1. トップ
  2. 築14年、人気マンションを3,980万で購入→5年後の査定で…40代夫妻を襲った“大誤算”【不動産のプロは見た】

築14年、人気マンションを3,980万で購入→5年後の査定で…40代夫妻を襲った“大誤算”【不動産のプロは見た】

  • 2026.3.2
undefined
出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

マンションを購入する際、多くの方が次のような点を判断材料にしています。

  • 人気エリアだから安心
  • 大規模マンションだから価格は下がりにくい
  • 管理が行き届いているから将来も心配ない

いずれも大切な視点ですが、それだけで安全とは言い切れません。

住み心地や外観、共用部のきれいさに目が向く一方で、「将来いくらで売れるのか」まで具体的に想定して購入している方は少ないのです。

今日ご紹介する40代のご夫婦も、購入当時は安心材料がそろっていると感じていました。しかし、いざ売却を検討したとき、想定外の持ち出しが発生します。

住み替えのつもりが、結果的に家計へ大きな負担を残すことになったケースです。

人気エリアという安心感が判断を鈍らせた

5年前のことです。40代前半のAさんご夫婦が購入したのは、駅徒歩12分、総戸数280戸の大規模マンションでした。築14年で外観や共用部もきれいに管理されており、価格は3,980万円。

営業担当からは、人気エリアなので資産価値は落ちにくいという説明を受けました。その言葉が後押しとなり、購入を決断されたといいます。

立地条件は決して悪くありません。建物の管理状態も良好でした。

しかし、購入当時の市場データを冷静に見ると、すでにいくつかの注意点がありました。

  • 同じマンション内で同時期に6戸が売り出されていた
  • 直近の成約坪単価(1坪あたりの売買価格)は緩やかな下落傾向だった
  • 周辺で新築マンション3棟の供給が予定されていた

これはいわゆる「供給過多(売りに出ている物件が多く、買い手よりも物件数が上回っている状態)」の兆しです。売り物が増えれば、価格は下がりやすくなります。

人気エリアという安心感があると、こうした数字の変化を見落としがちです。しかし、不動産価格は印象ではなく、需要と供給のバランスで動きます。この時点で、将来の価格下落リスクは十分に読み取れる状況でした。

5年後。査定3,600万円という現実

転機は突然訪れました。Aさんが転勤となり、住み替えが必要になったのです。購入から5年後、売却を決断しました。

不動産会社から提示された査定額は3,600万円。購入価格3,980万円から大きく下がっていました。

「そんなに下がるんですか…」

ご主人は言葉を失っていました。さらに状況は厳しいものでした。住宅ローンの残債は3,750万円。単純計算でも150万円の持ち出しが必要です。そこに仲介手数料や諸費用が加われば、実際の負担はさらに増えます。

販売を開始しても、すぐには決まりませんでした。6ヶ月を超えても成約に至らず、内覧はあるものの決断には至らない状態が続きます。

理由は明確でした。

  • 同じマンション内で複数戸が売り出されていた
  • 周辺の新築マンションが価格調整を始めていた
  • 築年数の経過で選ばれにくくなっていた

人気エリアという安心感はありましたが、それだけでは価格を維持できません。市場に売り物が増えれば、どうしても価格競争になります。

住み替えのはずが、想定外の持ち出しを抱える結果となりました。

プロは「出口」から逆算して買う

将来いくらで売れるのかを考えずに購入すると、その差額は後から含み損(購入価格より市場価格が下がり、売ると損が確定する状態)として表面化します。

もちろん、自宅を投資物件のように考え、最初から高く売れる住まいを選ぶという発想は簡単ではありません。住み心地や家族の希望を優先するのは自然なことです。

しかし少なくとも、将来売却する可能性を前提に、価格の動きを確認しておく視点は欠かせません。

不動産のプロは、購入前に必ず次の点を確認します。

  • 直近の成約単価の推移(価格が上向きか、下向きか)
  • 周辺の供給予定(新築マンションの計画があるか)
  • 同じマンション内の売出戸数(ライバルが何戸あるか)
  • 平均的な販売期間(売りに出してからどのくらいで成約しているか)

特に重要なのは流動性(売りに出したときに、どれだけ早く買い手が見つかるかという売れやすさ)です。売りに出したとき、3ヶ月以内に買い手がつく可能性があるかを見ます。

Aさんの物件は住むには十分でした。しかし、売りやすい物件ではありませんでした。

大規模マンションは安心感がある一方、常に競合が出やすく、価格競争になりやすい特徴があります。住まいは生活の場ですが、出口を考えない購入は、後から選択肢を狭めます。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


▶︎2分で完了!日常のモヤっとした出来事、TRILLでシェアしませんか?