1. トップ
  2. ホテルで、客を別の部屋に案内→新人スタッフ「どうしよう」とパニックに…その後、先輩スタッフが取った“行動”とは?

ホテルで、客を別の部屋に案内→新人スタッフ「どうしよう」とパニックに…その後、先輩スタッフが取った“行動”とは?

  • 2026.2.16
undefined
出典元:phootAC(※画像はイメージです)

接客業の現場では、新人スタッフのミスは避けて通れません。忙しい時間帯ほど、「なぜこんなミスをしたのか」と感情が先に出てしまいがちです。

しかし、その場の叱責が本当に正解なのでしょうか。ミスを防ぐことと、人を育てることは、必ずしも同じアプローチではありません。

今回は、私が夜間フロントで新人スタッフのミスに直面した際、あえて「叱らない」選択をした実体験をご紹介します。

パニックが伝染する瞬間

その日は週末の夜、館内はほぼ満室でした。

電話対応とチェックインが重なり、フロントが最も慌ただしくなる時間帯。そんな中、新人スタッフが予約確認を誤り、本来とは異なる客室へお客様をご案内してしまうというミスが発生しました。

ミスが発覚したとき、お客様はすでに入室済み。

「どうしよう……」

新人スタッフの顔は一気に引きつり、そのパニックは周囲の空気をも止めてしまうほどでした。ここで私が強い口調で注意をすれば、彼はさらに混乱し、現場は完全に崩壊してしまうでしょう。私は直感的に、「今は教育の時間ではなく、防衛の時間だ」と判断し、まず彼を一度後ろへ下がらせ、自分がお客様の前へ出ることにしました。

優先順位は「対応の完遂」と「再起の保護」

私が最優先に考えたのは、「お客様へのリカバリー」と「新人の精神状態」を同時に守ることです。

まず、お客様には事実関係を簡潔に説明し、余計な言い訳を排して速やかに正しい客室へご案内しました。一方で、新人スタッフに対しては、その場での原因追及を一切行いませんでした。 なぜなら、人は過度なストレス下に置かれると、学びを吸収できなくなるからです。

業務がようやく落ち着いた後、私は改めて彼に声をかけました。

「ミス自体は誰にでもある。ただ、どのタイミングで確認が抜けたのか、一緒に振り返ってみよう」

責めるのではなく、確認手順を一つずつ整理しました。そして「次に同じ状況になったら、どの動作を挟むべきか」を具体的に言語化してもらったのです。納得感を持って振り返ることで、初めてミスは「経験」へと変わります。

個人の「能力」ではなく「仕組み」で解決する

その後、同様のミスを防ぐために、私はあるアクションを起こしました。

それは、チェックイン時の確認項目を簡略化した「確認メモ」を作成し、チーム全体で共有することでした。

個人の不注意を責めるのではなく、「不注意が起きても、仕組みが止めてくれる状態」に変えたのです。 自分のミスがきっかけで職場が改善されたことを実感した新人スタッフは、徐々に落ち着きを取り戻し、「次は自分で判断できます」と前向きな言葉を口にするようになりました。

育成とは、ただ叱ることではありません。「安心してミスを振り返り、改善できる環境」を整えること。その両立こそが、チーム全体の底力を高めるのだと確信しました。

現場力とは「先の成長」を見据える力

新人のミスへの対応は、リーダーの現場力と人間力の両方が試される場面です。 目の前の業務を片付けるだけでなく、その先にいるスタッフの成長まで見据えて行動できるか。

その積み重ねが、スタッフに安心感を与え、結果としてお客様に信頼される強い現場を作っていくのだと思います。今日もお互い、チームの「明日」を育てる一歩を大切にしていきましょう。


ライター名:相沢 凌

ホテル業界で約10年間勤務。フロント業務を中心に、新人育成や現場フォローを多数経験。実体験をもとに、再現性のある接客・育成ノウハウを発信している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名OK】