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「ゴミ捨てたわよ」と勝手に部屋を掃除した妻。だが、捨てられた物を見て別れを決意【短編小説】

  • 2025.12.26
「ゴミ捨てたわよ」と勝手に部屋を掃除した妻。だが、捨てられた物を見て別れを決意【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

部屋を掃除した妻

「あ、おかえり。部屋、ゴミだらけだったから掃除しておいたわよ」

仕事から帰宅した私を待っていたのは、スッキリと片付いたリビングと、満足げに微笑む妻の姿でした。
以前から彼女は「掃除が苦手な私のために」と、時々私の書斎を整理してくれていました。

しかし、その日はいつもと様子が違いました。
部屋の隅に置かれた大きなゴミ袋。
そこから、見覚えのある「青い色の破片」がのぞいていたのです。

「……これ、捨てたの?」

私が震える指で指すと、妻はテレビを見ながら無造作に答えました。
「そう、その変な置物。ずっと棚の端っこで埃をかぶってたじゃない。色も褪せてるし、もういらないでしょ?」

捨てた物の正体とは

私の心臓が、ドクンと大きく跳ねました。
それは「変な置物」などではありません。
ちょうど3年前の結婚記念日。
2人で旅行へ行った際、慣れない手つきでお互いに作り合った、世界に一つだけのガラス細工のペアグラスでした。

「これ、結婚記念日に2人で作ったグラスだよ。覚えてないの?」

私の問いかけに、妻は一瞬だけ手を止めましたが、すぐに鼻で笑いました。
「ああ、そんなこともあったっけ。でも、もう片方は割れちゃったし、一つだけあっても意味ないじゃない。そんな古い思い出に執着するなんて、あなたらしくないわよ」

彼女にとって、それはすでに「役目を終えたゴミ」に過ぎなかったのです。
あの日、2人で笑いながら作った時間。
大切に持ち帰った記憶。
私にとっては、どんなに色が褪せても宝物だったものが、彼女にとっては視界の邪魔になる不用品でしかありませんでした。

「古い思い出」を切り捨てた彼女の横顔を見て、私は悟りました。
彼女が捨てたのは、単なるガラスの塊ではなく、私たちが共に積み重ねてきた「時間」そのものだったのだと。

「……そうだね。もう意味がないね」

私はそう呟き、彼女が綺麗に掃除した部屋を後にすることに決めました。
形のない思い出を共有できない相手と、これ以上同じ屋根の下で過ごすことは、私には耐えられなかったからです。

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

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