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レースで使われているピレリタイヤは実はそれほど市販タイヤと変わらない?

  • 2026.1.7

ワールドクラスのレースシーンでも、長年にわたり活躍を続けてきたピレリ。では、そこで使われるスリックタイヤは溝付きの市販タイヤとどう違うのか?ロードレース用タイヤのあれこれを、ディアブロマンに聞いてみた!!

PHOTO/S.MAYUMI, RIDERS CLUB TEXT/T.TAMIYA

取材協力/ピレリジャパン https://www.pirelli.com/tyres/ja-jp/motorcycle/homepage

レース用のスリックも0度スチールベルト構造

ピレリは、’04年から20年以上にわたってスーパーバイク世界選手権における単独タイヤサプライヤーを務め、’24年からはロードレース世界選手権のMoto2クラスとMoto3クラスにもワンメイク供給している。

世界選手権で使用されるタイヤなんて、さぞかし特別な仕様なのだろうと思いきや、ディアブロマンからは「溝付き市販タイヤとの共通点も多いです」と、意外なコメントが……。

そもそもピレリの場合、これらの選手権に現在供給しているタイヤは、一般ユーザーが購入可能なスリックタイヤのディアブロスーパーバイクと基本的には同じモノ。ただし、シリーズを戦う中でライダーやチームからの要望を反映させるなどしたソリューションスペックという仕様もあり、これは先行開発品のような位置づけになるという。

スーパーバイク世界選手権のタイヤサプライヤーは、’27 年からミシュランに変更。入れ替わるようにピレリは、ロードレース世界選手権の最高峰となるMotoGPクラスの単独サプライヤーに
スーパーバイク世界選手権のタイヤサプライヤーは、’27 年からミシュランに変更。入れ替わるようにピレリは、ロードレース世界選手権の最高峰となるMotoGPクラスの単独サプライヤーに
市販車ベースのスーパーバイク世界選手権で、ピレリは’04 年から単一タイヤサプライヤーを務め、市販のディアブロ・スーパーバイクと基本性能が共通化されたスリックタイヤを供給してきた
市販車ベースのスーパーバイク世界選手権で、ピレリは’04 年から単一タイヤサプライヤーを務め、市販のディアブロ・スーパーバイクと基本性能が共通化されたスリックタイヤを供給してきた

そして、市販のディアブロスーパーバイクと、溝付きタイヤのディアブロスーパーコルサシリーズやディアブロロッソIVシリーズは、「基本的な骨格は同じ」とディアブロマン。例えば、タイヤの周方向に対して0度に巻かれるスチールベルト構造こそがピレリ最大の特徴だが、これはスリックタイヤにも使われている。

「もちろん、溝の有無とか扁平率など、スリックと溝付きで明らかに異なる要素もあるし、ワイヤーの太さや間隔、カーカスの素材や締め付け具合なども同じではありません。公道用のタイヤには、デュアルコンパウンドを採用した製品もあります。とはいえ、基礎となる技術や骨格には共通点が多く、だからこそレースという厳しい環境で研究開発を続けることの意味もあるわけです」

そこで気になるのは、未来の話。ピレリは、’26年限りでスーパーバイク世界選手権から退く代わりに、’27年からロードレース世界選手権のMotoGPクラス(とMotoE)の公式タイヤサプライヤーとなることが決まっているが……。

DIABLO SUPERBIKE
DIABLO SUPERBIKE
DIABLO SUPERCORSA SC V4
DIABLO SUPERCORSA SC V4
二輪用ラジアルタイヤにおけるピレリ独自の技術として知られるのが、メッツラーの技術者が着想してピレリの資金援助で製品化されたゼロディグリースチールベルト構造。レース用スリックタイヤにも、この技術が用いられている
二輪用ラジアルタイヤにおけるピレリ独自の技術として知られるのが、メッツラーの技術者が着想してピレリの資金援助で製品化されたゼロディグリースチールベルト構造。レース用スリックタイヤにも、この技術が用いられている

「MotoGPクラスになると、これまでのような『レースで使うタイヤを販売し、販売するタイヤでレースをする』という方針から外れることも否定できません。ただし、培ってきたゼロディグリースチールベルト構造の技術を最初から安易に捨てることはあり得ません。しかし、スチールベルト以外のノウハウを開発する可能性だって捨てきれません」

残念ながら、さすがのディアブロマンもまだ詳細は知らないようだ。

ちなみに、タイヤのワンメイク化によるメーカー側のメリットには、「全ライダーのデータを得られることや、全員に最適なスペックのタイヤづくりを学べること」とディアブロマン。一方で、コンペティションの場合と比べて開発スピードが遅くなりがちという意見も多いが、「急かされないことで、より安全性を重視しつつ新製品を導入できます。しかしそうは言っても昨年のタイムを上回るというのが命題なので、確かにより中長期的に取り組める傾向にはなりますが、開発の手を抜けるわけではありません!」と力説する。

このようにしてレースシーンで培われたノウハウが、公道用タイヤにフィードバックされるのだ。

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