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「15万円の修理に保険を使ったら、3年間で20万円も…」3等級ダウンが招く“自動車保険の落とし穴”

  • 2026.2.25
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。自動車販売・整備・保険業に27年従事している河野みゆきです。

「車両保険に入っているのだから、使わないともったいない」

実はこの考え方が、あとから後悔につながるケースは少なくありません。車両保険は確かに強い味方ですが、使えば必ず得になる仕組みではないからです。大切なのは保険金が出るかどうかではなく、トータルでいくら支払うことになるかという視点です。

車両保険は「使えば得」とは限らない理由

自動車保険を使うと等級が下がり、翌年以降の保険料は上がります。しかも影響は1年だけでなく、通常は事故の種類に応じて2〜3年ほど続きます。1回使っただけでも、更新時の保険料が想像以上に変わることがあるため、使う前の確認がとても重要です。

たとえば、自損事故で修理費が15万円かかり車両保険を使った場合、3等級ダウンとなり、契約条件や年齢条件によっては、その後3年間で保険料が合計15万〜20万円前後増えるケースもあります。さらに、事故有係数が適用される期間は割引率も抑えられるため、「等級が下がる+割引が効きにくくなる」という二重の影響を受けるのです。

また見落としがちなのが、車両保険には免責金額(自己負担額)が設定されていることです。たとえば免責が5万円なら、修理費15万円でも保険金は10万円で満額出るわけではありません。このように、実際に受け取る金額と将来増える保険料を並べて比較しなければ、誤った判断をしてしまうのです。

使うべきケース・使わない方がよいケース

ここで、わたしが経験した判断例を紹介します。

Aさんは20等級。自損事故でリアバンパーとフェンダーを損傷し、修理見積りは11万円でした。保険を使うか迷いましたが、事前にシミュレーションを行ったところ、保険を使った場合の保険料増加は3年間で約7.1万円。将来の増加額よりも今回の修理費の方が大きいため、トータルではプラスと判断し、保険を使う選択をしました。

一方、Bさんは12等級。同じく自損事故で、修理内容も見積り額もほぼ同じ11万円でした。しかし、事前に試算したところ、保険を使うと3年間で約10.4万円の保険料アップになることが判明。差額がほとんどなく今後の契約条件への影響も考え、今回は保険を使わず自費修理を選びました。

さらに、免責条件で判断が変わったケースもあります。

Cさんは車両保険に、「免責5万円–10万円(車対車は免ゼロ)」の設定をしていました。走行中の飛び石でフロントガラスが割れ、見積りは約18万円。飛び石での損害は1等級ダウン事故となるため、免ゼロ特約は、相手車両が確認できる車同士の事故に限って適用されるため、飛び石はその他事故扱いとなり、免責5万円が適用されます。つまり、保険を使っても実際に支払われるのは約13万円です。飛び石での損害で保険を使っても、等級は1等ダウンなので車両保険を使うつもりでしたが、保険料増加も確認したところ、トータルでは自己負担との差が小さいことが分かり、今回は保険を使わない判断になりました。

車両保険はなんとなく使うよりここぞで使う

車両保険は入っているだけで安心感がありますが、すべての修理で毎回使うのが正解、というわけではありません。

本来は、大きな事故や予想外のトラブルで出費が重くなる場面を支えるための備えです。だからこそ、軽いキズや小さなへこみまで反射的に使うのではなく、「これは本当に保険を使う場面か?」と一度立ち止まって考えるクセをつけておくと、あとから後悔することもありません。

実際のところ、保険を使うかどうかは知識というより確認ひとつで差が出ます。試算を出してもらう、免責をチェックする、将来の保険料を聞く。それだけで判断の精度はかなり上がるでしょう。

車両保険は、上手に付き合えばとても頼れる存在です。なんとなく使うのではなく、「ここぞ」という場面でしっかり使う――そんな意識で考えてみてください。



筆者:河野みゆき
自動車販売・整備・保険業に27年従事。損害保険募集人資格を保有し、車両購入からメンテナンス、カーライフに関わる保険まで幅広く対応。現場経験をもとに、ユーザー目線でわかりやすい情報発信を行っています。


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