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名取裕子、約40年ぶり披露の花魁姿は「重くてびっくり!」 『吉原炎上』五社英雄監督&京都撮影所との思い出振り返る

  • 2026.2.5
名取裕子 クランクイン! 写真:高野広美 width=
名取裕子 クランクイン! 写真:高野広美

映画やドラマ、舞台で放つ圧倒的オーラと共に、バラエティ番組で見せる気さくな素顔も幅広い世代を惹きつけている俳優の名取裕子。主演を務めた “2時間サスペンス”の新たな可能性を追求する映画『テレビショッピングの女王 青池春香の事件チャンネル』では、同ジャンルの魅力をたっぷりと体現。素人探偵役として躍動するほか、代表作である『吉原炎上』(87)を彷彿させる花魁姿も披露するなど、あらゆる見どころを提供して観る者をワクワクさせてくれる。久々の花魁姿について「40年も経って、これをやるなんて! 重くて、びっくりしました」と笑顔を弾けさせた名取。『吉原炎上』の思い出や、“人を楽しませる”というモットーの原点。“2時間サスペンス”への想いを明かした。

【写真】お茶目な表情もかわいい! 名取裕子、インタビュー撮りおろしショット

◆2時間サスペンスの醍醐味が詰まった映画の完成に「親孝行をしてもらったよう」

昭和から平成にかけて民放各局で親しまれた“2時間サスペンス”を、令和の今、映画という新たな舞台で復活させるプロジェクト「2時間サスペンス THE MOVIEシリーズ」の第1弾となる本作。テレビショッピングで歴代最高売上を誇るレジェンドナビゲーターにしてカリスマバイヤー・青池春香(名取)と、紹介する商品が飛ぶように売れてしまう“実演販売の女王”・長野吉江(友近)。生放送の売上対決中、思いがけない殺人事件に巻き込まれた2人が、互いの知恵と洞察力を駆使して事件の核心へと迫っていく姿を描く。

企画の始まりについて、名取は「ありがたい親孝行をしてもらったよう」と経緯を振り返る。

「(1995年から2005年にわたって放送された名取主演の2時間サスペンス)『早乙女千春の添乗報告書シリーズ』のプロデューサーと、当時まだ会社に入りたてだった坊やが、30年経って立派なプロデューサーとなり、この企画を立ち上げてくれたんです。『2時間サスペンスの良さを伝えたい』というお話で、『できたらいいね。もし友近さんと一緒にやれたら、すごくいいな』と願いを口にしたら、すぐに友近さんにオファーをしてくださった。私、友近さんが大好きで。15年くらい前から舞台も観に行っているし、水谷千重子の公演にも出演させてもらったりしているくらい。そんな友近さんを口説いてくれて、一緒に2時間サスペンスをできるなんて、本当にありがたい気持ちです」。

名取と友近の丁々発止のやり取りにも胸が躍る本作は、 崖シーンから始まり、怒涛の回収劇と竹内まりやによる主題歌「シングル・アゲイン」へとなだれ込むにぎやかなクライマックスまで、2時間サスペンスの醍醐味がギュッと詰まっている。

『法医学教室の事件ファイル』や『地獄の花嫁』、『早乙女千春の添乗報告書』 など数々の2時間サスペンスシリーズで主演を務めてきた名取だが、「春香と吉江という素人探偵がバディになり、女同士の2人が最初はライバルでありつつ、お互いに補い合いながら距離を近づけていく。また刑事の努(つとむ)役として風間トオルさんが出演していて、イケメンがいるのもいいところ。幼馴染である春香と努は、恋人未満、友だち以上みたいな関係で、春香は事件のことをいろいろと聞いてしまう」と楽しそうに語りながら、「そういった展開も、2時間サスペンスならでは」と太鼓判を押す。

◆約40年ぶりの絢爛豪華な花魁姿は「重たくてびっくり」


劇中で名取は、『吉原炎上』を彷彿させる絢爛豪華な花魁姿や、“友近の友人”と称する演歌歌手・水谷千重子の扮装も披露するなど、「こんなものが観られたら…」という観客の気持ちを叶えるかのような、素晴らしいサービス精神を発揮している。

「水谷千重子もやっちゃいました。うれしかったけれど、あとでみんなから『元女優のお笑い芸人だ』と言われちゃった!」と芸人ばりのコメディ力を振るった名取。花魁衣装については、「『吉原炎上』から40年も経って、これをやるのかと思って(笑)。着てみると、あまりに重たくてびっくりしました。すぐそこまでの移動も大変なくらい歩けないし、『早く撮って! 脱ぎたい!』と思ったりして。昔はよくこんなに重たいものを身につけながら毎日走ったりしていたものだわ。自分でも『若いって素晴らしい』と思いました」と笑顔をこぼす。

2時間サスペンスというジャンルは、名取にとって「観てくださる方に楽しんでもらうためにはどうしたらいいかと、いろいろなアイデアを絞った」サービス精神を磨いた場所だという。

2時間サスペンスの変遷について「当時の時代の流れとして、連続ドラマや邦画が少なくなり、2時間ドラマが増えていった。はじめは松本清張原作のものなど、小説を題材とした映画的なドラマも多く作られました。そこから視聴者の方々のニーズに応えるように、旅情があったり、ラブコメ要素があったり、セクシーな温泉シーンがあったり、グルメ情報があったりと、どんどん楽しいものを取り入れるようになって。私自身、観てくださる方が楽しんでくれることが大好きなので、いろいろなアイデアを出していきました」と辿りつつ、「『法医学教室の事件ファイル』がスタートした時代、“ヒロインは二枚目”というイメージがありました。でも私は『二枚目半や三枚目の、欠点のあるヒロインにしたい』と思っていたので、そういった意見を巡って製作陣とぶつかることもあって。スーパーウーマンではなく、ダメなところがある方が人間味があっていいなと思っていたんです。早乙女千春の被るお帽子をおかしな形にしたり、『京都地検の女』の鶴丸あやの普段着は着物にしたり、同世代の方々が『楽しい』と思えるものって何だろうといつも考えていました」と打ち明ける。

◆五社英雄監督&エネルギッシュな京都撮影所から学んだこと


『吉原炎上』は、本作でバディを組んだ友近も「大好き」だと公言している一作。五社英雄監督がメガホンを取り、吉原遊廓に生きる女たちの情念や生き様を鮮やかに活写した傑作で、今でも多くのファンを生み出し続けている。主演を務めた名取にとって、どのような作品として心に残っているだろうか。

「大変でした。体力があったからできたと思います」と切り出した名取は、「いまだによくわからないところもある作品なんです。(主人公が)好きな相手のところへ行かず、彼がくれたお金を花魁道中に使ってしまうなんて『なぜ…? 行けばいいのに!』と思ったりして。五社さんにも『なぜ行かないんですか?』と聞いてみたんです。すると『お嬢、噛み砕けないところが面白いんや』って」とにっこり。

五社監督のもと、ものづくりに励んだ日々は「本当に楽しかった」と懐かしむ。

「五社さんはすごくチャーミングな人で、無茶なことを言われたとしても憎めないような、カリスマ性のある監督。コワモテかと思うとそうでもなくて、シャイなだけだったりして。とにかくピュアで情熱的で愛すべき人なので、みんなが『この人のために何かしたい』と思わされる。ちょっとドジなところもあって、『肉体の門』の撮影中には、五社さんが堀に落ちてしまったことがあるんです。いつも着ているオレンジ色の革のダウンも汚れてしまって、ドテラに着替えたりして。牢名主みたいで、なんだか可愛かった」と目尻を下げながら、エネルギッシュな京都の撮影所で「一生懸命にやっているスタッフのみんなが、俳優である私たちを支えてくれているんだと実感した」とも。

「『吉原炎上』では、劇中に出てくる川をセットの中に作っているんですが、真冬の撮影だったので川の水がすごく冷たいんですね。私は、そこに浸からないといけないシーンがあって。NGを出して3回くらい撮り直したんですが、スタッフの方が『気は心やからな』と言って、沸かしたお湯をドラム缶に入れて、私が落ちるところに注いでくれるんです。もちろんドラム缶1杯のお湯では、川の水の冷たさはどうにもならない。でもそうやって気を配ってくれることが、とてもうれしくて。みんながそれぞれの持ち場でできることをやり、コツコツと努力をし、そういった想いが重なって作品ができているんだなと実感しました」としみじみ。「私たち役者は、表現者としてできることを精一杯にやって、お返しするしかない。責任を持って、表に映るという役割をきちんとやらなければいけないと思いました」。


約50年のキャリアにおいて、「それぞれの持ち場で一生懸命に働いてくれる皆さんが、私の恩人」と力を込めた名取。『テレビショッピングの女王 青池春香の事件チャンネル』においても、周囲への感謝があふれ出す。「今回も俳優さん、スタッフの皆さんが、一生懸命に仕事をしてくださった。そうやってできた作品を通して、ご覧になった方々が楽しい気持ちになってくださったら、こんなにうれしいことはありません。手に汗を握るような展開もあり、笑顔になれるようなシーンもあり、疲れた心を癒す温泉のような作品になっていると思います」とチーム一丸となって作り上げた完成作に愛情を傾けていた。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)

映画『テレビショッピングの女王 青池春香の事件チャンネル』は、2月6日より池袋HUMAXシネマズ、全国イオンシネマにて公開。

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