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27年前、大ヒットホラーと共鳴した“祈りの旋律” 恐怖の物語を支えた“安らぎのメロディ”

  • 2026.2.20
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※Google Geminiにて作成(イメージ)

「27年前の冬、あの静まり返った夜の匂いを覚えているだろうか?」

1999年。デジタル化の波が押し寄せ、音楽シーンが華やかなサウンドで埋め尽くされていた時代。世紀末という言葉がリアリティを持って響く中、人々の心にはどこか得体の知れない不安が潜んでいた。そんな喧騒とは無縁の場所から、ある一曲がひっそりと、しかし確かな体温を持って届けられた。

ORIGINAL LOVE『STARS』(作詞・作曲:田島貴男)――1999年2月3日発売

削ぎ落とされた音に宿る、圧倒的な純度

ORIGINAL LOVEとしての14枚目のシングルとしてリリースされたこの『STARS』は、実にストイックで、潔い仕上がりだった。

田島貴男が自ら作詞、作曲、そして編曲のすべてを手がけたこの作品には、一切の虚飾がない。耳を澄ませば、一音一音が必然性を持ってそこに置かれていることがわかる。ギターのストロークひとつ、ドラムの残響ひとつにまで神経が行き届いたサウンドは、当時の流行であった過剰な音圧とは一線を画していた。

だからこそ、ヘッドフォンを通じて聴くその音像は、まるで田島貴男という表現者の息遣いが目の前で聞こえるかのような、生々しい質感を伴って迫ってくるのだ。

恐怖の裏側に潜む、安らぎのメロディ

この楽曲は、テレビドラマ『リング~最終章~』の主題歌として制作された。当時、日本中を震撼させていた「呪いのビデオ」を巡る恐怖の物語。その重苦しい物語の終わりに流れたこの曲は、ドラマが放映されていた夜の静寂と、奇妙なほどに共鳴していた。

緊迫したシーンの後に訪れる、この穏やかなメロディ。それは単なる癒やしを超えた、「生と死の境界線」を見つめるような不思議な安らぎを視聴者に与えていた。

映像作品との親和性は極めて高く、ドラマの余韻を消すことなく、むしろ物語の一部として溶け込んでいた。暗闇の中でこそ光が際立つように、重苦しいテーマの裏側で鳴り響くこの旋律は、どこか救いのような祈りの光を湛えていたのである。

時代を越えて響き続ける、静かなる意思

1999年という年は、音楽が大量消費される時代のピークでもあった。チャートの動きは激しく、流行は瞬く間に上書きされていった。そんな中で、この曲は「代わりのきかない一曲」としてファンや音楽好きの間で大切に守り続けられてきた。

流行が風化し、多くの音が記憶の彼方へ消えていく中で、この曲が今なお色褪せないのは、これが「売れるための数式」ではなく、「鳴らさざるを得なかった感情」によって作られているからだ。

今、改めてこの曲を聴き返すと、四半世紀以上の時間が経過しているとは到底思えない新鮮さに驚かされる。27年前の冬に放たれた一筋の光は、今もなお、静かな夜を過ごす誰かの心を、優しく、そして確かに照らし続けている。この曲が持つ「静かな強さ」こそが、時代に流されない本物の音楽が持つ証なのだろう。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。