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「月々1万円台」で新車契約→数年後、解約を申し出ると…クルマのプロが語るカーリースの“落とし穴”

  • 2026.3.1
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。自動車販売・整備・保険業に27年従事している河野みゆきです。

月々1万円台で新車に乗れる――最近よく目にする広告です。頭金なし、税金込み、家計管理もラクそうで「これならアリかも」と感じる方も多いのではないでしょうか。

でも同時に、「本当にそれだけで済むの?」「あとから追加費用がかかることはない?」と、少し不安になるのも正直なところ。

カーリースは、上手に使えばとても合理的な仕組みです。ただし、仕組みを理解せずに契約してしまうと、「思っていたのと違った」と感じてしまうこともあります。

カーリースは「買う」ではなく「利用する」という選択

まず知っておきたいのは、カーリースは購入ではなく利用だということです。契約期間中、月額料金を支払いながら車を使い、満了時には基本的に返却します。月額には、車両代のほか、自動車税や重量税、自賠責保険などが含まれていることが多く、まとまった出費がないのは大きなメリットです。こういった点から、家計を毎月定額にしたい人にとっては安心感があります。

一方で、任意保険やガソリン代、駐車場代は別。プランによってはメンテナンス費用も含まれません。そのため、ただ月額だけ見れば安心というわけではないのです。

そして、月額が安く見える理由のひとつに残価設定があります。契約終了時の想定下取り価格をあらかじめ差し引いた金額を分割しているため、数字だけ見るとお得に感じやすい仕組みです。だからこそ、事前に総支払額を確認しておきましょう。

月額の安心感と見落としがちなポイント

ここで、実際にあったカーリースに関するお話を紹介します。

Aさんは、子どもの進学をきっかけに車を買い替えることにしました。頭金を用意せずに済むカーリースを選び、「毎月定額なら管理もしやすい」と安心して契約。実際、家計の見通しは立てやすく、車検時の大きな出費に慌てることもなく、快適なカーライフを送っていました。

ところが数年後、ご主人の転勤が決まり、車が不要になったのです。そこで、中途解約を申し出たところ違約金が発生することを知り、驚いたAさんはわたしのところに相談にきました。

カーリースは、全損や海外への転勤などやむを得ない事情がなければ、原則として中途解約ができません。また、やむを得ない事情でも残りのリース料相当額を求められるケースがあります。これは約款に記載されていますがAさんは約款をよく読んでいませんでした。

わたしがそのことを伝えると、「途中でやめられると思っていた」とのこと。

この思い込みが、後悔につながることもあるのです。結局、Aさんは契約終了まで9か月でしたが、実家に車を置き帰省した際、乗ることにしました。

カーリースのルール

このようにカーリースにはさまざまな制限があります。

走行距離制限も見落としがちなポイントです。契約で定められた距離を超過すると、1kmごとに精算が発生します。そのため、通勤距離や帰省、レジャーの頻度まで含めて現実的に考えておくことが必要です。

さらに返却時には、通常使用を超える傷やへこみについて原状回復費用が発生することもあります。小さな擦り傷でも査定対象になる場合があるため、事前に基準を確認しておくと安心です。

得かどうかよりも暮らしに合うかどうか見極めよう

制限だけ見ると、「カーリースは損?」と思うかもしれません。しかし、そうとも言い切れず、短いスパンで新車に乗り換えたい人や頭金を出したくない人、家計をシンプルに管理したい人にとっては、とても相性のいい選択肢です。

一方で、長く乗り続けたい人や、走行距離が多い人、ライフスタイルの変化が予想される人は、購入の方が合う場合もあります。

大切なのは、安いかどうかではありません。

  • 今の自分の暮らしに合っているかどうか
  • 契約期間は何年か
  • 途中で環境が変わる可能性はないか
  • 毎月どれくらい走るのか

少し立ち止まって考えるだけで、選択はぐっとクリアになります。

カーリースは魔法の仕組みではありません。しかし、正しく理解して選べば、暮らしを軽くしてくれる選択肢にもなります。広告の数字だけで判断せず、自分の生活にフィットするかどうかを基準に考えましょう。それが、あとから「こんなはずじゃなかった」とならないための、いちばんの近道です。



ライター:河野みゆき
自動車販売・整備・保険業に27年従事。損害保険募集人資格を保有し、車両購入からメンテナンス、カーライフに関わる保険まで幅広く対応。現場経験をもとに、ユーザー目線でわかりやすい情報発信を行っています。


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