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20年前、媚びないメロディを震わせた“最強の姉妹” ジャンルを超越した至高のダンスナンバー

  • 2026.1.31

2006年2月。冷え切ったアスファルトの上を、風を切って歩きたくなるような、そんな衝動を呼び起こす一曲が放たれた。当時、R&BやHIP HOPの枠組みを軽々と飛び越え、日本の音楽シーンに鮮烈な刺激を与えていた実の姉妹ユニットがいた。

SOULHEAD『Pray』(作詞・作曲:SOULHEAD)――2006年2月1日発売

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Google Geminiにて作成(イメージ)

姉のYOSHIKAと妹のTSUGUMI。作詞、作曲、さらにはトラックメイクの根幹までを自ら手がける彼女たちは、単なる「シンガー」ではなく、稀代の「クリエイター」だった。この11枚目のシングル『Pray』は、そんな彼女たちの持つ圧倒的なスキルと、決して媚びないクールな姿勢が凝縮された一曲である。

凍てつく空気を切り裂く、緻密で大胆な音のうねり

この楽曲の核心にあるのは、聴き手の体温を瞬時に沸騰させるような重厚かつタイトなビートだ。

イントロが鳴り響いた瞬間、そこはもう冬の寒さを忘れるようなダンスフロアへと変貌する。彼女たちの武器であるメロディアスなラップと、艶やかなボーカルが複雑に絡み合い、まるで迷宮を駆け抜けるような快感をもたらしてくれる

特筆すべきは、その緻密なコーラスワークだ。姉妹という、これ以上ないほど純度の高い「重なり」が、楽曲に強固な推進力を与えている。一切の無駄を削ぎ落としたソリッドなサウンドの中で、二人の声が火花を散らすように響き渡る。

タイトルの「Pray(祈り)」という言葉から連想される静寂とは対照的に、ここにあるのは「自らの力で未来を切り拓く」という強い意志を感じさせる、エネルギッシュな響きだ。

冬の凛とした空気の中でこの曲を聴くと、不思議と背筋が伸びるような感覚になる。それは彼女たちが放つ、媚びない美しさとプロフェッショナルな矜持が、音の端々から溢れ出しているからに他ならない。

時代のアイコンと火花を散らした、伝説の“鏡合わせ”

2006年の冬、音楽ファンが最も胸を熱くさせたエピソードのひとつが、歌姫・倖田來未との衝撃的なコラボレーションだろう。

このシングル『Pray』のカップリングには、『XXX feat. KODA KUMI』という楽曲が収録されている。これは、当時「12週連続シングルリリース」という伝説的な挑戦の最中にあった倖田來未の第3弾シングル『D.D.D. feat. SOULHEAD』と対になる、いわば「アンサーソング」のような存在だった。

『D.D.D.』自体も、SOULHEADが楽曲提供とプロデュースを手がけた作品。同じメロディやコンセプトを共有しながら、アーティストごとのカラーで全く異なる表情を見せるという、非常に実験的で贅沢な仕掛けだった。

トップを走る表現者たちが、互いの才能を認め合い、リスペクトを持ってぶつかり合う。そんな時代の熱気と、音楽を楽しむ遊び心が、この一枚にはぎっしりと詰め込まれていたのだ。

20年経っても色褪せない“本物”の輝き

今、改めてこの曲に耳を傾けると、当時の彼女たちがどれほど時代を先取りしていたかに驚かされる。

流行に左右されない骨太なトラック、聴くたびに新しい発見がある重層的なボーカル、そして何より、音楽に対する圧倒的な誠実さ。

彼女たちが紡いだ旋律は、単なる「懐メロ」として消費されることはない。今この瞬間に聴いても、心臓を直接揺さぶられるような新鮮な衝撃を与えてくれる。

「あの頃の自分」を思い出しながら、あるいは「今の自分」に活を入れるために。20年の時を経てもなお、SOULHEADの音楽は私たちの日常に、最高にクールな刺激を注ぎ込み続けているのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。