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坂東龍汰さんと『危険なワルツ』ー嫉妬に蝕まれても、もっと味わいたい自分もいるー

  • 2026.1.26
Takuya Nagata[W]

坂東龍汰さんが、8年ぶりに岩松了氏による舞台に挑みます。デビュー間もなくして踏んだ初舞台から多くの経験を積み、今、演劇という場所に何を求め、何を見出しているのか。多くの俳優が出演を渇望する岩松氏の舞台を前に、坂東さんの新作への思い、嫉妬やネガティブな感情との向き合い方をお聞きしました。

Takuya Nagata[W]

――今作で舞台は4本目。舞台を経て、役者としての表現に変化は?

「一昨年、6年ぶりの舞台を体験して、映像と舞台の“出力”の違いを改めて実感しました。映像は顔の寄りで細かい芝居も伝わりますけど、舞台は引きで見られている分、体全部で成立させないといけない。加えて、他のキャストとの距離感や立ち位置、声量なども関係してきますし、物理的な技術が全然違うんです。そうやって目の前の観客と共有しながら作り上げていく経験は必ず映像の芝居にも活きてくるし、どちらか一方が欠けてもいけないと強く感じています。30代、40代になっても生き残っていける俳優であるために、今の僕にとって舞台は、力を蓄えるために必要不可欠な場所。できれば年に1本は舞台に立ち続けたいとマネージャーさんとも話しています」

――舞台の醍醐味は?

「僕は極度の緊張しいなんですが、開演前の恐怖に打ち勝つ時間が癖になるというか(笑)。何より、終わった後にお客さんの反応があるのが一番楽しいです。スタンディングオベーションが起きた時は、ものすごいアドレナリンが出ます。ケラ(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)さんの舞台では、試行錯誤の末に狙ったところで笑いが起きた瞬間がそうでした。ケラさんが求めていた笑いはこれだったのかという高揚と、それが観ている人に伝わったという感動があって。でも翌日には笑いが起きなかったり(笑)。毎日違う、そのライブ感が舞台の面白さだと思います」

Takuya Nagata[W]

――岩松さんの舞台の魅力を坂東さんの視点から教えてください。

「役者にも観客にも考える隙を与えないところ。芝居でも、答えを与えられるのではなく、いくつもある中から自分で解釈を見つけていかなくてはいけないんです。その過程が厳しくもあり、魅力でもあると思います。以前岩松さんから言われた、『人は1つの感情だけでなく、何千、何万という感情の線が重なり合って生きている。短絡的な1本の線で演じると人に見えない』という言葉は、今も変わらず心に置いてあります」

――今作では、年上の女性を魅了する“悪い男”を演じられます。

「表面的な悪さを強調するのではなく、セリフや行動の中から滲み出るものを大事にしたいです。岩松さんの台本は、そうしなくても人物像が立ち上がるはずなので、まずは忠実に演じたいし、僕をイメージして書かれる台本を通じてどんな化学反応が起きるのか楽しみです。松雪泰子さんとは初めての共演ですが、本当に美しく魅力的な方。岩松さんと松雪さんと僕という3人の重力が揺れ動くこの心理戦で、僕がお2人をどうかき乱していけるか考えています」

Takuya Nagata[W]

――テーマのひとつは“嫉妬”。坂東さんの嫉妬との向き合い方は?

「嫉妬はします。仕事に関しては人と比較しないこともあってあまりないけど、友人関係とかパーソナルな場面での嫉妬は全然ありますね。ただ、一瞬心が嫉妬に蝕まれても、『明日には忘れてるから』という自分もいれば、『この感情をもっと感じたい、もったいない』と思っている自分もいて、どこか客観視しているかもしれないです」

――緊張も同じ処し方ですか。

「いや、緊張は違いますね。客観的に見れないです。それどころじゃない。本当に全身冷たくなるんですよ。インの前は一睡もできない。舞台上に上がってしまえば楽しいんですけど、上演前は極限まで緊張していて。それに打ち勝つには、これだけ準備したから大丈夫と自分が思えるか否か。不安は準備不足からくると思うので、さぼり癖に負けずに頑張りたいです(笑)」

Takuya Nagata[W]

―― 8年前にはなかった今の武器は?

「今まで経験してきた現場の数です。積み重ねてきたことの質、量、時間が、意識せずとも出ると信じてるし、それは岩松さんも期待してくれてるんじゃないかなと思います」

――舞台期間中のセルフケアは?

「温かい温泉につかる、ですね。家のお風呂に温泉の素を入れてます(笑)。あと、美味しいものを食べる。風邪をひかないように人が多いところを避けたり、ちょっと体調悪いなと思ったら葛根湯を飲みまくるとか。メンタル的なものは、人に会って話すこと。溜めこまずに、見えすぎたものをこぼしていく。自分で消化できるほど器用じゃないので、こぼす作業は大事だと思います」

舞台『危険なワルツ』
作・演出:岩松了
出演:松雪泰子、坂東龍汰、谷川昭一朗、中村加弥乃、但馬智、岩松了
東京公演:新国立劇場小劇場 2026年3月6日(金)~3月22日(日)
大阪公演:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ 2026年3月28日(土)~3月29日(日)
富山公演:富山県民会館ホール 2026年4月1日(水)
宮城公演:仙台銀行ホールズミティ21 小ホール 2026年4月5日(日)
公式サイト

坂東龍汰●ばんどうりょうた● 1997年5月24日、北海道出身。2017年8月デビュー。2018年1月、舞台『三人姉妹はホントにモスクワに行きたがっているのか?』で初舞台を踏む。その他の出演作として、ドラマ「366日」、「ライオンの隠れ家」(2024 年)「シナントロープ」(2025年)、映画『犬鳴村』(2020年)、『弱虫ペダル』(2020年)、『フタリノセカイ』(2022年)、『一月の声に歓びを刻め』(2024年)、『雪の花-ともに在りて-』(2024年)、『ルノワール』、『爆弾』(2025年) など。2024年ドラマ『RoOT / ルート』にて河合優実とダブル主演。2025年に公開の映画『君の忘れ方』では、映画単独初主演を務めた。待機作に映画『未来』がある。
http://dongyu.co.jp/profile/ryotabando/

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Photos : TAKUYA NAGATA(W)
Hair & Make-up : YASUSHI GOTO(OLTA)
Styling : YASUKA LEE

※この記事は、2026年1月26日時点のものです。

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