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肉食のネコが好んで食べる「猫草」の役割とは?毛玉排出以外のメリットも明らかに

  • 2026.2.22
猫草を食べるネコ
猫草を食べるネコ / credit:フォトAC

「猫草」という言葉をご存知でしょうか?

ネコを飼っている人なら、多くの人が知っていると思います。

ネコを飼っていなくても、野良猫が公園の雑草を食べるところを見たことがあったり、ホームセンターなどで「猫草」が売られているのを見たことがある人もいるかもしれません。

元来、ネコは「完全肉食動物」と呼ばれ、植物は栄養的に必要ないと言われています。

しかし、そんなネコが好んで食べるのが「猫草」なのです。

ネコが猫草を食べる理由はこれまで「毛玉を吐き出すため」とされてきました。

しかし近年の研究では猫草に多くの役割があることが明らかになっています。

今回は肉食のネコが好んで食べる「猫草」とその役割についてご紹介していきます。

目次

  • 肉食のネコが好んで食べる猫草とは?
  • 猫草の役割は毛玉を吐くため?猫草の最新研究をご紹介
  • 猫草は種から育ててカットしながら与えよう

肉食のネコが好んで食べる猫草とは?

猫草とネコ
猫草とネコ / credit:フォトAC

そもそも猫草とは、ネコが食べる草の総称で、特定の品種を指すわけではありません。

ホームセンターなどで「猫草」や「キャットグラス」の名で売られているものは燕麦ですが、野良猫などが食べているのは品種にこだわらないイネ科の雑草です。

ねこじゃらしとして有名な「エノコログサ」や、よく見る雑草である「ネズミムギ」などさまざまですが、どれも葉先の尖ったイネ科であることが共通しています。

数ある雑草の中でネコが選んで食べているのが「猫草」なのです。

大型肉食獣も猫草を食べる

草むらのサーバルキャット
草むらのサーバルキャット / credit:Pixabay

実は、ペットとして飼われているイエネコだけでなく、サーバルキャットやヒョウなどの大型肉食獣もイネ科の植物を食べることが報告されています。

また、猫草という名前にはなっているものの、イヌも散歩中にイネ科の雑草を食べることがあります。

ただ、品種を問わず猫草を食べるかどうかには個体差があり、全てのネコが猫草を食べるわけではありません。

食べなくても問題ない個体がいるのなら栄養的に欠かせないというわけではないようです。

ただ、好きなネコは本当に大喜びで食べます。

筆者自身もネコを飼っていますが、猫草が本当に大好きで、摘んでくるとチュールと同じくらい大騒ぎです。

ネコを始めとする肉食動物たちが不可欠とは言えない猫草をどうしてこんなに好むのか、本当に不思議です。

猫草は肉食動物たちにとって嗜好品のようなものなのでしょうか。

マタタビやキャットニップとは別物

キャットニップ
キャットニップ / credit:Pixabay

ネコの嗜好品である植物というと、マタタビやキャットニップなどをイメージする方が多いかもしれません。

しかし、猫草はこれらとはまったく別物です。

植物としてのカテゴリーはもちろんですが、ネコの反応も異なります。

マタタビやキャットニップに対し、酔っぱらったように興奮し、寝転んでマタタビに体を擦りつけたり、噛みついたりしますが、マタタビやキャットニップそのものを食べてしまうことは稀です。

あくまで「マタタビやキャットニップを噛むのは植物の中にある虫よけ成分を引き出すため」という説もあります。

それに対し、猫草はネコにとって完全に「食べ物」の位置づけです。

体を擦りつけたりはせず、まっすぐ食べに来て、食べ終わったら帰っていきます。

しかし元来肉食であるネコは猫草を消化することができないはずです。

消化できない猫草を、ネコはなぜ喜んで自分から食べているのでしょうか。

猫草の役割は毛玉を吐くため?猫草の最新研究をご紹介

グルーミングするネコ
グルーミングするネコ / credit:Pixabay

猫草を食べる理由として、最もよく言われているのが「毛玉を吐くため」というものです。

ネコには消化できない猫草はそのまま食道を通って胃へ届き、尖った葉先に刺激されて嘔吐してしまいます。

その際、毛玉を吐き出すことができるため、ネコたちは積極的に猫草を食べているのだと言うのです。

しかし、実際には猫草を食べたネコが毎回吐き戻すかというとそういうわけではありません。

カリフォルニア大学の獣医学部が行った調査によると、猫草を食べている約1000匹のネコの中で、頻繁に嘔吐をしていたのは3割にも満たなかったというのです。

確かにわが家のネコにはもう数百回猫草を与えていますが、吐いたのはほんの3,4回に過ぎません。

また、四川大学の吉村氏らがユキヒョウの植物食に関して行った調査においても、植物を食べても嘔吐の回数は増えることはなく、便に含まれる毛の量も植物の量と特に相関はなかったことが示されています。

つまり近年の研究では、猫草に「毛玉を吐き出す」という役割はあまりないことが示されているのです。

寄生虫対策として役立つ猫草

寄生虫を排出するネコ(イメージ)
寄生虫を排出するネコ(イメージ) / credit:フォトAC

一方で、動物行動学者のHazel Carney氏は「猫草によって腸が刺激され、寄生虫を排出する効果がある」のだと話しています。

消化できない猫草がそのまま腸内を通ることで、寄生虫を始めとする異物を押し出し、便として排出することができると言うのです。

実際、ネコ以外の動物でも食物繊維を多く含むイネ科の雑草によって寄生虫を排出できることが報告されています。

野生下のネコ達は多くの寄生虫にさらされているため、寄生虫を体から追い出すために猫草を食べるようになったのかもしれません。

消化促進や口臭予防も

ネコの口の中
ネコの口の中 / credit:Pixabay

猫草に含まれる食物繊維は寄生虫以外の異物も排出することができ、便通を整える効果もあります。

ネコは鳥の羽や骨などもそのまま食べてしまうことがありますが、それらを消化することはできません。

猫草を食べることで、それらを押し流したり、嘔吐を促して排出させる効果があります。

また、猫草の鮮やかな緑色に含まれるクロロフィルは、消臭・殺菌効果がありますので、ネコの口臭予防や歯周病予防にもなる可能性があります。

イエネコに猫草は必須ではない

野良猫には猫草が必要かも
野良猫には猫草が必要かも / credit:フォトAC

猫草は寄生虫を始めとする異物の排出に役立つものです。

とはいえ、家で飼われているネコたちには寄生虫もいないでしょうし、異物を飲む機会もあまりないでしょう。

このため、あくまで猫草はイエネコにとっては嗜好品という位置づけになります。

また猫草は、与えすぎたり、赤ちゃんや高齢のネコに与えたりすると、過度な嘔吐や下痢を引き起こす可能性があります。

ネコの健康を考えながら適量を与えるようにしたいものです。

また、猫草は雑草としてどこにでも生えていますが、育ちすぎていて硬かったり、農薬などの有害物質が付着している恐れもあるため、外から取ってくるのはおすすめしません。

そこで最後にこの記事の結びとして、猫草の育て方とおすすめの与え方をご紹介します。

猫草は種から育ててカットしながら与えよう

カットした猫草を食べるわが家のネコ
カットした猫草を食べるわが家のネコ / credit:いわさきはるか

猫草の種として、ホームセンターなどで燕麦の種が売られています。

燕麦はかなり育てやすく、土だけでなく水耕栽培でも育てることが可能です。

育ちすぎると硬くなってネコが食べられなくなるため、日々食べきれる量を日当たりの良い場所で育ててみましょう。

猫草は先から枯れていくため、葉先から10cmほどをカットして与えます。

カットしてもどんどん伸びていくので何度も与えることができますし、ネコが際限なく食べてしまうこともありません。

イエネコには必須ではない猫草ですが、新鮮な猫草に飛んでくるネコは本当に可愛いものです。

ぜひおうちで安心安全な猫草を栽培し、適量を与えてみてくださいね。

参考文献

Researchers Think They Know Why Cats Eat Grass
https://www.smithsonianmag.com/smart-news/researchers-figure-out-why-cats-eat-grass-180972885/

6 Benefits of Cat Grass For Your Cat
https://www.hepper.com/benefits-of-cat-grass-for-your-cat/

EATING YOUR GREENS: THE BASICS OF CAT GRASS
https://vetmed.tamu.edu/news/pet-talk/eating-your-greens-the-basics-of-cat-grass/

元論文

The relationship between plant-eating and hair evacuation in snow leopards (Panthera uncia)
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371%2Fjournal.pone.0236635

ライター

いわさきはるか: 生き物大好きな理系ライター。文鳥、ウズラ、熱帯魚などたくさんの生き物に囲まれて幼少期を過ごし、大学時代はウサギを飼育。大学院までごはんの研究をしていた食いしん坊です。3人の子供と猫に囲まれながら、生き物・教育・料理などについて執筆中。

編集者

ナゾロジー 編集部

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