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32年前、続編として放たれた“異例の第二章” 50万ヒットを記録した“終わらせない”歌

  • 2026.1.23

1994年元日。前年の大ヒットが街の空気に深く染み込み、誰もがあのフレーズを口ずさめる状況の中で、物語はまだ終わっていなかった。むしろ、終わらせてはいけないと、多くの人がどこかで感じていたのかもしれない。

THE 虎舞竜『ロード〜第二章』(作詞・作曲:高橋ジョージ)――1994年1月1日発売

前年に社会現象的な広がりを見せた『ロード』の“続き”として届けられたこの曲は、期待と戸惑いの両方を背負いながら、新しい年の幕開けとともに世に放たれた。

「続編」であることを引き受けた覚悟

THE 虎舞竜は、ボーカルの高橋ジョージを中心としたロックバンドだ。『ロード』で一気に名前が知られる存在となった彼ら。そのヒット曲の「続編」という明確な意志を持った『ロード〜第二章』だった。(ちなみに『ロード』の後には、『道化師』と『ひとりぼっちのクリスマス』と2曲ほどシングルをリリースしている)

『ロード〜第二章』は、全十三章で構成される『ロード』という長い物語群の第二章にあたる。

特筆すべきなのは、サビ部分の歌詞が第一章と同一である点だ。一方で、メロディはわずかに変化が加えられている。この差異は偶然ではない。同じ言葉を使いながら、違う時間、違う距離感を描こうとする試みだった。

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1993年、第35回日本レコード大賞でのTHE 虎舞竜(C)SANKEI

静かに変わったメロディが示すもの

『ロード〜第二章』は、基本的な世界観を共有しながらも、第一章とは明確に異なる印象を残す。

それはサウンドが大きく変わったからではない。むしろ、メロディラインのわずかな揺らぎや、歌の運び方に感じられる“間”の変化によるものだ。

高橋ジョージのボーカルは、言葉の重みを一つずつ置いていくような歌い口へと変化している。同じフレーズが繰り返されるからこそ、聴き手は「時間が進んだ」ことを音の違いから自然と受け取る。この設計が、第二章を単なる焼き直しではなく、別の風景として成立させている。

数字が物語る“期待と支持”

『ロード〜第二章』は、結果として50万枚を超えるセールスを記録した。

これは前作の爆発的なヒットと比べれば控えめに映るかもしれない。しかし、続編という性質を考えれば、この数字は極めて象徴的だ。

物語の続きを描くという行為は、必ずしも万人に歓迎されるものではない。それでも、多くの人がこの第二章を手に取ったという事実は、『ロード』という作品が一過性のヒットではなく、感情を預けられる物語として受け止められていたことを示している。

「終わらせない」ことの強さ

1994年という時代は、音楽の消費スピードが加速し始めた頃でもあった。そんな中で、『ロード〜第二章』は派手な変化や新奇性を打ち出すのではなく、あえて同じ場所に立ち続ける選択をした。それは保守的だったのではない。物語を途中で放り出さないという、強い覚悟の表明だった。

この第二章があったからこそ、『ロード』は単なるヒット曲ではなく、長く語られるシリーズとしての存在感を獲得していく。続きがあると知っている物語は、聴き手の中で簡単には終わらない。

32年経った今でも、『ロード〜第二章』が持つ余韻は、なんでもないように静かに胸の奥で鳴り続けている。それは、終わったはずの旅が、まだどこかで続いていると信じさせてくれる音なのかもしれない。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。