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いま買える北欧家具の名作、ハンス J. ウェグナーの椅子10

  • 2025.12.9
Hearst Owned

北欧家具の黄金期を築いたハンス J. ウェグナー。その多くの椅子は、いまもデンマークの工房で丁寧につくられ続けている。ヴィンテージの人気が続く一方で、現行モデルにも現代の技術や素材による確かな魅力がある。サステナブルな木材の採用や精密なクラフトマンシップ、豊富な仕上げやサイズ展開など、現行だからこそ選べる価値も広がっている。本記事は、現在手に入れることができるウェグナーの名作を「ダイニング」「リビング」「インテリア性」「個性派」など暮らしのシーン別に厳選紹介。


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ハンス J. ウェグナーとは?

ハンス J. ウェグナー(1914~2007)は、北欧デザインを語るうえで欠かせないデンマークの家具デザイナー。17歳で木工マイスターという高度な職人資格を取得し、木と向き合う家具職人としてキャリアをスタートした。構造そのものを美しく見せる独自の発想から「椅子の詩人」とも呼ばれ、生涯で500脚以上の椅子を生み出したが、「人生でたった一脚の良い椅子をデザインできるか……いやそれは到底無理な話だよ」と語ったように、生涯を通じて椅子のデザインに真摯に向き合い続けた人物でもある。

ウェグナーの椅子が愛される理由は、見た目の美しさだけではない。軽さや強度、座り心地といった毎日の暮らしに欠かせない要素が備わり、長く使うほどにその良さが深まっていく点にある。アートピースとしての佇まいと、暮らしの道具としての実用性。その両方を兼ね備えた“暮らしのための名作”を数多く残したデザイナーだ。

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暮らしの中心となる、ダイニングにおすすめの椅子5選

ダイニングは、食事はもちろん、家族との会話やちょっとした作業など、毎日いちばん長く時間を過ごす場所。だからこそ、椅子には軽さや座り心地といった日々の使いやすさが欠かせない。ウェグナーの椅子は、見た目の美しさはもちろん、日常に寄り添う機能性を徹底して追求しているのが魅力。ここでは、代表作の“CH24(Yチェア)”をはじめ、繊細な意匠が光る“CH23”、なめらかなカーブを描く背もたれが体を支える“CH20”、晩年の魅力が凝縮した“PP58”と“PP68”など、暮らしの中心に置きたい5脚をセレクト。

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CH24(Yチェア)(1950)/カール・ハンセン&サン

1949年にデザインされ、1950年から正式に生産が始まったウェグナーの代表作“CH24”。美しい曲線のアームとY字の背もたれ、ペーパーコードの座面が軽やかさと快適さを両立し、長時間座っても疲れにくい設計だ。完成までに必要な工程は100以上に及び、その多くが熟練した職人の手作業によるもの。座面のペーパーコード張りだけでも1時間以上を要し、1脚に約120mものコードを丁寧に編み込むことで、長年使える強度としなやかな座り心地を生み出している。現行モデルではサステナブルな木材や多彩な仕上げが揃い、暮らしに合わせて選べる自由度が高いのも魅力。最近では子ども用モデルも登場し、家族の成長に寄り添う存在として選ばれている。美しさと日常性を兼ね備えた、暮らしの中心にふさわしい名作だ。

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CH24(Yチェア)
サイズ:W55×D51×H76×SH45cm
カラー・仕様:全32種の仕上げよりセレクト可能。
価格:¥104,500~

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CH23 チェア(1950)/カール・ハンセン&サン

1950年に発表された“CH23 チェア”は、ウェグナー初期の魅力が高く表れた一脚。背板に施された埋木のアクセントや、軽やかなフレーム、丁寧に編み込まれたペーパーコードなど、細部にわたって職人の技が見られる。無駄をそぎ落とした美しいライン構成で、横姿の美しさも際立っている。 現行モデルは当時の図面に忠実に復刻され、強度と仕上げの精度がさらに向上。軽くて扱いやすく、座り心地もやわらかいため、ダイニングでの食事や作業など、毎日の暮らしに寄り添う存在だ。装飾を抑えた佇まいはどんな空間にも自然に馴染み、長く使うほどに木の風合いが深まるのも魅力。

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CH23 チェア
サイズ:W50.5×D50.5×H78.5×SH44.5cm
カラー・仕様:フレーム材3種、仕上げ全5種、座面のペーパーコード2種。全18バリエーションよりセレクト可能。
価格:¥133,100~

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CH20 エルボーチェア(1956)/カール・ハンセン&サン

1956年にデザインされた“CH20”は、背からアームへと続く滑らかな曲木が身体にやさしく沿う心地よさを持つ一脚。1956年当時は製造が難しくプロトタイプのみの製作だったが、2005年に現代の加工技術によって復刻された。復刻にあたって現代の技術が生かされ、曲線の仕上げがいっそう美しく整えられている。 レザー張りの座面は耐久性と快適さを兼ね備え、短時間の食事から長時間の作業まで幅広く対応。現代の暮らしに寄り添う万能なウェグナー作品である。

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CH20 エルボーチェア
サイズ:W54×D47×H72.5×SH46cm
カラー・仕様:フレーム材2種、座面張地素材はファブリックとレザーあわせて7ランクのカテゴリー、仕上げ全5種(CHS Color 9色)からセレクト可能。
価格:¥130,900~

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PP58(1987)/PP モブラー

1987年にデザインされた“PP58”(写真右)は、ウェグナー晩年の思想が凝縮された、最後のダイニングチェアシリーズのひとつ。背板はシンプルながら緩やかなカーブで背中を受け止め、座面にはゆとりがあり、脚を組んでも窮屈さを感じさせない。「PPモブラー」の現行モデルは、木部の削りや接合が非常に精密で、手触りの滑らかさも格別。素材の選択肢も広く、どんなダイニングにも馴染む汎用性の高さが魅力だ。毎日の生活に無理なく溶け込み、長く使っても飽きない、“晩年のウェグナーらしさが凝縮した”一脚。

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PP58
サイズ:W58×D48×H70/72×SH42/44cm
カラー・仕様:フレーム材はオーク、アッシュ、ビーチ、ブラックの4種からセレクト可能。座面は革張。
価格:¥223,300~

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PP68(1987)/PP モブラー

1987年デザインの“PP68”は、“PP58”と同じウェグナー晩年のダイニングチェアシリーズだが、両者の最大の違いは座面にある。“PP58”がレザー張りの柔らかな座り心地を持つのに対し、“PP68”はペーパーコードの張り感が特徴で、身体を包み込むような座り心地と軽やかな印象で空間にも馴染みやすい。背から脚にかけてのシンプルな構造は共通しており、姿勢を自然に保てる設計。日常のダイニングでの軽やかさを重視するなら“PP68”、柔らかい座り心地を求めるなら“PP58”と、暮らし方に合わせて選び分けたい。

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PP68
サイズ:W58×D47×H70/72×SH42/44cm
カラー・仕様:フレーム材はオーク、アッシュ、ビーチ、ブラックの4種からセレクト可能。座面はロープ張。
価格:¥206,800~

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くつろぎの質を高める、リビングにおすすめの椅子2選

リビングの椅子に求められるのは、見た目の美しさ以上に、身体を預けたときの安心感や、深く息がつけるようなくつろぎの質。ウェグナーは職人としての確かな経験を生かし、背もたれの角度や座面の傾き、構造の強さなど、座り心地や使いやすさに関わる要素を徹底的に考えながらデザインした。“PP501 ラウンドチェア”と“CH25”は、どちらも、リビング時間そのものを豊かにしてくれるくつろぎのための名作だ。

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PP501 ラウンドチェア(1949)/PP モブラー

1949年に登場した“ラウンドチェア”は、その完成度の高さから“ザ・チェア”の名で呼ばれるようになり、「椅子の最高傑作」と称されるウェグナーの代表作。軽やかな籐張りの座面と優しい木の質感が魅力の一脚で、通気性がよく、自然な弾力のある掛け心地は、読書や会話などリビングでゆったり過ごす時間にぴったりだ。背とアームの接合部には、強度と美しさを両立するフィンガージョイントを採用しており、軽やかな見た目以上の強度を備えている。「PPモブラー」による現行モデルは、精密な加工と丁寧な仕上げにより、曲線の美しさや手触りがいっそう際立つ。日々の暮らしに穏やかな心地よさをもたらしてくれる一脚だ。

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PP501 ラウンドチェア
サイズ:W63×D52×H76×SH44cm
カラー・仕様:フレーム材はオーク、アッシュ、チェリー、ウォルナット、ブラックの5種からセレクト可能。座面はロープ籐張。
価格:¥1,282,600~

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CH25 ラウンジチェア(1950)/カール・ハンセン&サン

1950年に発表された“CH25”は、手仕事の美しさとくつろぎの質を兼ね備えたラウンジチェア。背と座面には400m以上のペーパーコードが使われ、熟練した職人が1脚ずつ丁寧に張り上げることで、柔らかを実現。また、袋編みを採用することで美しい模様もつくり出している。背もたれの角度や座面の傾きは、身体のラインに自然に沿うよう細かく調整され、長時間座っても疲れにくい。現行モデルは木材の乾燥管理や仕上げ技術が向上し、ペーパーコードの張りも安定、より快適な座り心地を実現している。リビングでの読書や家族の時間を、豊かなものへと変えてくれるウェグナーの代表作だ。

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CH25 ラウンジチェア
サイズ:W71×D73×H73×SH35cm
カラー・仕様:フレーム材2種、仕上げ最大5種、ペーパーコード2色よりセレクト可能。
価格:¥518,100~

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彫刻のように佇む、空間を格上げする椅子2選

空間に少し特別感を添えたいときに活躍するのが、彫刻的なフォルムをもつ椅子。ウェグナーの作品には、立体感のあるフォルムと、滑らかなラインの美しさなど、空間の中で際立つ佇まいを持つものが多い。中でも“PP503 ザ チェア”(写真左)は、世界で最も美しい椅子と称されるほど、曲線と構造のバランスが完璧。“PP505 カウ ホーン チェア”は置くだけで部屋にリズムと緊張感が生まれる。どちらもアートのように佇みながら、実用性も備えた空間を格上げする2脚だ。

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PP503 ザ チェア(1950)/PP モブラー

1950年に発表された“PP503”は、“PP501”をベースにレザー座面を採用したモデル。精巧なフィンガージョイントでつながる背とアームの曲線は、彫刻的な存在感を放ち、置くだけで空間の印象を引き締める。1960年、ケネディ大統領がテレビ討論会で実際に座ったことで世界的に知られるようになり、ウェグナーの象徴的作品となった。静かに存在感を放ち、空間をワンランク引き上げる力を持つ名作だ。

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PP503 ザ チェア
サイズ:W63×D52×H76×SH45cm
カラー・仕様:フレーム材はオーク、アッシュ、チェリー、ウォルナット、ブラックの5種からセレクト可能。座面は革張。
価格:¥1,023,000~

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PP505 カウ ホーン チェア(1952)/PP モブラー

1952年に発表された“PP505 カウホーンチェア”は、牡牛の角のように広がるアームの造形が名前の由来。背からアームへとつながる曲線がのびやかで、どこから見ても美しいシルエットを描く。コンパクトながら座り心地がよく、ダイニングの端やデスク、アクセントチェアとしても活躍する柔軟さが魅力。現行モデルは接合部の精度が高く、木材の削りも滑らか。また、背の中央に施された契が工芸的な美しさを引き立てている。置くだけで空間に心地よい緊張感とリズムを生み出し、部屋全体を引き締める存在となる一脚。

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PP505 カウ ホーン チェア
サイズ:W59×D45×H74/76×SH42/44cm
カラー・仕様:フレーム材はオーク、アッシュ、チェリーの3種からセレクト可能。座面は籐・革張。
価格:¥1,177,000~

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空間の雰囲気を変える、特別な存在感の椅子

空間にひとつ置くだけで雰囲気を一変させるのが、強い個性をもつ椅子。形の美しさはもちろん、その背景にある歴史やストーリーが空間に奥行きをもたらしてくれる。

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チャイナチェア(1944)/フリッツ・ハンセン

“チャイナチェア”は、ウェグナーが若い頃に、モダンチェアの4大ルーツのひとつとして位置づけられる中国の明代家具を研究し、その要素を北欧的に再解釈した初期の代表作。複雑な曲線で構成された姿は、凜とした気品が感じられ、伝統的な工芸品のよう。存在そのものにストーリー性があり、玄関や書斎、寝室など小さなスペースに置いても、不思議と空間が引き締まる。初期のウェグナー作品ならではの造形美を楽しめる、唯一無二の一脚。

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チャイナチェア
サイズ:W55×D55×H82×SH45cm
カラー・仕様:ベースはラッカー仕上げ無垢材(チェリー)、塗装仕上げ無垢材(ブラックアッシュ)の2種。レザーシートは複数のラインナップよりセレクト可能。
価格:¥1,207,800~

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