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「今日、何を着る?」の悩みをAIが即解決! 話題のファッションアプリ「Alta」とは?

  • 2026.2.2
Hearst Owned

映画『クルーレス』に登場する、洋服をデジタル管理し、天候やシーンに合わせて最適なコーディネートを瞬時に提案してくれる“夢のクローゼット”。多くの人が一度は憧れ、そして挫折してきたその理想に、テクノロジーの力で現実的な答えを提示したのが、パーソナルスタイリストアプリ「Alta」創設者、ジェニー・ワンだ。

クローゼットの前に立ち、服は十分にあるはずなのに「着るものがない」と感じた経験は誰にでもあるはずだ。実際には問題は服の量ではなく組み合わせ方にある。人工知能(AI)搭載ファッションアプリ「Alta」は、手持ちの服をどう着回すか、そして本当に必要なアイテムは何かを教えてくれ、その行き詰まりを解消してくれる。

コンピューターが服選びを手伝うという発想は、かつては映画の中の空想に近いものだった。しかしChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)の進化によってそれが可能となった。ハーバード大学でコンピューターサイエンスを学び、その後「DoorDash」などのテック企業でキャリアを積んだワンは、まさにその最前線に立っている。

Alta

「Alta」の着想は、ワンの極めて個人的な悩みから始まったという。「新しいスタイリングを考えたり、オンラインで見たインスピレーションを自分のクローゼットに落とし込むのが難しく、結局毎週同じ組み合わせを着てしまっていました」と、現在28歳の彼女は語る。2022年にChatGPTが登場したとき、彼女とチームは、LLMと新たなAIの性能がついに“クルーレスクローゼット”を可能にするかもしれないと感じたという。

とはいえ、ファッションはAIにとって最も難解な分野のひとつだ。個人のスタイルの微妙な差異、生地の質感、体へのフィット感など、視覚的にも感覚的にも情報量が多い。ワンと彼女のチームは、既存のワードローブの着こなしから新たな購入アイテムの提案まで、膨大なデータを一つの的確なレコメンドへと落とし込む挑戦を続けている。

ファッションアプリ「Alta」で生成されたコーディネートの一例。 Courtesy of Alta

クローゼット管理アプリ自体は目新しいものではない。しかし、生成AIこそが欠けていたピースだったとワンは述べる。「アイテムの登録やタグ付けは手間がかかり、完成形を想像しながらコーディネートを手作業で作るのは時間も労力も必要でした」。「Alta」では、自分で撮った写真やインターネット上の情報からワードローブのデジタルアーカイブを驚くほど簡単に作成可能。AIがクローゼットの管理からタグ付け、そして予定やテーマ、天候に合わせたスタイリング提案までを瞬時に行ってくれる。

特筆すべきは手持ちの服をどれだけ活用できているかを数字で示す、着用回数ごとのコスト表示機能だ。「最もリクエストが多かった機能のひとつです。なぜなら、多くの人はクローゼットの20%しか着ていないから」とワンは説明する。この新たなアプローチは業界内でも高く評価され、カーリー・クロスやジャスミン・トゥークスといったモデルをはじめ、「Poshmark」共同創業者のマニッシュ・チャンドラ、「Rent the Runway」共同創業者のジェニファー・フレイスなど、名だたる投資家を惹きつけている。「Alta」ではCFDA(アメリカファッションデザイナー協会)と提携。数多くのブランドがアプリ内の商品カタログに参加している点も見逃せないだろう。

もう一つ、「Alta」の魅力を語る上で欠かせないのが、ユーザー一人ひとりに合わせて生成されるアバター機能だ。プロフィール写真と身体データをもとに、体形を含めたリアルなビジュアルを生成し、仮想試着を可能にする。「アバター上で服を見ることで、ユーザーは提案に対して直感的にイメージをつかみやすくなり、より納得感のある選択が可能になります」とワンは語る。「Alta」ではさまざまなコーディネートのリクエストに対応可能で、「残念な実験結果を発表しなければならない研究室のミーティングで、あたかも前向きな成果のように見せたいときの服」といった驚くほど具体的なプロンプトを入力する利用者もいるという。

Courtesy of Alta
「Alta」が生成したジャスミン・トゥークスのアバターとコーディネート。 Courtesy of Alta

時間とともにユーザーの好みを学習する「Alta」はパーソナルスタイリスト兼ショッパーのような存在だ。黒とネイビーは合わせない、スニーカーはジム専用にしたい、といったユーザーの嗜好を記憶し提案内容に反映。さらに、手持ちの服に似たアイテムを検知し、「それはもう必要ないかもしれません」と教えてくれる機能も備えている。

今後、「Alta」はどのような進化を遂げていくのだろうか。ワンはサービスの提供地域を広げながら、より多くの人に使ってもらうことを目指つつ(アプリのメンズウエア版も成長中)、コミュニティ要素を強化したスタイル提案フィードに注力していきたい、と語る。すなわちユーザーコミュニティの投稿と、厳選されたデザイナーやトレンドセッター、ファッション誌の編集者によるコンテンツが緩やかに交差していく構想だ。「人間は基本的にソーシャルな生き物です。自分の好みを集め、共有するのが好きですし、同時に他人が何を着てどんなことを考えているかにも興味があります」

Cassie Zhang

ワンは自らコードを書き、ユーザーから寄せられるフィードバックに熱心に耳を傾けながら新たな機能を少しずつ形にしている。プロンプトに「ピザパーティ」や「旅行」と入力すると、アバターの横にピザやスーツケースがそっと現れる、そんな小さな遊び心も忘れずに。「私たちはAIが善にも悪にもなり得る時代にいます」と彼女は語る。「『Alta』が善のためのAIアプリとして、使う人が自分らしく、いちばん輝ける状態でいられるよう寄り添う存在であること。それを私は心から大切に思っています」

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