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「最近よくドラマ出てる」「クセあり役しっくり」名作の裏に存在あり“目が離せない”若手俳優の稀な存在感【火曜ドラマ】

  • 2026.2.3

TBS系 火曜ドラマ『未来のムスコ』で、主人公・汐川未来(志田未来)の暮らすアパートの隣人・芥川圭を演じている萩原護。物語の大筋に絡むような目立つキャラクターではないが、SNSでは第3話時点で「最近よくドラマ出てる」「クセあり役しっくりしすぎ」と話題になっている。ドラマ『シナントロープ』の通称・ハシビロコウ役から、今作の理系男子役まで、静と理のクセを自在に行き来する演技力に、あらためて注目が集まっている。

※以下本文には放送内容が含まれます。

静止で魅せる、稀な存在感

あれ、この役者、どこかで見たことがある。調べてみると、あの作品にもこの作品にも出ていた。そのように、気づいたら視聴者の記憶に残っていて、いつの間にか“目が離せない存在”になっている役者がいるものだ。萩原護もそのひとりである。

ドラマ『未来のムスコ』では、志田未来が演じる主人公の隣人大学生・芥川圭を演じている萩原。出演シーンは決して多くはなく、気を衒ったセリフもないものの、第3話の時点でその存在に気づかれていた。

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火曜ドラマ『未来のムスコ』第2話より(C)TBS

とくに最近よく見かける、クセの強い役がハマってる、という声が多く見られるのは、壮絶な伏線回収が話題となった深夜ドラマ『シナントロープ』の影響も大きい。今作で見せた、微動だにしないバイト店員・志沢匠、通称・ハシビロコウの印象が強いファンからは、どこか不思議な愛着を持って語られることが多い。

彼に一貫して言えるのは、派手な動きや目立つセリフがなくとも、黙っていることでかえって妙な存在感が生じるという、稀な表現力を持っていることだ。

“静”と“理”の比較

『シナントロープ』のハシビロコウと、本作『未来のムスコ』芥川圭を比較してみよう。

前者で萩原が演じたのは、とあるハンバーガーショップ・シナントロープのアルバイト・志沢匠。特徴は“とにかく動かない”ことである。レジに立っていても、周囲に何か言われても、まるで石像のように停止したまま。鳥で例えたらハシビロコウのようだ、と言われたこの役は、マッシュヘアの髪型も相まって強烈な印象を残した。

しかしただ動かないのではなく、“周りを執拗に観察している”のが志沢の本質だった。言葉を発さずとも目が語り、感情を表に出さずとも思考の深度がにじむ。恩義を感じた相手には、言葉少なに的確な“策”を提示するという、謎めいた知性も併せ持っていた。

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火曜ドラマ『未来のムスコ』第3話より(C)TBS

そして『未来のムスコ』の芥川は、過剰な表現を抑えた“引き算の芝居”が基本。しかし、静寂のなかに滲む温度感や熱源は、志沢と通じるものもある。

芥川は現役の理系大学生という設定で、合理的思考を何より大切にしている。未来の息子だという少年・颯太(天野優)を目にした際にも、人並みに慌てた様子を見せつつ、その目は“この事態にどう対処すべきか”を静かに測っているように見えた。

つまり、志沢が“観察のため微動だにしない”キャラクターであったとすれば、芥川は“理性で動かない”人物である。萩原は、この差を絶妙なニュアンスの変化で演じ分けている。

リアリティのうえに成り立つ魅力

彼がここまで注目を集めるようになった背景には、“クセのある脇役”への適性があるのではないか。主役や物語のど真ん中に立つわけではない。けれど、気づいたら目立つキャラクターの隣にいて、観る者の記憶に残る。それが萩原の“立ち位置の妙”である。

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火曜ドラマ『未来のムスコ』第3話より(C)TBS

それは物語向けに作り込まれた奇抜さではなく、“どこかにいそうだけど、よく見ると普通”というリアリティのうえに成り立っている。たとえば、志沢も芥川も、一見すると淡々とした地味な若者に見える。しかしよくよく見てみると、“この人、何を考えてるんだろう”と底知れぬ興味が湧いてくる。

何も言わないのに、不気味さと穏やかさが同居している。その“間”を保てる感性が、萩原の持ち味である。静かに、しかし確実に火がついた俳優・萩原護。名作にはいつも彼がいる、と定義される日も近い。


TBS系 火曜ドラマ『未来のムスコ』毎週火曜よる10時

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_