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たった5万円ケチっただけなのに…築30年中古戸建てを2,180万円で購入→半年後、40代夫妻を襲った大誤算

  • 2026.2.25
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

家の中を歩いたとき、床が「少し沈むな」と感じたことはありませんか。築年数の古い住宅では、湿気や木材の劣化で床がたわむこともあります。

ただし、同じ症状でもシロアリ被害が原因になっているケースもあり、見た目だけでは判断できません。

今日は、床の“ぶよぶよ”を軽く考えた結果、200万円超の修繕費と住まいへの不信感を背負うことになったご家族の話をご紹介します。

「床がぶよぶよする」内覧時に感じた小さな違和感

私の知人である、40代のAさんご夫婦が体験した話です。

3年前、築30年の中古戸建てを2,180万円で購入しました。周辺相場より約150万円安く、「この条件ならお得だ」と感じて決断したといいます。

購入を決める前の内覧時のことです。リビングの一角を歩いたとき、床がわずかに沈みました。

「ここ、少し柔らかくないですか?」

Aさんがそう尋ねると、担当者は落ち着いた口調で答えました。

「建物も古いですし、日当たりがあまり良くない部屋なので湿気の影響でしょう」

確かに、木造住宅では湿気や経年劣化で床材が傷むことはあります。ただ、同じ“沈み”でも原因がシロアリ被害というケースも珍しくありません。見た目や踏み心地だけでは判断できないのが怖いところです。

このとき、シロアリ調査(専門業者による床下点検)は任意で、費用は約5万円と説明されました。

Aさんは迷いながらも、こう考えます。

  • 相場より安いからお得
  • 築30年なら多少の傷みはあると言われた
  • ほかにも検討している人がいると聞き、急いだほうがいいと思った

そのため、大げさに心配する必要はないと判断し、調査は依頼しませんでした。

床のわずかな沈み。たった5万円の調査。このときの判断が、のちに大きな代償へとつながります。

入居後に広がる“フワフワ”と異音

入居から半年ほど経った頃、あのときの違和感は大きな異変に変わりました。歩くたびに「ギシッ」と音が鳴りはじめたのです。最初は一箇所だった床の沈みが、どんどん増えていきます。踏むたびに、足裏に伝わる嫌な柔らかさ。

「これ、やっぱりおかしくない?」「もしかしてシロアリ被害じゃない?」

奥様が不安そうに言ったとき、Aさんもようやく事の重さに気づきました。すぐに地元のシロアリ業者へ点検を依頼します。

床下点検口を開け、職人が懐中電灯で中を照らした瞬間、空気が変わりました。

「これは、シロアリですね」

木材の表面だけではありません。土台(基礎の上に載る建物を支える重要な木材)や、床を支える束柱(床下で床を支える短い柱)まで食い荒らされていました。

木の中身はスカスカ。指で押すと崩れるほど劣化していたそうです。部分的な床の張り替えで済む段階は、すでに過ぎていました。

200万円超の見積と、逃げ道のない契約

工務店から提示された見積は、想像を超える金額でした。

  • シロアリ駆除費用:約35万円
  • 土台・束柱の交換補修:約140万円
  • 床の張り替え・内装復旧:約40万円

合計215万円。Aさんは思わず声を上げました。

「これ、売主に請求できませんか?」

しかし、契約書には「契約不適合責任を免責する」と明記されています。これは、引き渡し後に不具合が見つかっても、売主が原則として責任を負わないという特約です。個人が売主となる仲介取引では、実際によく見られます。売主が故意に隠していたなどの事情がない限り、法的に責任を追及するのは簡単ではありません。

結果として、修繕費は自己負担となりました。住宅ローンの返済は月約8万円。そこへ、200万円超の修繕費。

Aさんはリフォームローンを組み直し、毎月の返済は約12万円に増えました。年間で約48万円の負担増です。さらに、工事は住みながら行うしかありませんでした。

中古住宅は自分でも調べ、専門家の目で必ず確認する

後日、Aさんはこう打ち明けました。

「安い理由を、ちゃんと考えていませんでした」

中古住宅で本当に怖いのは、「よくあることです」「大丈夫ですよ」という何気ない一言です。悪意があるとは限りません。ただ、その言葉に根拠がなければ、安心材料にはなりません。

今回であれば、契約前に第三者の建物検査(ホームインスペクション)を行う選択がありました。数万円~数十万円ほどの費用で、200万円を超える修繕リスクを避けられた可能性があります。

本来、取るべきだった行動は次のとおりです。

  • シロアリ調査を契約前に実施する
  • 床下の写真付き報告書で被害の有無を確認する
  • 契約不適合責任の免責条項の意味を理解する
  • 必要であれば価格や補修条件を交渉する
  • 少しでも不安があれば契約を急がない

中古住宅は、年月とともにどこかに傷みが出るものです。だからこそ、確認を怠れば、その負担は最終的にすべて買主が背負うことになります。

少しでも建物の状態に違和感を覚えたら、そのままにしないこと。自分でもきちんと調べ、さらに専門家の目で確認してもらう。それが、後悔しないための一番確実な備えです。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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