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サプライズな企画にわくわく感がいっぱい!山梨県立美術館で開催中「ミレー没後150周年記念」コレクション展

  • 2025.12.23

こんにちは。フリーキュレーターのSEIJIです。価値観や表現方法が多様化しているアートの世界を、ニュースや展覧会、作家や作品に注目したコラムにしてお届けする「今どきのアート」。今年を締めくくるのは、美術館を訪れた鑑賞者に嬉しい特典があるコレクション展です。

出典:シティリビングWeb

シャルル=エミール・ジャック《森の中の羊の群れ》1860年頃 山梨県立美術館蔵

毎月3のつく日は“ミレーの日”。山梨県立美術館で開催中のジャン=フランソワ・ミレー「ミレー没後150周年記念」コレクション展はサプライズな企画にわくわく感がいっぱい!

ジャン=フランソワ・ミレーは1875年1月に没しました。2025年は没後150年。山梨県立美術館では、ジャン=フランソワ・ミレーの没後150年を記念してミレーのパステル画や版画などの紙作品を来春まで順次展示予定としています。そして、毎月3のつく日を“ミレーの日”としました。

驚くことに、このミレーの日は、なんとなんと同館のミレー館に展示されているミレーの《種をまく人》をはじめ、バルビゾン派の展示作品を写真撮影(一部作品を除く)することができるんです!

出典:シティリビングWeb

ジャン=フランソワ・ミレー 種をまく人》1850年 山梨県立美術館蔵

ミレー館の展示企画

同館内にあるミレー館では、所蔵している70点のミレーの作品とバルビゾン派の作品の中から企画に合わせて年4回展示替えを行っています。

現在は冬季コレクションの展示期間。撮影が可能となるのは、ミレーの作品およびバルビゾン派の作品で、ジャン=フランソワ・ミレーの《種をまく人》、《落ち穂拾い、夏》、《ポーリーヌ・V・オノの肖像》、ジュール・デュプレの《森の中-夏の朝》、シャルル=フランソワ・ドービニーの《オワーズ河の夏の朝》、シャルル=エミール・ジャックの《森の中の羊の群れ》などなど。

どれもこれもマイコレクションにするには貴重で何とも贅沢な作品ばかりです。

出典:シティリビングWeb

シャルル=フランソワ・ドービニー《オワーズ河の夏の朝》1869年 山梨県立美術館蔵

出典:シティリビングWeb

ジャン=フランソワ・ミレー《ポーリーヌ・V・オノの肖像》1841-42年頃 山梨県立美術館蔵

ここでミレーをご紹介

ジャン=フランソワ・ミレーは19世紀のフランスで活躍した画家。前述した《種をまく人》やオルセーの《落ち穂拾い、夏》などの絵画作品が有名。バルビゾン派の画家として、日本でも人気が高いことはいうまでもありません。

ミレーは、フランス北西部ノルマンディー地方に生まれ、若い頃にパリで絵の修行を積んだ後、1849年にパリ近郊のバルビゾン村へ移り住みました。

そうなんです、バルビゾン派という名称の由来はバルビゾン村にあり、ミレーやテオドール・ルソー、エミール・ジャックなどの画家たちが集い制作をしていました。

出典:シティリビングWeb

ジャン=フランソワ・ミレー《落ち穂拾い、夏》1853年 山梨県立美術館蔵

出典:シティリビングWeb

ナダール《ミレーの肖像》1868年 山梨県立美術館蔵

バルビゾン村で、ミレーは農村で働く人々の姿や自然の風景を丁寧に描き続けました。ミレーの作品は、のちのピサロやゴッホに代表される印象派の画家たちに大きな影響を与えました。

日本で人気のフィンセント・ファン・ゴッホも庶民を芸術としたミレーに強く感動し、ミレーを心の師のように尊敬していました。

印象派のカミーユ・ピサロも、光や大気の描写を重視しつつ、ミレーから影響を受け、自然の中で生きる人々や田園風景を数多く描きました。

ちなみにミレーの代表作《種をまく人》は、岩波書店のロゴにも使われているのだとか。

新たな知識をインプットできた感じですね。

3のつく日にみえる創意工夫

SNSの普及と来館者体験の充実を背景として、最近では作品の撮影可能な美術館が増えてきました。一方で、写真撮影に集中する方が増えることで、じっくりと鑑賞することが難しいというご意見もあるようです。そこで、山梨県立美術館が考えたのが、タイトルにあるように撮影可能な日をあらかじめ設定し、事前に告知するイベント形式の導入なのです。

出典:シティリビングWeb

ジュール・デュプレ《森の中-夏の朝》1840年頃 山梨県立美術館蔵

美術館からのメッセージ

「当館で、これまで撮影を許可していたお正月の1月3日、そして当館の開館記念日である11月3日――この「3」という数字にちなんで、「毎月3のつく日はミレーの日」というキャッチフレーズを掲げ、ミレー没後150年の節目となる今年の開館記念日から新たな取り組みをスタートします。「毎月3のつく日はミレーの日」というキャッチフレーズが広く浸透し、鑑賞と撮影、それぞれの楽しみ方が共存できる場として、より多くの方にミレー作品の魅力を感じていただければ幸いです」

出典:シティリビングWeb

ミレー館内観

ちょっと足を延ばして、清澄な空気と山や渓谷、温泉などの自然の恵みやほうとうなどの郷土料理、そしてアートに浸れる山梨県で心と身体をリフレッシュしてみるのもいいかも!

ミレー館のコレクション展(冬季)は2026年3月8日(日)まで。同時期に開催中の“特別展「日本画」の挑戦者たち それぞれの葛藤と探求”もお見逃しなく。特別展は2月1日(日)まで。

展覧会の詳細は下記のURLからご確認ください。

山梨県立美術館

https://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/

プロフィール/SEIJI(小太刀正史)

フリーキュレーター。MeDEL個人事務所主催。学芸員の目線から美術館の情報を発信する活動を始める。自身もオブジェ作家として活動歴あり。

OBJECT東京展入選 From A The art日本オブジェ部門佳作 日本文化デザイン会議

ETDA展参加など。

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