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「月7,000円なら楽勝」のはずが…築17年マンションを35年ローンで買った30代夫妻の“悲惨な結末”

  • 2026.2.24
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

スーパーで「今だけ◯%オフ」と書かれていると、つい手が伸びてしまう方は多いのではないでしょうか。住まいにかかる固定費も同じです。

毎月必ず出ていくお金だからこそ「少しでも安いほうがいい」と考えるのは自然なことです。ところが、その安さに安心したことが、後から大きな負担となって跳ね返ってくる場合があります。

今日は、修繕積立金の安さに惹かれて購入を決めたご家族が、わずか2年後に一時金25万円と固定費の負担増に直面した事例をご紹介します。

月7,000円は本当にお得?営業トークを信じた30代夫婦

今から2年前、私が相談を受けたのは30代共働きのAさんご夫妻です。未就学のお子さんが1人いるご家庭でした。

購入したのは、築17年の郊外型マンション。価格は3,280万円、35年ローンを組みました。

決め手になったのは、毎月の負担の軽さでした。

  • 修繕積立金:月7,000円
  • 管理費と合わせても月1万4,000円台

営業担当者は、こう説明したそうです。

「ランニングコストが抑えられているので人気です。家計にもやさしいですよ」

確かに、数字だけを見ると魅力的です。ローンに加えて固定費が低ければ、家計は楽に見えます。

ところが、長期修繕計画(将来の大規模修繕と必要費用をまとめた資料)を確認すると、本来は月12,000円以上の積立が必要な内容でした。それでも、このマンションは分譲当初からほとんど値上げがされていません。

必要な金額に届かないまま、長年そのままの水準で続いていたのです。つまり、足りない分が少しずつ積み重なっている状態でした。

しかしAさんご夫妻は、理事会議事録(管理組合の話し合い記録)や積立残高の詳細までは確認せず契約してしまいます。

2年後に発覚した「3,500万円の不足」

購入から2年後、マンションで大規模修繕の再見積りが行われました。内容は、外壁補修、防水工事、給排水管の取替工事。工事総額は約8,500万円という結果でした。

ところが、修繕積立金の残高は約5,000万円。計画どおりに工事を行うには、約3,500万円足りないことが分かったのです。

総会で提示された案は、厳しいものでした。

  • 修繕積立金を月7,000円から20,000円へ段階的に値上げ
  • さらに一戸あたり一時金25万円を徴収

その場で、ざわつきが広がったといいます。

「え…25万円って、今すぐですか?」

ちょうどお子さんの教育費が増え始める時期と重なりました。これまで順調だった貯蓄は、ほとんど増えなくなってしまいます。

売ろうとしても、150万円安い査定

家計が圧迫され、Aさんご夫妻は売却を検討します。ところが査定結果は厳しいものでした。「積立金不足マンション」として評価され、周辺相場より約150万円低い査定。

さらに厳しかったのは、購入希望者の反応でした。

「また一時金が出る可能性はありませんか?」「今後も値上げが続きますよね?」「総会の議事録を全部見せてもらえますか?」

価格以前に、“不安”を持たれてしまうのです。その結果、内覧数は伸びず、販売期間は長期化。入り口(購入時)の安さが、出口(売却時)で重くのしかかったのです。

「安い固定費」に飛びつかない

結局、希望価格では売れず、Aさんご夫妻は今も住み続けています。

もし私がマンションを購入するなら、まず長期修繕計画に書かれている「今後30年で必要な修繕費の総額」を確認します。そして、その総額を総戸数で割ります。つまり「この部屋に住む自分は、将来いくら負担することになるのか」をざっくり出すだけです。

あわせて見るのは、次の3つです。

  • 修繕積立金がこれまでどう推移してきたか
  • 長期修繕計画の内容が現実的か
  • 現在の積立残高はいくらか

「安いからお得」とは考えず、まず「なぜここまで安いのか」を疑うことが重要です。

修繕積立金は、ただの毎月の支出ではありません。足りない分は、いずれ必ず請求されます。

契約する前に、一度だけでいいので「将来いくら必要になるのか」を計算してみてください。そのひと手間で、あとから慌てるかどうかが決まります。

家計も、資産価値も、そこで大きく差がつきます。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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