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ホテルで「騒音で眠れない」と訴える海外客→客室の変更を提案するが?…その後、客が放った“一言”に「一筋縄ではいかない」

  • 2026.2.15
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ホテル運営において、多様なリクエストや予期せぬトラブルへの対応は日常茶飯事です。しかし、これこそが接客の要であり、スタッフのスキルが最も試される場面でもあります。

私は以前、都内のライフスタイルホテルでフロントデスクとして勤務していました。ある夜、言葉の壁や厳しい要求が重なる困難なクレーム対応に直面しましたが、最終的にはお客様に納得していただき、笑顔で解決することができました。

今回はその実体験をもとに、現場で役立つ判断軸と、再発防止に向けた仕組みづくりについてご紹介します。

深夜のフロントで起きた予期せぬ騒音トラブル

ある日の夜10時ごろの出来事です。

一人の海外の男性ゲストが、非常に険しい表情でフロントに現れ、「騒音で眠れない」と訴えられたのです。原因は、近隣で行われていた夜間の水道工事でした。

対象の客室には、チェックイン時に説明と耳栓をお渡ししていましたが、「到着してから知らせるなんておかしい。予約時点で分かっていれば、キャンセルもできたのに」と強い不満を示されました。

さらに「仕事で利用している。眠れないのは本当に困る!」とカウンターを叩きながら怒りを露わにされていました。

現場の緊張感が一気に高まり、同じカウンターで会話していた他のスタッフやゲストも「何事だ」という様子でこちらに視線を向けます。私は再度深く謝罪し、工事のスケジュールを説明しましたが、事態は「全額返金」を要求される厳しい局面へと発展しました。

「マニュアル」と「目の前のお客様」の間で導き出した最適解

まずは基本フロー通り、静かな高層階への客室振替(アップグレード)を提案しました。

しかしゲストは、「ほとんど眠れていない」と一貫して返金を希望。「これは一筋縄ではいかない……」と内心焦りながらも、冷静に考えを巡らします。

通常、外部の工事による騒音はホテル側の責任範囲外(免責事項)となるケースがほとんどです。しかし、私は今回のケースにおいて、「予約段階での情報提供が不十分であったこと」を重く受け止め、以下の要素を総合的に判断して特例の提案を検討しました。

  • 客室の状況: 工事現場に近く、明らかに遮音の限界を超えていた。
  • 滞在目的: ビジネス利用であり、睡眠不足が翌日の仕事のパフォーマンスに直結する。
  • 顧客属性: リピーターであり、今後も良好な関係を築きたい大切な顧客である。

そこで、上長へ即座に状況を報告し、「予約時の告知漏れに対するお詫び」としての承認を得たうえで、「工事の影響があった日数分のみの返金」と、不便をおかけしたことへの共感を示す「朝食1日分の無料提供」をセットで提案しました。

一歩踏み込んだ提案に、ゲストは「自分の状況を理解してくれてありがとう」と、最後には穏やかな表情を見せてくださいました。

トラブルを「個人の経験」で終わらせない組織の仕組み化

対応後すぐに予約課と情報を共有しました。現時点で予約済みのゲスト全員へ工事の件を改めて通知し、希望者には無料キャンセルを受け付ける体制を整えたのです。

さらに、新規予約に対しても即通知が届くよう運用を変更し、リスク回避を強化。フロントでは、新人スタッフ含め全員にチェックイン時の再説明を徹底しました。

私は今回の経験から、トラブル対応においてマニュアルに縛られない「柔軟な判断」が必要だと実感しました。ゲストの事情に理解と共感を示し、ときにパーソナルな対応といった「プラスアルファ」の提案をできることが、お客様満足度を向上させ、再来へつながるカギになると信じています。

寄り添う姿勢が「マイナス」を「プラス」に変える

一見、収拾がつかないように見えるトラブルでも、冷静な状況整理と相手の立場に立った「プラスアルファ」の提案があれば、解決の道は見えてきます。

大切なのは、マニュアルを型通りに守ることだけではなく、「お客様が何に困っているのか」を本質的に理解しようとする姿勢です。今回のエピソードが、皆さんの現場でゲストの笑顔を増やす一助となれば幸いです。


ライター名:まきお

実体験をもとに「信頼できる・役立つ情報」を、読者の心へ届けるWebライター。ホテルや飲食店など15年以上の接客経験。和スイーツカフェの店舗責任者として7年以上勤務、スタッフ育成やお客様対応に従事。アイルランド留学、海外ボランティア、マレーシア現地採用など多様な環境で得た学びを掛け合わせ、働き方や海外生活に関する記事を執筆中。


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