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増田惠子、名曲ぞろいのソロデビュー45周年記念ライブ開催 中島みゆき「慕情」カバーは「夫へのラブレターのつもりで歌いたい」

  • 2026.2.3
増田惠子 クランクイン! 写真:高野広美 width=
増田惠子 クランクイン! 写真:高野広美

今年、ピンク・レディーとして鮮烈なデビューを果たしてから50周年を迎える増田惠子。40万枚を超えるヒットを記録した「すずめ」でのソロデビューからも45周年を数え、記念ライブ「増田惠子・ソロデビュー45th anniversary concert I Love Singing スペシャル! ~ソロシングル、カバー、そしてピンク・レディー」を開催する。そうそうたる顔ぶれから提供されたソロ曲やカバー曲、さらにはピンク・レディー時代のナンバーが彩る特別な一夜を前に、これまでの歌手人生を振り返ってもらった。

【写真】華やかなケイちゃんスマイルは変わらず! 増田惠子、インタビュー撮りおろしショット

◆中島みゆき提供のソロデビュー曲「すずめ」レコーディングに苦戦

節目を記念して開催される今回のライブは、自身初の“事前セットリスト公開”によるアニバーサリーコンサート。公開された曲目には、中島みゆき、松任谷由実、竹内まりや、桑田佳祐、加藤登紀子といった日本を代表するアーティストが書き下ろしたソロシングル曲、各アーティストへの敬意を込めたカバー曲、さらに当時のオリジナルアレンジのままで披露されるピンク・レディーの大ヒットナンバーなどが並ぶ、特別なライブとなる。

――今回のライブは事前にセットリストを公開するという特別な試みになります。そこにはどういった思いがありますか?

増田:これまでもライブに来てくださっていた方は「45周年という記念だしどんな曲を歌うのかな?」と思われているでしょうし、今回初めての方にも「ケイちゃんってこういうカバー曲を歌うんだ」「みゆきさんやユーミンさん、すごい方に曲を書いてもらっているな!」と驚いていただきたくて。もちろんピンク・レディー時代のナンバーもありますから、たくさんの方に足を運んでいただきたいですね。

――フランスデビューされた時の曲も歌われるんですよね。

増田:「AVEC LE FEU」は30年以上ぶりに、フランスで発売した時そのままのフランス語で挑戦します。

今聴き返してみると何を言っているのか全然わからなくて(笑)。ちょっと不安になったのでフランス語の先生に来ていただいたら、「ケイちゃん、この時の『AVEC LE FEU』は発音が100%だよ! これを聴き込めば思い出すから大丈夫!」って言われました。自分で自分の首を絞めるようなチャレンジですけど、楽しみたいと思います。

――改めてケイさんのソロ曲のラインナップを拝見すると、そうそうたるアーティストの方々に曲を提供していただいていたんですね。

増田:本当にありがたいですよね。アルバムを含めると、小椋佳さん、伊勢正三さん、吉田拓郎さんにも書いていただいていて、本当に幸せな45年間だったなと思いますし、素晴らしい財産をいただいたなと感謝を噛みしめています。

――これだけの作家の方がケイさんに曲を提供されるというのは、やはり“ヴォーカリスト・増田惠子”に皆さんすごく興味をそそられたということなのではないでしょうか。

増田:事務所の力じゃないですか?(笑)

――中島みゆきさんが書かれたソロデビュー曲「すずめ」は強く印象に残っています。

増田:昔『ザ・ベストテン』で桜田淳子ちゃんが「しあわせ芝居」を歌っているのをスタジオで聴いた時に、「なんていい曲なんだ。私もこういう曲を歌ってみたい」って思ったんです。しかもその曲を書いたのが、ヤマハ時代の大先輩のみゆきさん。「みゆきさんってほかの人にも曲を書くんだ。いいなぁ」と羨ましかったのがずっと心に残っていました。

それでソロデビューする時に、当時の事務所の社長さんに「誰に書いてほしい?」と聞かれて、「みゆきさんにお願いしたいです」と言ってみたんです。すると社長は「みゆきさんかぁ…」とため息をついて、「みゆきさんにお願いするとなったら1曲しか書いてもらえないよ? その曲が嫌でも返すことはできないよ?」と言われたのですが、「返すわけないです! 絶対に歌います!」とお願いしました。

――レコーディングの思い出はありますか?

増田:みゆきさんがアコースティックギターで弾き語りするカセットテープが届いたのですが、本当にみゆきさんが書いてくれた曲だ!ととてもうれしかったです。

でも、アコースティックギターだから、余計に歌が前に出てくるじゃないですか。「うわ!この主人公、この後絶対線路に飛び込んじゃうな」って思うくらいみゆきさんの思いのこもった歌声の、迫力ある「すずめ」だったんですよね(笑)。どう私なりに歌ったらいいかな?と悩みました。やっぱり頭の中に印象が残っちゃってるから、どうしてもマネになっちゃうんですよね。レコーディングは全然うまくいかなくて…。

何日目かにディレクターに「ケイちゃんはもう声自体に憂いがあって説得力があるから、逆に歌詞の意味を考えずに、サラッと何か違うことを考えながら歌ってみて」と言われて歌ったら一発OKが出たことを覚えています。

――ケイさんが踊らずに、しっとり歌われているのが子供心に衝撃でした。

増田:それまで2人で歌っていたから、どっちが誰の声だとあまり聞き分けないじゃないですか。『すずめ』を聴いた時にびっくりしたっていう感想も多かったですね。

当時から女性のファンも多かったんですけど、「すずめ」がヒットしたことで女性ファンがさらに増えたことが一番うれしかったです。

◆「慕情」は夫へのラブレターのつもりで歌いたい


――今回のライブで披露されるカバー曲はすんなりと決まりましたか?

増田:今の私が歌いたい曲を集めました。竹内まりやさんの「人生の扉」は50代になった時に聴いて大好きになって、ライブでも歌わせていただいているんです。歌詞に「気がつけば五十路を越えた」とあるので、60代になった時に「まだ歌っていいのかな?」と一瞬思いましたけど(笑)、大好きな曲なので吹っ切って歌っています。

みゆきさんの「時代」は初めてチャレンジするのですが、「ここの歌詞ってこういう意味だったのか」と新しい発見がありました。でも、この「時代」って、みゆきさんが20代の時に書いてるんですよ。歌の神様から地上に降ろされた人というか、私にとってはもう神なんですよね。

――中島みゆきさんの曲は2部で「慕情」も披露されます。

増田:『やすらぎの郷』というドラマの主題歌として最初に聴いた時に雷に打たれたような衝撃を受けたことを覚えています。涙も震えも止まらなくて…。

今から3年前に、私の兄嫁が膵臓がんの末期で亡くなったんですね。亡くなる前にお見舞いに行った時に、姉が私の胸で兄がひとりぼっちになっちゃうと泣いたんです。それがもうずっと忘れられなくて…。この「慕情」は兄や姉の後悔と慟哭の歌だなと感じて、その気持ちを代弁して歌ってみようと思ったら、泣かずに歌えるようになりました。それからステージでも歌うようになったんですけど、そうしたらその後主人が同じすい臓がんの末期になって逝ってしまって…。

世界には大切な人を亡くされた方がたくさんいると思うんですけど、こんなに深い悲しみがこの世界にあるんだと自分も経験したことで、そういう人たちの励ましにはならないけれども心に寄り添えるような、そんな歌がもっと歌えるようになるんじゃないかなって感じています。主人へのラブレターだと思って歌っていますし、この曲との巡り合いは私にとってすごく大きなものになりましたね。

――2部ではピンク・レディー時代の曲も披露されますが、この3曲を選ばれた理由を教えてください。

増田:毎回ライブでは何曲か披露しているのですが、毎回総立ちで歌って踊ってくださるので、皆さんがよく知ってる曲をと思って選びました。昔の事務所でファンクラブを仕切ってくれていたリナちゃんという人がいるんですけど、彼女も元々私のファンだった人なので、どんな曲が人気なのか聞いてみたりして。そうしたらこの3曲だったんですよね。

――ファンそれぞれに思い入れのある曲がいっぱいありますもんね。

増田:そうなんです。でも、当時からつい最近まで私が1番好きなのは「マンデー・モナリザ・クラブ」なんです。これぞ私が歌いたかった曲!という感じでした。当時あまり評判が良くなくて2週間しか歌わせてもらえなかったんですけど、ディスコサウンドがかっこよくてソウルフルで大好きだったんですよね。

逆に当時は苦しくて歌いたくないっていう曲もあったんですよ。それが今は一番大好きな曲になった「カメレオン・アーミー」。

――僕も大好きなのですが、あの曲はダンスがすごく激しい印象があります。

増田:あの曲を歌う時は人格を変えました。また次のライブの時にはそういった曲も披露するかもしれないので、今回のライブを入門編としてまずは楽しんでいただきたいです。

◆人の心に響くような曲をこれからもずっと歌い続けたい


――ソロで活動を始めた当初は、戸惑いみたいなものはありませんでしたか?

増田:解散して、「すずめ」を出す前に最初はドラマのお仕事から始めたのですが、ドラマって自分が出ていないシーンの撮影では楽屋に戻ったりするじゃないですか。楽屋の過ごし方が全然わからなくて戸惑いました。今まで楽屋に長時間いたことがないですし、ひとりぼっちって本当に寂しくて。

――雨の後楽園球場での解散コンサートから、そんなにゆっくりされずソロ活動を始められたんですね。

増田:確かドラマのお仕事が7月ぐらいかな。でもね、すごく忙しい時間からは解放されたでしょ。で、お家にいても1人じゃないですか。「少しゆっくり休め」って社長に言われたんですけど、十分寝てるし、十分食べてるし、何もすることがないんです。それで事務所に行ってお茶を入れたりお花を生けたり、社長のテーブルを拭いたりしていました。

――ライブのタイトルに「I Love Singing」とあるように、歌への思いというのは、この50年間ケイさんの中にずっとあり続けるものでしたか?

増田:やっぱりちっちゃい時から歌手になりたかったから、歌が大好きなんです。

ある映画を撮っている時にカメラマンさんに「ケイちゃん、芝居なんてきつい仕事しなくても、1曲歌えばたくさんお金をもらえるでしょ?」って言われたことがあって。「あ、そういう目で見られているんだ」と思って、それでちょっと2~3年歌から離れたことがありました。それからしばらく演技のお仕事ばかりしていたんですけど、そうしたらちょっと自分が乾いてきたのを感じたんです。また歌いたい!って思って、そこで、もう私は絶対歌から逃れられない、ずっと歌っていたいという気持ちを再認識しました。

――これからどんな活動をされていきたいと考えられていますか?

増田:年齢を重ねるごとに、日本語の素晴らしさに気づくようになりました。数年前に「愛唱歌」という曲を阿木燿子さん、宇崎竜童さんに作っていただいたのですが、阿木さんが「ケイちゃんの自叙伝を読んでいたら、あなたの『マイウェイ』になるような曲を書きたくなった」とおっしゃってくださった曲で、歌詞がシンプルなのに胸にとっても迫ってくるんです。

ライブで歌うと、皆さんご自分に置き換えて聴いてくださるんでしょうね、泣かれる方がすごく多くて。その曲がきっかけで日本語の美しさを自分でも感じて、人の心に響くような曲を歌い続けたいなって思うようになりました。

いつまで歌えるかわからないけれど、ボイストレーニングを欠かすことなく、喉や体をちゃんとケアして、ずっと歌っていきたいですね。主人が、「ケイの声っていうのは唯一無二なんだよ。二人といない声ですごく特徴があるから、それは自信を持った方がいいし、大事にした方がいい。ケイが一番輝いているのはステージの上だからとにかく歌い続けなさい」ってずっと言ってくれていたんです。以前は「70歳までかな?」とも思っていたけど、あっという間にもうすぐ70歳だから(笑)、そういうことは決めないで歌える限り歌いたいと考えています。

――歌手活動50周年もまだ通過点ですね。

増田:歌っていうのは、人生にはいろんなことがある中で、自分を支えてくれたり、叱咤激励してくれたり、ある時には一緒に泣いてくれたりするような、本当に素晴らしい宝物だと感じています。皆さんに幸せな気持ちになったり、頑張ろうって思ってもらえたりする、そんな一夜にしたいと思っているのでぜひライブに足を運んでいただけたらうれしいです。

(取材・文:渡那拳 写真:高野広美)

増田惠子ソロコンサート「増田惠子・ソロデビュー45th anniversary concert I Love Singing スペシャル! ~ソロシングル、カバー、そしてピンク・レディー」は、I’M A SHOWにて2月6日開催。


【「増田惠子・ソロデビュー45th anniversary concert I Love Singing スペシャル! ~ソロシングル、カバー、そしてピンク・レディー」セットリスト】

<1部>
1「すずめ」1stシングル/作詞・作曲:中島みゆき
2「時代」カバー/作詞・作曲:中島みゆき
3「ためらい」2ndシングル/作詞・作曲:松任谷由実
4「春よ、来い」カバー/作詞・作曲:松任谷由実
5「らせん階段」3rdシングル/作詞・作曲:竹内まりや
6「人生の扉」カバー/作詞・作曲:竹内まりや
7「女優」4thシングル/作詞・作曲:桑田佳祐
8「涙のキッス」カバー/作詞・作曲:桑田佳祐
9「最後の恋」10thシングル/作詞:阿久悠・作曲:加藤登紀子
10「百万本のバラ」カバー/訳詞:加藤登紀子

<2部>
1「Stop! In the Name of Love」シュープリームス
2「It’s Too late」キャロルキング
3「AVEC LE FEU」フランスデビューアルバム収録曲
4「UFO」作詞:阿久悠 作曲:都倉俊一
5「渚のシンドバッド」作詞:阿久悠 作曲:都倉俊一
6「サウスポー」作詞:阿久悠 作曲:都倉俊一
7「慕情」/作詞・作曲:中島みゆき

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