソファでくつろいでいるところに家族が頻繁に横切る、来客中にほかの家族が通り抜ける――そんな「視線のノイズ」が絶えない空間は、本来のくつろぎの質を損なってしまいます。

「回遊できる便利さ」と「リラックス」も、トレードオフになるケースがあることを念頭に置いておきたいところです。

「目的のある回遊動線」にする

では、回遊動線は取り入れないほうがいいのでしょうか。

もちろん、そうではありません。大切なのは、「なんとなく」ではなく「目的のある」回遊動線にすることです。

たとえば以下のような動線であれば、明確な目的があり、生活の中の「不便・大変」を解消できます。

  1. 玄関〜リビングの「パブリック動線」:家族や来客が通常使用する、使う頻度の高い動線
  2. 玄関〜パントリー〜キッチンの「買い物帰り動線」:重い荷物を運ぶ距離が短くなる

このような回遊動線なら、多少のトレードオフが生じたとしても、メリットが勝るでしょう。

一方、「なんとなく便利そうだから」という理由だけで安易に出入り口を増やすのはおすすめできません。

家具の配置に困ったり、落ち着きを欠いた空間になったりと、デメリットだけが残ってしまう恐れがあります。

間取り図に家具を書き込んでみる

回遊動線を検討する際は、設計担当者に相談して、図面に使う予定の家具や購入予定の家具を書き入れてもらいましょう

テレビボード、ソファ、ダイニングセット、カップボード――それらが自然に収まるかどうかを確認するだけで、壁が足りないことに気づけるケースは少なくありません。

スイッチについては、設計担当者に相談しながら、各出入り口のドアの開閉方向と合わせて「手が自然に届くかどうか」をシミュレーションしてみましょう。

「はやっているから」ではなく「必要だから」

回遊動線のある間取りは、うまく設計されれば暮らしを豊かにしてくれます。ただし、動線上にある部屋は「通路」も兼ねるということを忘れてはなりません。

移動のしやすさと、心ゆくまでくつろげる落ち着き。この両方のバランスが取れてこそ、本当に使い勝手のよい回遊動線になります。

「はやっているから取り入れる」のではなく、「自分たちの暮らしに必要だから取り入れる」というスタンスで間取りを考えることが、後悔しない家づくりにつながるのではないでしょうか。


ライター:ホリカワ ダット
注文住宅の建築会社に営業職として従事したあと、ライターとして独立。年間200組以上の家づくり相談に携わった経験をもとに、「マイホーム取得を少しでもラクに」をテーマに、住宅ジャンルの記事を幅広く執筆中。インテリアコーディネーター/1級カラーコーディネーター(商品色彩)資格保有。


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