1. トップ
  2. ファッション
  3. 「CSに行くまで辞められない」D.LEAGUE 6年目の指揮官HALが語るディレクターの重圧と葛藤、keijiro電撃復帰の裏側【Benefit one MONOLIZインタビュー】

「CSに行くまで辞められない」D.LEAGUE 6年目の指揮官HALが語るディレクターの重圧と葛藤、keijiro電撃復帰の裏側【Benefit one MONOLIZインタビュー】

  • 2025.12.12

25-26シーズンの幕が上がったプロダンスリーグ・D.LEAGUE。初の試みである2ブロック制と新たなルールのもと、既にROUND.2までを終えてROUND.3が迫っている。keijiroの電撃復帰が話題となったBenefit one MONOLIZは今季をどう戦っているのか。6年目の指揮を執るディレクター・HALとkeijiroのふたりに語ってもらった。

keijiro電撃復帰の裏側

――今季はkeijiroさんの電撃復帰に驚かされました。

HAL:ずっと「復帰してほしい」と口説いていたんですよ。自分と違うジャンルを持っていて、かつ気持ちよくできる存在。今季やっとカムバックしてくれました(笑)。

keijiro:以前MONOLIZに在籍していた頃は、ジャンルや衣装、環境などの諸々を含めて「やらせてもらっている」という感覚が強かったんです。だから一度、自力で消化できるようにしてやりたいことを見つけたいなと思っていました。

HAL:確かに少し遠慮している部分はありましたね。自分自身へのリスペクトが足りてないような。でも日本一のダンススタジオの座を争うSD.LEAGUEで結果を出したという部分もあってか、ダンサーとしても人としても成長したなと感じてます。

keijiro:この2年間の制作や挑戦を経て、客観的に今のMONOLIZを見たときに「もう一度、戦わせてほしい」という気持ちが湧いてきたんです。今なら自分の力をチームの推進力にできるのかなと。

HAL:他人と自分を比較したときに、自分の強みを踏まえて相手の長所や勝つためにどうするかを考えられるようになったよね。考え方が成長してる。

keijiro:照れちゃいます……(笑)。

――D.LEAGUE発足当時から戦い続けているディレクターは、HALさんとCyberAgent LegitFISHBOYさんだけです。この大変な役目を務めて6年目、苦労もあるかと思うのですが。

HAL:めちゃくちゃ大変ですよ(笑)。ただ個人的なキャリアで考えると、ダンサーではない方たちにチームのみんなのことを知ってもらえて、成長させられる機会はもう後にはないと思うんです。

keijiro:HALさんは真っ直ぐすぎるので心配になるときがあります。僕もSD.LEAGUEでディレクターをやってみて、やっとメンバーを尊重して作品をまとめることの難しさとストレスが実感できました。

HAL:負けず嫌いな性格なので、CSに行くまでは辞められないぞという気持ちですね。だから個人的にやりたい活動は我慢して、ディレクターとして残っています。

keijiro:「CSに向けて自分たちのダンスを見せる」という姿勢を貫いていることが、メンバーが変わってもチームを束ねられる力なのかなと。その背中を自分たちも追いかけています。とはいえ、あまり無理しないでくださいね。

――今季のチームはいかがですか?

keijiro:結束力が高まったという気がします。それを昨シーズンにSPダンサーとして参加したリハーサルで感じました。

HAL:全員がマルチにいろいろなジャンルを踊れるようになったし、アクロバットの内容もレベルアップしています。keiちゃんも入ってブレーンも増えているので、ショウケースの幅を広げていきたいとは考えてます。

keijiro:今季から審査項目が点数ではなくパーセンテージになったということもあり、自分たちの強みであるコレオグラフィーの部分は確実に取って、他の部分は少しずつ取るという攻め方もできるのかなと思っています。

――さらに今季からオーディエンス票の割合が1/2になっています。踊っている側としてはどう感じていますか?

keijiro:会場ジャッジは感動させたものが勝ちに近いのかな、とは思いますね。

HAL:まだ2回しかやっていないので、まだ掴みきれていないところはあります。

keijiro:推しているチームに入れる人も多いはずなので、SNSでの発信も課題。どう発信していくかはメンバーで考えています。あとはファンミーティングなども計画したり。

勝ち星なしチームばかりのブロックで

――ROUND.1「暁」についても振り返っていただきたいです。白い衣装と神秘的な演出が印象に残りましたが。

HAL:ちょっとキリストっぽい、神々しい感じを目指しました。MONOLIZで白い衣装を選ぶことは珍しいんですけど、SPダンサーのSORA君が男性なので中性的なイメージですね。大会として勝ちやすい作品ではないかもしれませんが、keiちゃんが戻ってきたタイミングで彼の色を出しつつ、プッシュアップできたと納得はしてます。

――エースパフォーマンスはKEIJIROさんでいこうと決めていた?

HAL:そうですね。復帰を決めてくれたときからROUND.1は彼でいくと決めてました。

keijiro:対戦相手・Medical Concierge Imoonさんのエースが世界的なワッカーのMEMEちゃんでした。リスペクトしている人だったからこそ、戻ってきて間もない自分というよりも“チームとして”、“エースとして”メンバーのサポートをもらいながら戦えたと思います。結果は負けてしまいましたが、前向きにスキルアップしていきたいですね。

――ROUND.1&2の音楽は初期から21-22の頃にメインで音楽を手掛けられていたプロデューサー・WasaViさんの楽曲が起用されています。

HAL:WasaVi君はリーグ発足当初は2週間に1曲を作ってもらっていたのですが、「自分の制作期間がほしい」ということで一旦離れたんです。それが落ち着いてきたそうで、また音楽をお願いしたという経緯でした。だから今季はカムバックが複数あるんですよ。もともと20-21 SEASON ROUND.1の「NARCISSUS(feat,WasaVi)」は彼が趣味で作った楽曲だったのですが、私から「これを使わせてほしい」とお願いしました。

――今季からの2ブロック制について、どう感じているかも気になります。

HAL:お客さんにとっては1回の試合数が少なくなって見やすいのかなと思ってます。その代わり我々が濃厚な作品を見せないと満足度が下がってしまうと思うので、そこは気を引き締めていかないといけないところです。

keijiro:僕は楽しんでいますね。2日間開催は体力的に大変ではあるのですが、Dリーガーのショーケースを生で観る経験は今までなかったのでエネルギーをもらえました。あとはお客さんが偏ったり減ったりすることもなくてよかった。

HAL:過去に勝ち星を取れたチームが今季私たちのブロックにいないため、勝つためには戦略が必要になると思ってます。

――MONOLIZが戦っているBLOCK HYPEの新チーム・LDH SCREAMの印象は?

HAL:テレビ番組「ダンバトオーディション」は少ししか観ていないのですが、そのときよりも断然成長していて、毎日の努力が伝わりました。彼らがこのレベルに至るまで練習しているということは、私たちも頑張らなきゃと思わされます。

keijiro:オーディションから観られているし、D.LEAGUEに100%の熱量をかけているチームでROUND.1から「絶対負けない」という意志を感じました。ユニゾン力が高いのと、難しいことも軽々と見せるスキルも感じたので、戦い方を分析してROUND.3に臨みたいです。

苦しい時期を救ってくれたのは……

――今季おふたりが注目しているチームはどこでしょう?

HAL:お互いの作品を認め合ったり、励まし合ったりしてきたメンバーが多いのが最終ROUNDで当たるdip BATTLESなんですよ。そういうチームだからこそ、いい作品を持って行って、いい戦いができれば。

keijiro:やっぱり前回王者のCyberAgent Legitですね。

――気になるDリーガーは?

keijiro:ディレクターとしてはLIFULL ALT-RHYTHM永井直也さんが気になってます。作品がただのエンタメではなく、自分の気持ちが乗っている点が好き。ダンサーとしてはdip BATTLESの健世君ですかね。手足が長くて自分と長所が似ているなかで独自性を感じるから嫉妬しちゃいます(笑)。

HAL:今はエグゼクティブ・プロデューサーですけど、昨季までKADOKAWA DREAMSのディレクターだったKEITAさんは私が辛い時期に話を聞いてくれたのでリスペクトしてます。どんなに頑張っても勝てなくて、それが続くとメンバーのメンタルもボロボロ。なかなか相談できる人もいない状態で大変でしたが、ディレクター同士で話せたのは救いでした。

――おふたりのプライベートについても聞かせてください。普段はどんなファッションをされますか?

HAL:バラバラですが黒、グレー、白が多いですね。

keijiro:僕は「PTAとか授業参観日のお母さん」みたいな服装が好きなんですよ(笑)。だから古着でレディースのワンピースなどを買ってます。

――ファッションの情報はどこから?

keijiro:Instagramが多いです。あとは今日も着ているHALさんに展示会へ連れていってもらったWANSIE (ワンジー)というブランドをフォローしてチェックしたり。

HAL:元ダンサーでパリ在住の日本人の方がデザインとアパレルをやられていて、帰国したときに受注販売しているんです。もともと私自身もアパレルをやっていたこともあり、そういう友人が多いので紹介してもらうことも多いですね。

――恋人にはどんなファッションをしてほしいですか?

HAL:シンプルな人が好きです。ユニクロを着てもイケてるのがベスト。靴とか小物は少しお金をかけてるけど、あとはファストファッションみたいなのでも全然大丈夫です。

keijiro:僕もそうですね。「こういうの可愛いよね」と言い合ったりはしたいんですけど、めっちゃキメキメな人よりはシンプルなほうがいい。

――オフにしたいことは?

HAL:家に籠って家の掃除をしまくるか、映画を見まくるか、猫ちゃんかワンちゃんのカフェに行くかですね。あとは友達とちょっと飲みに行くくらいかもしれません。

keijiro:僕はオフの前日にいっぱい飲んで、お昼くらいから映画をひたすら観るかな。行けるのであれば、海・川・山で寝転びたいです。でもシーズン中のオフ日はスタジオにいることが多いかも。面白いことできないかなと思って、照明を使ったりしてひとりで遊んでます。

HAL:その動画がLINEで送られてくるんですよ(笑)。

――最後に今季の意気込みを一言お願いします。

HAL:ベストなメンバーが揃ったので、今季こそCSに行きたいです。

keijiro:体も心も脳みそも勝ちにフルベットしていきます。

Profile/HAL(はる)
日本のみならず海外でも数々のダンスコンテストやバトルを幼少期から今まで、勝ち遂げた実績を持つ。また多数のアーティストのバックアップや振付、ミュージカル振付やファッションショー、モデル等でも活動中。海外ではGUESTとしてパフォーマンスやWS、コンテスト審査員を務め、イベントオーガナイザー等でも活躍している。
Instagram:@hal_hirata
X:@wovwhalwvow

Profile/keijiro(けいじろう)
京都を中心に関西地方で多数のショーや大会に出場。D.LEAGUE 21-22・22-23 SEASONでMONOLIZとして活動後、様々な大会での優勝、入賞経験を持つ。昨今では、米津玄師、満島ひかり、ラウール、MISIAなど、アーティストのMV出演やツアーライブダンサーも経験し、またファッションモデルなどに起用されるなど様々な角度でメディアへの露出を行う。またダンサー育成にも力を入れ、プロデュースする「ASTHENO」はSD.LEAGUE 2024西日本大会優勝、全国大会4位に導くなど、多岐にわたる活躍を見せる。
Instagram:@keijiro0118
X:@keijiro_0118

元記事で読む
の記事をもっとみる