1. トップ
  2. 「バンパーをこすったけど、保険を使うべき?」10ヶ月後、修理費7万円で保険を使ったオーナーの末路

「バンパーをこすったけど、保険を使うべき?」10ヶ月後、修理費7万円で保険を使ったオーナーの末路

  • 2026.2.27
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。自動車販売・整備・保険業に27年従事している河野みゆきです。

「バンパーをこすってしまったけど、保険を使うべき?」

自損事故のあと、多くの人がここで迷います。

SNSでは「少額で保険は使うな」という声も見かけますが、本当に大切なのは感覚ではなく数字。修理代の高い・安いではなく、3年間の総負担額で考えることが後悔を減らすポイントです。

私は自動車業界で長く仕事をしてきましたが、この判断で明暗が分かれたケースを見てきました。

保険を使って後悔したケース

私の印象に強く残っているのがAさんのケースです。

更新を終えたばかりのタイミングで、駐車場のポールに接触。リアバンパーの修理費は7万円です。見積書を前にAさんから、「保険を使ったほうがいいですよね?」と相談されました。

私は、保険を使った場合の概算をお見せしました。

・3等級ダウン
・事故有係数3年適用
・保険料は3年間で約6万円増加見込み

差額は大きくありません。

「今後3年間、何もなければ大きな損はありません」と説明しましたが、同時に「次に事故があった場合は影響が大きくなります」ともお伝えしました。

Aさんは少し迷った末、「せっかく入っているから」と使用を決断。保険対応で修理を完了させました。

ここまでは、よくある判断です。

ところが10か月後、今度は交差点で車両同士の事故。修理費は高額で、保険を使わない選択肢はありませんでした。

更新見積を作成したとき、Aさんの表情が変わりました。

・1年間で2回の事故
・合計6等級ダウン
・事故有係数の長期化
・保険料は年間約18万円増
・車両保険は免責設定付き条件へ

最初の7万円は小さな判断に見えましたが、等級を下げた状態で次の事故を迎えたことが、結果を大きくしました。

「最初の7万円、自分で払えばよかったですね…」

この言葉は、制度の仕組みそのものを物語っています。

保険を使ってよかったケース

一方で、Bさんのケースは対照的でした。

高速道路を走行中、突然イノシシが飛び出してきて、衝突。衝撃は大きく、フロントバンパーだけでなくラジエーターやセンサー類まで損傷したのです。修理見積は約45万円でした。

Bさんはエコノミー型の車両保険に加入していましたが、「単独事故は自損事故と同じで対象外ですよね?」と不安そうに尋ねてきたのです。

しかし、動物との衝突は補償対象であり、保険金が支払われるとのこと。Bさんは安心して修理ができました。

仮に、3年間で保険料が6〜8万円上がったとしても、45万円の自己負担との差は明確です。

このときBさんが、「エコノミーでも車両保険に入っていて本当によかった」と言っていたのが印象に残っています。

※動物との衝突事故における車両保険の適用範囲は、加入している保険会社やプランによって異なります

AさんのケースとBさんのケースの違い

このように、同じ保険を使うという行為でも、意味合いはまったく違います。

Aさんは予測可能な少額修理、Bさんは予測不能な高額損害。その違いが、結果を分けました。

迷ったら3年間の総額で比べてみる

自損事故で保険を使うか迷ったとき、多くの人が基準にするのは修理費の金額です。しかし、本当に見るべきなのは、3年間の実質負担額です。原則として、保険を使うと3等級ダウンし、事故有係数が適用されます。これにより保険料は約3年間高い状態が続きます。

つまり、判断材料は次の3つです。

・修理費はいくらか
・免責金額はいくらか
・保険を使った場合の3年間の保険料の増額はいくらか

保険会社や代理店に確認すれば、翌年の保険料と概算の増額総額は教えてもらえます。

たとえば、修理費8万円、3年間の増額7万円なら、たとえ免責ゼロでも保険を使うメリットはさほどありません。さらに、事故有期間中に再度事故が起きれば、影響は拡大します。一方、修理費40万円で増額が8万円程度なら、合理的に使う判断になります。

なお、3年の長期契約に加入している場合も注意が必要です。契約期間中は保険料が固定でも、事故を起こせば等級は進まず、満期更新時にまとめて反映されます。「今は上がらないから安心」と思っていると、更新時に大きな差が出ることがあります。

目安としては、10万円未満は慎重に、20万円超は前向きに。ただし、更新直後や事故有期間中、長期契約の満期前後はよりシビアに判断しましょう。

自損事故の判断は、「今回いくら戻るか」ではなく、等級を下げた状態で将来を迎えるリスクを受け入れるかどうか。数字で比較することが、後悔を防ぐ最も確実な方法です。


筆者:河野みゆき
自動車販売・整備・保険業に27年従事。損害保険募集人資格を保有し、車両購入からメンテナンス、カーライフに関わる保険まで幅広く対応。現場経験をもとに、ユーザー目線でわかりやすい情報発信を行っています。


「ちょっと聞いてよ!」日常の出来事を、TRILLでシェアしませんか?【2分で投稿完了・匿名OK】