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「20畳なら30万円の機種を」は間違い?昭和の基準で選ぶと大損、一級建築士が教える14畳用で十分なワケ

  • 2026.3.1
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「20畳のリビングなら、このクラスが安心ですよ。パワーがないと十分に冷えないこともありますから」

家電量販店の店員さんのアドバイスを参考に、30万円を超える20畳用エアコンの購入を検討される方は少なくありません。一見、適切な選択に見えるこの基準には、現在の住宅性能とのミスマッチが隠れていることがあります。

実は、エアコンのカタログに載っている「14畳〜20畳」といった目安は、1964年(昭和39年)に制定された無断熱の木造住宅を基準に算出されています。

アルミサッシから隙間風が入り、壁に断熱材がほとんどなかった時代の基準を、気密性や断熱性が向上した現代の家(高気密・高断熱仕様)にそのまま当てはめると、過剰なスペックとなる場合もあるのです。

「大は小を兼ねない」エアコンの選び方

「パワーがあるに越したことはない」と思われがちですが、エアコンにおいてオーバースペックは、かえってデメリットが生じることもあります。

・頻繁なON/OFFの繰り返し
パワーが強すぎると、部屋がすぐに冷えすぎてしまい、エアコンが頻繁にON/OFFを繰り返すことがあります。これを「サーモオフ」と呼び、電力効率が下がったり、故障の原因になったりすることもあります。

・除湿がしにくくなる不快感
エアコンは冷やす過程で除湿を行います。すぐに設定温度に達して運転を弱めてしまうと、湿度が下がりにくく、「室温は低いけれどジメジメする」という環境になってしまうケースもあるのです。

20畳+吹き抜けに14畳用は「過剰」だった?

ここで、筆者の自宅(高気密・高断熱仕様)での体験談をお話しします。LDKは20畳あり、さらに大きな吹き抜けが繋がっている空間です。

計算上は26畳用くらいを勧められることもある広さですが、あえて「14畳用」を設置してみました。結果はどうだったのでしょうか。

「冷房は常に弱運転。それでも十分に冷える」

あくまで高気密・高断熱仕様である筆者宅での体感であり、実際の効果は住宅環境により異なりますが、14畳用でもまだ余裕があるように感じます。「6畳用」のモデルでも、サーキュレーターを併用すれば、この空間をコントロールできたのではないかと感じるほどです。

建築士が提案する「エアコン選び」の視点

家電量販店のチャートで選ぶ前に、以下の3つの視点を持ってみてください。

・「UA値(断熱性能を表す数値)」を確認
ご自身の住まいのUA値が0.6以下(一般的な地域でのZEH基準相当)の高い断熱性能があるなら、表示畳数より1〜2ランク下げても問題ないケースが多いといえます。

・適切なモデルを安定して稼働させる
上位機種は多機能ですが、冷やす能力そのものは普及モデルでも対応できる場合が多いです。小さなエアコンを安定して低速運転させる方が、湿度も下がりやすく、快適に過ごせる傾向にあります。

・吹き抜けは「気流」で工夫する
暖房効率が気になる場合は、パワーを上げるだけでなく、サーキュレーターや床暖房との組み合わせを考えることで、ランニングコストを抑えられる可能性が高まります。

住宅の性能に合わせた設備選び

20畳用と10畳用のエアコンでは、本体価格だけで20万円以上の差が出ることがあります。高断熱・高気密の家に住むのであれば、その差額を他のインテリアや設備にあてるのも一つの考え方です。

「住宅の性能を高めることで、家電のサイズを抑えられる可能性がある」ということです。

店員さんのアドバイスを参考にしつつ、ご自身の家の性能を改めて確認してみてください。一回り小さなエアコンを選ぶことが、本当の意味での「快適な空気環境」を手に入れるきっかけになるかもしれません。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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