1. トップ
  2. ファッション
  3. 米国で人気のウエディング・テーマは?【ウエディング・パーティ最旬トレンド】vol.90

米国で人気のウエディング・テーマは?【ウエディング・パーティ最旬トレンド】vol.90

  • 2026.2.20
Joey Ikemoto Photography

今回は米国の花嫁の間で人気のウエディング・テーマ、「Old Money Aesthetic/オールドマネー美学」と「Quiet Luxury/静かなる贅沢」をご紹介します。

Joey Ikemoto Photography

「Old Money Aesthetic/オールドマネー美学」

「Old Money Aesthetic」とは、「New Money Aesthetic」いわゆる「成金スタイルの美学」に対比して使われ、代々受け継がれてきたような品格・教養・余裕を、ウエディングの空気感として表現するスタイルです。

ポイントは「派手さ」ではなく、歴史を感じる空間、良質な素材、控えめな洗練。たとえば、名門クラブや格式ある邸宅、クラシカルな建築美を背景に、装花やドレスはあくまで“上質に整える”。それだけで、写真に写った瞬間に「育ちの良さ」が漂う―そんな世界観です。

なぜ、このテーマが人気なのか?

理由は大きく3つあります。1つ目は、SNS全盛の今だからこそ、“わかりやすい映え”よりも、長く色褪せない美しさが求められていること。流行りの装飾は数年で古く見えることがありますが、クラシックは時間に強い。アルバムを10年後に開いたときも、品格がそのまま残ります。 クラシックな天井装飾とシャンデリアが主役のバンケット。 空間そのものが語る“格式”が、「Old Money Aesthetic」の世界観を一瞬で完成させます。

2つ目は、経済や社会のムードが揺れる時代に、安心感や信頼を感じさせるスタイルとして支持されていること。華美ではなく、落ち着いた豊かさ。そこに今の気分が重なります。

3つ目は、ゲストにとっても心地よいこと。空間全体に“余白”があり、主役の佇まいが自然に引き立つので、結果として写真も、当日の満足度も上がりやすいのです。

具現化の鍵は? 好まれる要素は?

最優先は会場選びです。歴史あるホテル、重厚なバンケット、クラシック建築―それ自体が“財産”として成立している場所が理想。写真で紹介する「Trump International Golf Course(フロリダ州)」のように、クラブらしい格式と、自然(海・空・芝)の伸びやかさを併せ持つ会場は、「Old Money Aesthetic」の世界観に非常に合います。

<写真>クラシックな天井装飾とシャンデリアが主役のバンケット。 空間そのものが語る“格式”が、「Old Money Aesthetic」の世界観を一瞬で完成させます。

Joey Ikemoto Photography

カラー

基本はニュートラル&ディープトーン。アイボリー、クリーム、ベージュ、グレージュ、シャンパンゴールド。そこに、チョコレートブラウン、ネイビー、ボルドー、フォレストグリーンなどを“少量”効かせると一気に完成度が上がります。メタルは、ギラつくシルバーよりも真鍮やアンティークゴールドが相性抜群です。

<写真>ゴルフコースの芝と海、そして広い空。 余白のある風景が、二人のシルエットをドラマチックに引き立てる一枚。

Joey Ikemoto Photography

ドレス

“見せる”より“佇まい”。シルクサテン、ミカド、クレープなど、素材の良さが伝わるクリーンなラインが王道です。装飾は盛り過ぎず、上質なフィット感で勝負。アクセサリーも「大ぶり」より、パールや一粒ダイヤなど、家宝のようなクラシックが似合います。

フラワー

花も同じく、華やかさより品のある密度。ローズ、ガーデンローズ、ラン、白系の花にグリーンを添えたクラシックアレンジが基本。色数を増やすより、同系色で質感を重ねるほうが「Old Money Aesthetic」らしい空気になります。

<写真>エントランスのランタンの灯りがつくる、静かなロマンチシズム。きらびやかではなく、上質で落ち着いた“迎え入れる光”が印象的。

Joey Ikemoto Photography

「Quiet Luxury/静かなる贅沢」

そして、もう1つの人気テーマは「Quiet Luxury/静かなる贅沢」です。「静かなる贅沢」とは、いわゆる「盛るラグジュアリー」ではなく、上質さを“静かに”感じさせるウエディング・スタイルです。

ブランドロゴや過剰な装飾で主張するのではなく、素材、仕立て、空間の余白、光の扱い―そうしたディテールで「本物」を語る。ゲストが会場に入った瞬間に、派手さより先に心地よさと洗練が伝わるのが、このテーマの魅力です。

写真でご紹介する「Pelican Hill Resort(カリフォルニア)」のように、建築の品格、景色のスケール、サービスの完成度が揃うリゾートは、「Quiet Luxury」を最も美しく成立させてくれます。

なぜ、このテーマが人気なのか?

人気の背景には、今の時代感覚がはっきり反映されています。1つ目は、情報もモノも過剰な時代に、「足し算」より「引き算」が美しいと感じる人が増えたこと。

ウエディングも同じで、何かを詰め込むより、本当に大切なものだけを丁寧に選ぶスタイルに共感が集まっています。

2つ目は、写真や映像にしたときの強さ。「Quiet Luxury」は、流行の記号に頼らず、光・素材・余白で美しさを作るので、SNSでも、アルバムでも、時間が経っても古く見えにくい。つまり“長持ちする美しさ”です。

3つ目は、ゲスト体験の質が上がること。派手な演出よりも、居心地の良い空間、美味しい料理、丁寧なホスピタリティ。結果としてゲストが「本当に素敵な結婚式だった」と感じるポイントが、「Quiet Luxury」と相性が良いのです。

<写真>ブラッシュピンク×アイボリーのローズブーケと、クリーンなドレス。 色数を抑えた“上質なニュートラル”が、「Quiet Luxury」の入り口。

Joey Ikemoto Photography

具現化の鍵は? 好まれる要素は?

会場

「Quiet Luxury」は、会場の“地力”がものを言います。おすすめは、五つ星ホテル、洗練されたリゾート、建築美のある邸宅。景色が強い場所ほど、装飾を盛らなくても成立します。Pelican Hill Resortのように、光が美しく入る空間、曲線や石材など素材感が上質な建築は、このテーマの理想形です。

カラー

基本はニュートラルのワントーン。ホワイト、アイボリー、シャンパン、サンド、グレージュ。そこに、淡いブラッシュ(くすみピンク)などを“気配程度”に差すくらいがちょうどよく、金属は鏡面より、マットなゴールド、シャンパンゴールドが上品です。

テーブル&ペーパー(Quiet Luxuryの決め手)

「Quiet Luxury」は、テーブル周りで完成度が一段上がります。上質なリネン、透明感のあるグラス、整ったカトラリー、読みやすいタイポグラフィのメニューカード。ここが整うと、装花が控えめでも、全体が「上質」に見えるのです。

<写真>暖炉のあるクラシック空間に、白いリネンとキャンドルの透明感。 盛らなくても美しい、整ったテーブルが主役のシーン。

Joey Ikemoto Photography

ドレス

ドレスは、装飾の多さよりシルエットと素材の良さが主役。クレープ、シルクサテン、ミカドなど、写真で見ても質感が伝わる素材が合います。ラインはクリーンで、肌見せも上品に。ヘアメイクも、作り込みすぎないツヤ感・抜け感が、「Quiet Luxury」の空気をつくります。

フラワー

花は“華やか”よりも“上質”。白~アイボリーを基調に、質の良いローズやラン、ピオニーなどを、密度と余白のバランスで見せるのが理想です。グリーンは多用しすぎず、あくまで洗練のための添え。会場の景色が主役なので、装花は「引き算」の美学が効きます。

<写真>海と空を背景にした、リゾートセレモニー。 景色そのものがラグジュアリーだから、装飾は控えめで十分―それが「Quiet Luxury」の強さ。

さて、「Old Money Aesthetic」も「Quiet Luxury」も、セレブにしかできないウエディングということではありません。つまり「お金をかけること」そのものが目的ではないのです。大切なのは、余白と品格をどう設計するかという“選び方”であり、実は最もコストを抑えられる近道は「足さないこと」。装花を盛る代わりに色味をワントーンに統一し、リネンやキャンドル、ペーパーアイテムなど素材感のあるディテールを整えるだけで、静かな上質感は十分に再現できます。つまりこれは“富の誇示”ではなく、上質さを控えめに表現するスタイルとして米国では浸透しています。予算の大小よりも、選択の基準と引き算のセンスが鍵になるのです。ウエディングの準備中の皆さんのなかで、もし今、“盛るほどに迷ってしまう”感覚があるようでしたら、「Quiet Luxury」という選択はきっと心強い味方になります。

大切なのは、足し算ではなく引き算。会場の光、景色、上質な素材、そして丁寧に整えたテーブル―それらが揃ったとき、ウエディングは驚くほど静かに、でも確かにラグジュアリーに見えてきます。

皆さんの大切な一日を、誰かに見せるためではなく、皆さん自身が心から心地よくいられる時間としてデザインされたいかがでしょうか!? “控えめなのに忘れられない”―そんな余韻のある結婚式を、ぜひ叶えてくださいね。

Photos:Joey Ikemoto Photography

※この記事は2026年2月20日時点のものです。

Victoria Angela Photography, Riso Cake

[関連記事]バレエコアがもたらす新しいウエディング美学【ウエディング・パーティ最旬トレンド】

ふんわりと軽やかに舞うチュール、クラシカルなバレエシューズ、上品で儚げなカラーパレット。そこに漂うのは、単なる流行を超えたノスタルジーとロマンチシズム。いま、欧米ではこの美学がブライダルの世界に新風を吹き込んでいます。

元記事で読む
の記事をもっとみる