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「片頭痛予防薬」で発作が半減、5割の患者で確認

  • 2026.1.30
片頭痛予防薬「CGRP関連抗体薬」が5割の患者の発作を半減 / Credit:Canva

吐き気を伴う強烈な「片頭痛」は、それが起こるたびに日常生活を大きく制限します。

光や音に耐えられず、仕事や家事を中断せざるを得ない経験を持つ人も少なくありません。

こうした片頭痛に対し、慶應義塾大学の研究チームは、2021年から日本で使用可能になったCGRP関連抗体薬について、実際の患者データを用いてその効果と安全性を検証しました。

その結果、この新しい予防薬によって、およそ5割の患者で月間の片頭痛日数が治療前の半分以下に減少していたことが明らかになりました。

この研究成果は、2026年1月15日に『Journal of the Neurological Sciences』のオンライン版に掲載されています。

目次

  • 片頭痛予防薬「CGRP関連抗体薬」で発作が半減
  • 満足度90%以上!光や音への過敏、吐き気も改善される

片頭痛予防薬「CGRP関連抗体薬」で発作が半減

片頭痛は、日本国内で有病率が約8.4%とされる、決して珍しくない疾患です。

治療は大きく分けて、発作が起きたときに痛みを抑える急性期治療と、発作そのものを起こりにくくする予防治療に分類されます。

これまで予防薬として使われてきたのは、抗てんかん薬や降圧薬、抗うつ薬など、本来は別の病気を対象に開発された薬です。

そのため効果に個人差が大きく、副作用のために継続が難しいケースも少なくありませんでした。

そこで注目されたのが、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)です。

CGRPは頭部の感覚を担う三叉神経系に多く存在し、片頭痛発作時に放出されることで血管拡張や炎症反応を引き起こすと考えられています。

つまりCGRPは、片頭痛の発症メカニズムに深く関わる重要な物質です。

CGRP関連抗体薬は、このCGRPそのもの、あるいはCGRPが結合する受容体に作用し、発作の引き金となる働きを抑えるよう設計された予防薬です。

日本では2021年から、月1回または3カ月に1回の皮下注射として使用できるようになりました。

では、このCGRP関連抗体薬はどの程度の効果を発揮するのでしょうか。

研究チームはその点を調べるため、2021年8月から2023年2月までに慶應義塾大学病院でCGRP関連抗体薬による治療を開始した片頭痛患者150人の診療データを、後方視的に解析しました。

対象には反復性片頭痛と慢性片頭痛の両方が含まれています。

解析では、月間片頭痛日数の変化に加えて、前兆や随伴症状、副作用、患者自身の治療満足度などが評価されました。

その結果、治療を継続していた患者のうち、6カ月後で54%、1年後で52%が、片頭痛日数を治療前の半分以下に減らしていたことが分かりました。

片頭痛で常々悩んでいる人にとって、これは大きな変化です。

より詳細な結果については、次項で確認しましょう。

満足度90%以上!光や音への過敏、吐き気も改善される

この研究では頭痛の回数だけでなく、片頭痛に伴う前兆や吐き気なども記録されていました。

解析の結果、閃輝暗点などの前兆症状や、光や音への過敏、吐き気や嘔吐といった随伴症状も、治療前と比べて改善していることが確認されました。

特に治療開始後およそ5カ月までは、こうした症状の軽減が続く傾向が見られています。

片頭痛では、痛みそのもの以上に、前兆や随伴症状が生活の質を大きく下げることが多いため、この点は臨床的に重要な意味を持ちます。

副作用として最も多く報告されたのは、注射部位反応(注射した部位が腫れる、赤くなるなど)でした。

その頻度は投与開始1カ月後で24%、6カ月後で25%、1年後には11%と、時間の経過とともに減少しており、 重篤な副作用は報告されていません。

さらに注目すべきなのが、患者満足度の高さです。

6カ月後の時点で92%、1年後には94%の患者が、治療に満足している、あるいはやや満足していると回答していました。

これは効果の実感に加えて、副作用の少なさや注射頻度の低さなど、治療全体が受け入れられていることを示しています。

このような結果は、CGRP関連抗体薬が従来の予防薬と比べて、発作の発生経路そのものを効率よく抑えられる可能性があることを示しています。

今後は、CGRP受容体を標的とした経口薬や、点滴静注製剤に加えて、電気や磁気で神経の働きを調整する「ニューロモデュレーション」と呼ばれる治療など、新たな方法の導入も進むと考えられています。

CGRP関連抗体薬は、そうした多様な選択肢の中で、片頭痛予防治療の重要な柱となっていく可能性があります。

参考文献

片頭痛 CGRP関連抗体薬による治療で5割の患者の発作が半分以下に減少-慶應義塾大学チームが検証-
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2026/1/29/28-172358/

元論文

A 12-month observational study on the safety, efficacy on migraine-associated symptoms and satisfaction of CGRP monoclonal antibodies in Japanese patients with migraine
https://doi.org/10.1016/j.jns.2026.125751

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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