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私たちは何歳から大人になる? 科学から見えてきた答え

  • 2025.12.3
映画『25年目のキス』(1999)より。
99barrymore_20000529_08903.jpg映画『25年目のキス』(1999)より。

長い間、意思決定や衝動制御を司る脳の前頭前野は25歳ごろまで完全に発達しないと信じられてきた。しかしこれは俗説にすぎず、おそらく25歳までの脳のスキャンを調べた古い研究に由来している。とはいえ、私たちは「25歳」という年齢を耳にして真に受けてしまった。おそらく、ちょうどよく聞こえたというのもあるだろう。それに23歳のころ、私たちはまだまだ子どもだったはずだ。

それでも、私たちの脳が一定の成熟度に達するのはいつごろなのかに興味があるのなら、(熱心なTikTokerによる投稿でなく)ある新しい研究結果を参考にしてみてもいいかもしれない。0歳から90歳までの約4000人の脳をスキャンしたケンブリッジ大学の研究によると、脳は30代前半まで「思春期」のままだということが明らかになった。そう、私たちの脳は32歳くらいになるまで“大人”ではない。これは20代後半になっても漫然と過ごしている人たちにとって朗報だ。大人になるまでの時間はまだある。

オープンアクセスの学術雑誌『Nature Communications』に掲載されたこの研究によれば、脳は生涯を通じて「幼少期」、「思春期」、「安定した成人期」、「前期老化」、「後期老化」と5つの段階に分かれ、4つの重要な“ターニングポイント”によって再構成されるという。脳の「幼少期」は誕生から9歳のターニングポイントまでで、そこから平均して32歳まで続く「思春期」へと移行するそうだ。ケンブリッジ大学のリサーチコミュニケーションマネージャーであるフレッド・ルーシーは、「30代前半になると、脳の神経配線が大人モードに移行します。この時期が最も長く、30年以上続きます。66歳ごろに迎える第3のターニングポイントは、脳構造の『前期老化』の始まりです。そして最後に、83歳ごろに『後期老化』の段階に入ります」と綴っている。

この発見は、かなり大きな意味を持つことがわかっている。このリサーチを率いたゲイツ・ケンブリッジ奨学生のアレクサ・マウズリーは、「人間の生涯にわたる脳の配線の主要な段階を初めて明らかにした研究」だとし、「これらの時期は、人生のさまざまな段階において私たちの脳が何を得意とし、あるいは何に対してより脆弱であるかを示す重要な背景を与えてくれるもの」だと付け加えている。

とはいえ、すべてを鵜呑みにしてはいけない。言わずもがなだが、32歳で突然魔法がかかったように賢くなったり、論理的思考ができるようになるわけではないからだ。脳の構造はこのころに安定し、その後30年間は大きく変化しないと言った方が正確だろう。

32歳ごろからの「成人の安定期」は、ほかの研究にも基づいた「知能と人格のプラトー期(成長や学習の停滞期)」に相当すると研究者たちは言う。詰まるところ、自分のやり方から抜け出せなくなるということだ。少なくとも、ベビーブーマー世代の親たちが頑固である理由の一端は、これに関係していると言えるのかもしれない。

Text: Daisy Jones Adaptation: Motoko Fujita

From VOGUE.CO.UK

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