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「近所で工事してる者ですが」40代女性の戸建てに突然の訪問者が…一級建築士が教える“賢い断り方”

  • 2026.2.28
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「近所で工事をしている者ですが、お宅の屋根の状態が少し気になりました。よろしければ無料で点検しましょうか?」

戸建てに住むAさん(40代女性)のもとに届いた、このような提案。

大切なお家を長く持たせたいと考えている方にとって、プロによるチェックは心強いものです。実際に、こうしたきっかけから適切なメンテナンスにつながるケースも少なくありません。

一方で、無料点検の結果として、そのまま数十万円から数百万円の契約を急かされて戸惑ってしまうという相談も、建築士のもとには届きます。

今回は、無料点検そのものの良し悪しではなく、その後の「判断」で大誤算を防ぐためのポイントをお話しします。

契約を急ぐ前に知っておきたいこと

屋根や床下は、住まいの中でも普段は目にすることが難しい場所です。だからこそ、点検結果を聞くときは、以下の流れを意識してみるのが一つの方法です。

・写真の内容を丁寧に確認する
「ここが傷んでいます」と写真を見せられた際、それが自分の家のどの場所なのか、具体的にどの部材がどうなっているのかを確認しましょう。説明が具体的でない場合は、立ち止まって考える時間を持つことが大切です。

・緊急性を冷静に見極める
「今すぐやらないと危険」と言われると、つい焦ってしまいます。しかし、住宅の劣化は数日のうちに急激に進むものばかりではありません。まずは落ち着いて、家族や信頼できる知人に相談する余裕を持ちたいものです。

・「今日だけ」という言葉を慎重に受け止める
「今日決めれば安くなる」という提案は魅力的に聞こえますが、本来メンテナンスの費用は、材料や手間によって決まるものです。金額の根拠がはっきりしているか、見積書の中身をじっくり見る時間が必要です。

プロが教える「納得のいく見積書」の見方

工事の内容に納得するためには、見積書の「細部」に注目してみてください。

・「一式」の内容を具体化してもらう
見積書が「屋根補修工事一式」など、まとまった項目ばかりだと、費用の内訳が分かりにくいことがあります。どのような材料を使い、どの範囲を施工するのかを、できるだけ細かく出してもらうのが安心です。

・保証の内容を確認する
「10年保証」といった期間だけでなく、どのような不具合が対象になるのか、書面で確認しておきましょう。

屋根に登る際のリスク管理

屋根の点検は、登ること自体にいくつか注意点があります。

・部材への配慮
瓦や板金などは、踏み方によっては傷をつけてしまう可能性もゼロではありません。点検前に、どのような方法で確認するのかを聞いておくのもよいでしょう。

・安全の確保
万が一の事故を防ぐため、安全対策(ヘルメットやハシゴの固定など)がきちんとなされているかも、信頼できる判断材料の一つとなります。

大切なのは、「誰に、どのように点検してもらうか」という安心感です。初めて接する業者の場合は、まずは名刺やパンフレットを受け取り、じっくりと検討するステップを踏むのがおすすめです。

後悔しないための「3つのステップ」

無料点検の結果、補修が必要だと感じたときは、以下の順序で進めるのが一つの方法です。

1.その場では契約せず、一度検討する
「家族と相談します」と伝え、一晩置いて冷静になる時間を作りましょう。

2.情報を記録しておく
会社名や担当者名、連絡先などを控え、どのような実績があるのかを確認してみるのも安心です。

3.必要に応じて第三者に相談する
普段から付き合いのある工務店や、住まいを建てたメーカーに、提示された写真や見積もりを見せて意見を聞くことで、より確実な判断ができるようになります。

大切なお家を守るための「丁寧な対話」

無料点検をきっかけに、お家の弱点が見つかることは素晴らしいチャンスです。それが「大誤算」にならないためには、業者との対話を通じて、お互いに納得できる形を探っていく姿勢が欠かせません。

「見えない場所」だからこそ、丁寧な説明と、ご自身の納得感を大切にしてください。

誠実な業者であれば、あなたの不安に寄り添い、じっくり待ってくれるはずです。家を愛する気持ちを、最良の形でのメンテナンスにつなげていきましょう。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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