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40年前、静岡の怪物が放った“衝撃のデビュー作” 主要タイトルを総なめにした「無骨でポップなロックンロール」

  • 2026.2.13

まだ街にレコードショップが溢れ、深夜のラジオ番組が若者たちの孤独に寄り添う一番の親友だった1986年。春の気配が混じり始めた3月、一つのバンドが静かに、しかし鮮烈にシーンへ現れた。

CADILLAC『悲しきRadio Station』(作詞:米森正樹・作曲:CADILLAC)――1986年3月25日発売

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Google Geminiにて作成(イメージ)

彼らが鳴らしたのは、どこか懐かしく、けれど新しい“ロカビリー”の響き。一度聴いたら忘れられない、胸を締め付けるようなグッドメロディが、当時の空気感を一変させた。

アマチュア界の頂点を総なめにした“静岡の怪物”

1982年12月、静岡県で結成されたCADILLAC。彼らがデビュー前に残した足跡は、今振り返っても驚異的だ。1985年には、数々のスターを輩出した“ポプコン”こと「ヤマハポピュラーソングコンテスト」で準グランプリに輝き、さらに若手ミュージシャンの登竜門として知られた「フレッシュ・サウンズ・コンテスト」にて、見事グランプリを獲得。まさにアマチュア界の主要タイトルをことごとく手中におさめ、満を持してのメジャー・デビューだったのである。

そんな彼らが1986年に世に放ったのが、このデビュー曲だ。アイドル黄金期の真っ只中にあって、彼らはあえて無骨で、けれど最高にポップなロックンロールを貫き、確かな実力を世に知らしめたのだ。

地方の少年たちが抱いた“純粋すぎる”憧れ

メジャー・デビューシングルとなったこの曲は、米森正樹が紡ぐどこか感傷的な言葉と、バンドのルーツであるロカビリーのビートが見事に融合している。

華やかな芸能界の喧騒とは一線を画した、地方の少年たちが抱く焦燥感や憧れをそのまま音にしたような純粋さが、聴く者の心を強く揺さぶった。

特筆すべきは、米森のボーカルが持つ圧倒的な存在感だ。少年のような危うさと大人の色気を併せ持ち、聴く人を一瞬で楽曲の世界観へと引き込んでしまう。

派手なデジタルサウンドが主流になりつつあった時代に、彼らの鳴らす生身のサウンドは、言葉にできない孤独を抱える若者たちの心に深く刺さった。

時代を超えて響き続ける“現在進行形”の鼓動

その後、バンドは1980年代後半を駆け抜け、1989年に一度は活動に区切りをつけることとなる。

しかし、彼らの物語はそこでは終わらなかった。2003年、結成当時のオリジナルメンバー3人によって活動再開。単なる「懐かしのバンド」としての復活ではなく、今なおライブハウスのステージに立ち、新しい楽曲を生み出し続けているのだ。

あれから40年という月日が流れた。音楽を聴くデバイスも、情報の受け取り方も劇的に変わったけれど、この曲が持つ“魔法”は少しも衰えていない。

むしろ、年齢を重ねた今の彼らが鳴らすビートには、当時とはまた違う深みと説得力が宿っている。『悲しきRadio Station』を聴き返すと、不思議とあの頃の街の匂いや、誰かを想って眠れなかった夜の感覚が鮮やかに蘇ってくる。

たとえラジオから流れる音楽が変わっても、私たちの心の中にある「あの1曲」は、ずっと同じ場所で鳴り続けている。そして今日もどこかの街で、彼らは変わらない情熱を胸に、ロックンロールを鳴らし続けているはずだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。