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30年前、大人気バンドが放った“愛の叫び” 50万枚ヒットを記録した“究極の不器用ソング”

  • 2026.1.16

1996年2月、街の空気はどこか軽やかで、それでいて人の感情は今よりずっと表に出ていた気がする。恋愛も、喜びも、失敗も、少し大げさなくらいがちょうどよかった時代。ラジオやテレビから流れてきたその曲は、特別な演出も、気の利いた言い回しもなかったのに、なぜか胸の奥に一直線で飛び込んできた。

気持ちを伝えることが、こんなにも単純で、こんなにも難しい。 そんな当たり前の事実を、あらためて思い出させてくれたのが、この一曲だった。

ウルフルズ『バンザイ〜好きでよかった〜』(作詞・作曲:トータス松本)――1996年2月7日発売

ウルフルズと10枚目のシングル

『バンザイ〜好きでよかった〜』は、ウルフルズにとって10枚目のシングルとしてリリースされた楽曲だ。前月に発売されたアルバム『バンザイ』に収録され、アルバム発売から約2週間後にシングルカットという形で世に出た。

当時のウルフルズは、前作シングル『ガッツだぜ!!』のヒットによって、一気に世間の視線を集めていたタイミング。勢いに乗る中で届けられたこの曲は、派手さよりも感情の核心を重視した構えが印象的だった。

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トータス松本-2003年撮影(C)SANKEI

不器用さが生んだ、最大の魅力

この曲の最大の魅力は、装飾を極力そぎ落としたストレートさにある。美辞麗句を重ねるのではなく、言葉そのものを信じて前に出す。その姿勢が、トータス松本の歌声と強く結びついている。

ボーカルは技巧を誇示するものではなく、感情がそのまま音になったような質感を持つ。「イェーイ 君を好きでよかった」からはじまる歌いだしから、うまく言えない気持ちを、うまく言えないまま差し出す。 その不器用さこそが、この曲を特別なラブソングにしている。

ロングヒットへと続いた時間

シングルとしては50万枚を超えるセールスを記録し、発売後にはフジテレビ系ドラマ『勝利の女神』の主題歌に起用されたことで、さらに多くの人の耳へと届いた。

また、アルバム『バンザイ』自体も、『ガッツだぜ!!』を含む構成で100万枚を超えるセールスを記録。アルバムとシングルが相互に作用しながら、この曲の存在感を長く保ち続けたことも特筆すべき点だ。

胸に残る「よかった」という言葉

派手なクライマックスがあるわけでもない。それでも曲が終わったあと、不思議と心が温かくなる。それは、「好きでよかった」という言葉が、結果や見返りではなく、感情そのものを肯定してくれるからだろう。

30年という時間を経ても、この曲が色あせないのは、恋のかたちが変わっても、人が誰かを想う気持ちだけは変わらないからだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。