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止まらない咳、でも「つらいのに、なぜかうれしい」しんどいはずの症状が『亡き父との思い出』に変わるまで

  • 2026.1.29

筆者の話です。
季節の変わり目になると、決まって出る咳に悩まされていました。
しかし、しんどさの中で気づいた「ある違和感」が、思いがけない気持ちを連れてきます。

画像: 止まらない咳、でも「つらいのに、なぜかうれしい」しんどいはずの症状が『亡き父との思い出』に変わるまで

似た咳

季節が変わる頃になると、私は決まって咳き込みます。
喉の奥がむずむずして、息を吸い込んだ拍子にこらえきれず咳が出てしまいます。
会話の途中で続くと、相手の目が一瞬こちらに向き、私も「風邪ではないのですが、お聞き苦しくてすみません」と頭を下げてしまいました。

のど飴を舐めたり水を飲んだりしてやり過ごすものの、落ち着いたと思ったところでまた出るので厄介です。
熱はなく、体調を崩すほどでもありません。
それでも毎年同じ時期に繰り返すので「またこの季節か」と、ため息が混じります。

違和感

ある日、いつものように咳をした瞬間、自分の音にふと引っかかるものを感じました。
乾いた音の出方や、咳と咳のあいだの妙な間。
静かな場所だと余計に響いて「今の咳、変だな」と自分に問いかけたくなるほどでした。

水をひと口飲んで落ち着いたはずなのに、喉の奥がざらつき、息を吸うのが少し怖くなりました。
それなのに、どこか覚えのあるその感覚に、気持ちを取られたのです。

父そっくり

考えているうちに、その正体に気づき、思わず笑ってしまいました。
自分の咳の仕方が、父のものと驚くほどそっくりだったのです。
音の強さも、少し溜めてから咳き込む感じも、実家で聞いていた父の咳と重なりました。

「お父さんみたいだ」とつぶやいた瞬間、おかしさと同時に胸がきゅっとなります。
父はもう亡くなっています。
けれど、咳のリズムだけは耳の奥に残っていて「ああ、これだ」とはっきりわかったのです。

不思議な気持ち

咳そのものはしんどいままです。
それでも咳をするたびに父の姿がふっと浮かび、胸の奥が少しやわらぎました。
「つらいのに、なぜかうれしい」そんな不思議な気持ちが生まれてしまいます。

顔や体格だけでなく、こんな何気ない仕草まで似てくるのだと知り、父娘のつながりをあらためて感じました。
咳が落ち着いた夜は、父を思い出しながらゆっくり呼吸を整えます。
しんどさの中に、少しだけ愛おしさを感じた出来事です。

【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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