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恒例「今年の漢字」は?2025年 年の瀬にあたり

  • 2025.12.26

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム「報道部畑中デスクの独り言」(第451回)

■「2025年の漢字」はまれに見る激戦の結果、僅差で「熊」に

2025年も押し詰まってきました。今年も小欄は「今年の漢字」で締めくくります。

今年の漢字 上位3つ

12月12日に日本漢字能力検定協会から発表された「今年の漢字」は「熊」でした。「日本各地で『熊』が出没し、国民の関心と不安が集中した年」だったことがその理由です。

今年の「一文字」はまれに見る激戦だったと思います。実は今年前半、知り合いの記者とは「もう“米”で決まりだな」と話していました。「令和の米騒動」「米国の高関税政策」など、米をめぐる“大玉”があったことから、間違いないという雰囲気が漂っていました。

しかし、秋口になって「熊」と「高」が追い上げてきます。「高」は高市早苗首相の誕生、物価高、株高、高関税という納得のいく要素があり、「熊」「米」「高」が三つ巴の様相を呈してきました。結局、ランキング結果は「熊」が23,346票、2位の「米」が23,166票、3位「高」が18,300票で、1位と2位の差はわずか180票。先日、競馬を題材にしたドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」が最終回を迎えましたが、まさに「熊」が“ハナ差”で逃げ切った感じです。ただ、今回の一文字は決して縁起の良いものではありませんでした。被害に遭われた方々に改めてお見舞い申し上げます。

気象庁・野村竜一長官の漢字は「基」

■担当分野の関係者からも独自の見解による「一文字」が……

一方、私が取材を担当する分野からも、いくつかの“一文字”が出てきました。

気象庁トップの野村竜一長官は「猛暑の『暑』も候補の一つだった」とした上で、最終的に「基本の『基』」を挙げました。「基となるアイデアをいただいて、来年は実行に移していくものがいっぱいある」というのがその理由です。また、今年は気象業務150周年にあたり、「先輩方の蓄積を基に、次の新しい時代をつくっていく」とも述べました。

今年は3年前から運用を開始した「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が初めて発表されました。また、来年は防災気象情報が大きく変わります。私どもラジオを含めたメディアも、その報じ方について鋭意検討を進めていますが、これについては別の機会に取り上げたいと思います。

経団連・筒井会長は「転」を今年の漢字に挙げた

財界では、経団連の筒井義信会長は「大転換の1年だった。転換の『転』でこの1年をまとめたい」と語りました。転生……、次の新しいステージに上がるという意味や、投資牽引型経済への転換に向かっていることも、この一文字を選ぶ理由となりました。「転」には「ますます」「いよいよ」という意味もあり、来年へのさらなる期待も込めたようです。

「いろいろ考えたんだが、私は『女(じょ)』だな」

こう語ったのは日本商工会議所の小林健会頭。一昨年、昨年と2年連続で「賃」を挙げましたが、今年はさすがに変えてきました。女性初の首相誕生など、すべからく女性が話題になったというのがその理由です。その上で、「健康の問題も大事だから、その辺は男性をうまく使ってやっていってもらいたい」と高市首相への気遣いを見せていました。ちなみに「女」は「今年の漢字」では8位にランクインしています。

日商・小林健会頭の今年の漢字は「女(じょ)」

そして、経済同友会は「乱」を挙げました。「今年の漢字」発表に先立つ12月12日午前の記者会見で岩井睦雄代表幹事代行が明らかにしたものです。今年は新浪剛史氏が任期途中で代表幹事を辞任するなどの「混乱」があり、いささか自虐的な響きではありますが、ある意味、時宜を得た一文字です。

「同友会ということだけではなく、世界もトランプ関税や、いろんな意味で世界情勢が乱れている。新しい変化が起こっているというより、まだ『乱』な状態であると思う」というのは岩井氏の言。その上で、「『乱』の状態から新しい変化が生まれてくる。変化=ピンチはチャンス。どうやってチャンスに変えていくのか。企業活動も同友会自身もそうなっていければ」と今後に期待を示しました。経済同友会はその後、日本IBMの山口明夫社長を後任の代表幹事に選任。山口氏は記者団に対し、「正しいと思うことを、情熱を持って進めていきたい。結果を出すことにこだわりたい」と抱負を語りました。

経済同友会は”難産”の末、代表幹事が山口明夫氏(日本IBM社長 写真左)に決まった。写真右は岩井睦雄・代表幹事代行

■私の漢字一文字……、日本はどこへ帰っていくのか?

さて、僭越ながら、毎度、私の「今年の漢字」ですが……、2025年は「西」といたします。

「東京一極集中」と言われて久しいですが、今年は様々な分野で「西」が存在感を示した1年だったと思います。大阪・関西万博はいろいろありましたが、成功に終わりました。プロ野球は阪神タイガースと福岡ソフトバンクホークスという西日本のチームが日本一をかけて戦いました。ノーベル賞を授賞した坂口志文さんは大阪大学特任教授、北川進さんは京都大学特別教授と、ともに関西の大学です。そして高市首相の選挙区は奈良、出身は神戸大学。さらには、欧米を意味する「西洋」にも様々な動きがありました。

ちなみに「西」という文字は、古代中国で鳥が夕暮れ時に巣に帰る様子を象ったもので、そこから夕日が沈む方向を示す意味を持つようになったと言われています。さらには仏教で極楽浄土を意味する言葉に「西方浄土」があります。

こうしてみると、「西」という字は、万物が「あるべき場所に帰っていく」という意味にもとれます。「強い経済」「世界で輝く日本」を目指す高市政権ですが、日本という国がどこに帰っていくのか? 様々考えさせられる1年になったと思います。

本年も「報道部畑中デスクの独り言」をご覧いただき、ありがとうございました。どうぞよいお年をお迎えください。

(了)

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