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【2026年インテリアトレンド】注目すべき最新カラー13選

  • 2025.12.11
Courtesy Manufactuer

世界の塗料メーカーが2026年の「カラー・オブ・ザ・イヤー」を発表するなか、その動向からデザイン界がまさに転換期を迎えていることがうかがえる。それぞれのメーカーが選んだ色合いを並べてみると、洗練されたニュートラルカラーがもたらす心地よさに焦点を当てたところもあれば、より深みのある大胆な色合いを前面に押し出したところもあった。

一見異なる色を選んでいるようで、実は「本物志向」や「ウェルネス」、「人とのつながりへの渇望」といった共通のテーマを持っているのが2026年の特徴。安らぎを求めつつ、自分らしさを表現したいという願いのどちらにも寄り添う、繊細で奥行きのあるカラースペクトラムが注目を浴びている。

こうしたカラー選出の背景には、いくつもの文化的な背景が影響している。まずは「アンチトレンド」という考え方。これは、一過性の流行よりも、個人のアイデンティティや心地よさを反映する色を選ぶことを促しているといえるだろう。また、クラフトマンシップや伝統への回帰も顕著で、伝統的な技法を称える温かみのあるウッドトーンや、ヨーロッパの歴史的なインテリアを思わせる宝石のような深い色合いが再評価されている。

さらに、「ツールベルト世代」と呼ばれる、手に職をつけることに魅力を感じる若者層の影響も見逃せない。彼らの価値観が、実用的な美学と、アースカラーをはじめとする地に足のついた色合いへの潮流を後押ししている。そして何より重要なのは、色を「ウェルネスのためのツール」として捉える意識が高まっている点だ。各塗料メーカーは2026年を象徴するカラーが、いかに心身の回復や穏やかさ、精神的な充足感をサポートしてくれるかを強調している。

ここでは、各社が選ぶ2026年の「カラー・オブ・ザ・イヤー」をご紹介する。US版『エル・デコ』より。

From ELLE DECOR US

Benjamin Moore

「ベンジャミン・ムーア」の“シルエット”

塗料メーカーの「ベンジャミン・ムーア」が選んだのは、同社が命名した、エスプレッソとチャコールを合わせたような深みのある“シルエット AF-655”。

この色のインスピレーション源となったのは、定番として復活しつつある、クラシカルで仕立ての良いスーツスタイルだという。

「ファッションとインテリアの結びつきが、何度も何度も浮かび上がってきたのです」と語るのは、「ベンジャミン・ムーア」でカラーマーケティングのシニアマネージャーを務めるハンナ・ヨー氏。

この色の選定は、同社が「マイクロトレンド疲れ」と呼ぶ、SNSを中心に絶え間なく切り替わるデザイントレンドに対する消費者の疲労感とも結びついている。“シルエット”はそうした一過性のトレンドとは異なり、汎用性とクラシカルさを兼ね備えているカラーだという。

Sherwin Williams

「シャーウィン・ウィリアムズ」&「HGTVホーム・バイ・シャーウィン・ウィリアムズ」の“ユニバーサルカーキ”

塗料・コーティング剤メーカーの「シャーウィン・ウィリアムズ」と「HGTVホーム・バイ・シャーウィン・ウィリアムズ」がそろって選出したカラーは、“ユニバーサルカーキ”。

エレガントなベージュとカーキを掛け合わせたような色合いで、今回の選択はより大きな文化的なムーブメントを反映しているという。

特に、AIに代替されにくい“手に職をつける”ことに惹かれるZ世代の価値観や、世界的なストレスの高まりといった背景を受け、安心感と安定感を与える色が求められているとのこと。

「世界は今、とても深刻な時代を迎えています」と語るのは、「シャーウィン・ウィリアムズ」でカラーマーケティング部門のディレクターを務めるスー・ワッデン氏。「だからこそ、構造的かつ基盤となるような色こそが、いま語るべきストーリーだと思うのです」と続けている。

Courtesy Behr

「べーア」の“ヒドゥン・ジェム”

建築用塗料メーカーの「べーア」が選んだ“ヒドゥン・ジェム”は、光の加減で表情が変わる、スモーキーなジェイドカラー。

ブルーとグリーンが溶け合うこの色は、「新たなニュートラルカラー」として注目されており、存在感がありながら落ち着きをもたらしてくれる。

さらに「べーア」は、このカラーがどんな空間にも気軽に取り入れやすい点を強調。キッチンのアイランドカウンターやバスルームの洗面台にアクセントとして使うのはもちろん、壁から天井、窓枠までをすべて一色または同系色で仕上げる「カラードレンチング」にも適しているという。

「この色が似合わない部屋は存在しません」と語るのは、べーア・デザイナー・カウンシルのメンバーで、インテリアデザイナーのマニュエラ・モレイラ氏。「控えめにも大胆にも見せることができ、合わせる素材や仕上げによって、そのダイナミックな魅力がさらに引き出されるのです」

Courtesy Valspar

「ヴァルスパー」の“ウォーム・ユーカリプタス”

老舗塗料メーカー、「ヴァルスパー」は“ウォーム・ユーカリプタス”を2026年のカラーとして選出。近年高まっている、心を整えるような自然派のデザインへのニーズに応え、ヴィンテージ感のあるカラーパレットから着想を得た、温かみのある落ち着いたグリーンだ。

忙しさが増す現代において、郷愁を感じさせるような心地よさと静けさをもたらすカラーだとされている。「ヴァルスパー」では、この色を部屋全体に大胆に用いた全面塗りで取り入れることを推奨。特にバスルームやヌックなど、心身をリセットするための空間に最適なカラーとして提案している。

Courtesy Glidden

「グリデン」の“ウォーム・マホガニー”

塗料メーカーの「グリデン」は、深みと安定感を合わせ持つ“ウォーム・マホガニー”をセレクト。安全で個人的な色選びと、大胆でワクワクする選択のあいだで揺れる人に向けて、まさに理想的な「アンチトレンド」なカラーと位置づけられている。

この色は、親密で心地よいムードをつくりたいベッドルームや、キャビネットやアイランドカウンターに奥行きを加えたいキッチン、温かみのある集いの雰囲気を演出したいダイニングルームなどで特に効果を発揮。

また、「グリデン」は読書スペースやホームライブラリーでのカラードレンチングを推奨しており、異なる質感を組み合わせて立体感を出すテクニックも提案している。

クリームやブラッシュカラーと合わせればモダンでバランスの取れた仕上がりに、ナチュラルウッドや真鍮素材のアイテム、ジュエルトーンを組み合わせれば、よりドラマティックな雰囲気に仕上がるだろう。

Courtesy Little Greene

「リトル・グリーン」の“アドベンチャラー”

塗料&壁紙メーカーの「リトル・グリーン」が2026年の「カラー・オブ・ザ・イヤー」として発表したのは、プラムやオーバジン(ナス)を連想させる“アドベンチャラー”。

クリエイティブ・ディレクターのルース・モッターズヘッド氏によれば、これは「消費者のカラー選択がより自信に満ちてきたことを受けて、バーガンディやさらに深いジュエルトーンへと向かう自然な進化」であるという。

同社はこの色を「気品があり、安心感を与えるカラー」と説明。ベッドルームやダイニングルーム、バスルームなどに最適で、高級感と落ち着き、親密さ、そして安らぎを同時にもたらす空間づくりに向いている。

Courtesy Graham & Brown

「グラハム&ブラウン」の“ディヴァイン・ダムソン”

壁紙&塗料メーカー、「グラハム&ブラウン」が選出したカラーは、“ディヴァイン・ダムソン”。深いプラムにダークチェリーのニュアンスを含んだこの色は、同社が2026年も継続して提案する「ムーディなカラートレンド」を象徴している。

シニアスタイリスト兼トレンドスペシャリストのポーラ・テイラー氏は、こうしたジュエルトーンが持つタイムレスで普遍的な魅力こそが、インテリアやテキスタイル、ファッションといったカテゴリーを超えて愛される理由だと述べている。

“ディヴァイン・ダムソン”は単色でも強い存在感を放ち、ホームオフィスやバー、廊下などの空間に奥行きとスタイリッシュなムードをもたらしてくれるだろう。

Dutch Boy Paints

「ダッチ・ボーイ・ペインツ」の“メロディアス・アイボリー”

塗料メーカーの「ダッチ・ボーイ・ペインツ」が発表した2026年の注目カラーは、“メロディアス・アイボリー”。ソフトでクリーミーな質感に、ほんのり温かみのあるベージュで、住まいにおけるタイムレスな心地よさや上質さ、そして大切な人との有意義なつながりを象徴するカラーとして選ばれている。

この汎用性の高いニュートラルカラーは、モダンなミニマリズムから素朴なファームハウススタイルまで、あらゆるデザインに調和する。流行に左右されないベースカラーを求めている人にとって、手に取りやすい選択肢となるだろう。

「ダッチ・ボーイ・ペインツ」によれば、このカラーはスローリビングの考え方とも相性が良く、使い込まれた木材やハンドメイドのクラフト、心地よいテキスタイルと合わせることで、空間にやさしい温もりをもたらすとのこと。

Courtesy Krylon

「クリロン」の“コーヒービーン”

「クリロン」が選んだカラーは、“コーヒービーン”。深みのあるアースブラウンで、近年高まっているダークニュートラルカラーの人気を反映している。

同社のマーケティングマネージャー、リズベス・パラダ氏は、この色を選んだ理由について、「近年のムードが、粘土や木材、ストーンなどの自然素材から着想を得た、より地に足の着いた本物志向のデザインへとシフトしている」点を挙げている。

このカラーは、「クリロン」が提唱する「困難に立ち向かう不屈の精神」を象徴したものでもある。経済面での不安定さや過剰消費を抑える傾向を背景に、手仕事やクラフトマンシップ、ヴィンテージ家具の修復などが再び注目されており、その動きを称賛するカラーなのだ。

スプレーペイントとしても展開されている“マット・コーヒービーン”は、DIYでの家具の修復やクラフトプロジェクトとの相性も抜群で、骨の折れる作業のなかに美しさを見出し、実用的なクリエイティビティを称える、現代の価値観に寄り添ってくれるカラーといえそう。

Courtesy Minwax

「ミンワックス」の“スペシャル・ウォルナット”

木材着色剤などを提供する「ミンワックス」が2026年のカラーとして発表した“スペシャル・ウォルナット”は、温かみと大地を感じさせるブラウン系のカラーで、自然素材そのものの魅力を引き立ててくれる。

同社のカラー&デザインリードのリズベス・パラダ氏によれば、この色の選定には、現代のホームデザインを形づくる3つの大きな文化的潮流が反映されているという。

それは、デザインの軸として再評価されているウッド素材の存在感、物語性や温かみを宿したノスタルジックな魅力への回帰、そして長く愛され続ける普遍的なスタイルを求める消費者の動きだ。

C2 Paint

「C2ペイント」の“エペルネ”

塗料メーカーの「C2ペイント」が選んだのは、精緻でアースカラーらしい柔らかなオーカーカラーに、鉱物のようなニュアンスを含んだ“エペルネ”。シャンパーニュの生産地として名高く、石灰岩建築でも知られるフランスの村、エペルネにちなんで名づけられている。

繊細で洗練された淡いイエローのようなこのカラーは、ボザール様式や新古典主義期のヨーロッパのインテリアから着想を得ており、その汎用性の高さと温かみのある色合いから重宝されていたという歴史的背景を持つ。

インテリアデザイナーであり、「C2ペイント」のカラースペシャリストであるフィリッパ・ラドン氏は、“エペルネ”について、「ヨーロッパ的な影響を受けつつ、モダンなデザインにも自然に溶け込むクラシカルで適応力の高い色です」と述べている。

Courtesy of James Hardie

「ジェームス・ハーディ」の“アイアン・グレー”

外壁材メーカーの「ジェームス・ハーディ」が2026年のカラーとして選んだのは、“アイアン・グレー”。外壁や外装に使うカラーにおいて、2026年のトレンドを発表したのは同社が初めて。

同社の「ステートメント・コレクション」から選ばれたこの深みのあるドラマティックなニュートラルカラーについて、チーフ・マーケティング・オフィサーのサマラ・トゥール氏は、「建築が持つ個性を引き立てる色」と表現している。

トリムにくっきりとした“アークティック・ホワイト”を組み合わせればクリーンなコントラストが美しく引き立ち、同色を合わせれば、力強い世界観を演出することができる。

The Development

「パントン」の“クラウドダンサー”

色見本などを販売する「パントン」が選ぶ2026年の「カラー・オブ・ザ・イヤー」は白の一種である“クラウドダンサー”(カラーナンバーは11-4201)。

パントン・カラー・インスティテュートのエグゼクティブディレクター、リアトリス・アイスマン氏はこの色を「まるで新鮮な空気を吸い込むような、軽やかなカラー」と表現し、「慌ただしい社会のなかで心を落ち着かせる作用を持ち、慎重な判断や静かな内省の価値を象徴するもの」だと語っている。

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