親「うちの子はそそのかされた」小5女子の“集団万引き”。全員の親から届いた「信じがたい言い訳」に担任が絶句

こんにちは。元小学校教員ライターの、みずいろ文具です。

教員として働いていると、子ども同士のトラブルだけでなく、「親の感情が絡む出来事」に直面することも少なくありません。

今回は、今でも強く印象に残っている出来事をお話しします。

校区のドラッグストアから衝撃の連絡

それは、私が5年生の担任をしていた頃。
放課後、職員室でテストの丸つけをしていると、教頭が電話を取り「ドラッグストアの店長さんから」と私に受話器を渡してきました。

嫌な予感がして出ると、店長さんはこう言いました。

「あのね、あなたの学級の女の子4人が、万引きをしてしまって…」

ネイルやコスメなど、合計30点ほど。
リュックいっぱいに商品を詰め、店を出ようとしたところで声をかけられたそうです。

さらに店長さんからは「カメラをチェックする子、見張りの子、リュックに商品を入れる子と役割を分けていた」と説明があり、私は言葉を失いました。

学級では明るく素直に見える子たちだっただけに、ショックが大きかったのです。

さらに詳しく聞くと、その日のうちに、保護者の方々は揃って店舗へ出向き、謝罪を済ませたとのこと。
それを聞いて、まずは少しだけ安堵しました。

翌日、女の子たちに確認すると、すでに家庭でもお店でも厳しく叱られていたのでしょう。

「絶対にもうしない」「大変なことをしちゃった」としょんぼりしていました。

「先生も、あなたたちのことを信じているからね。もう、2度と繰り返さないでね」
と伝え、この件は終わったかに思えました。

その日の放課後、私のもとに保護者から電話がかかってきました。

「昨日の件、聞いてますよね。今日、指導してくださったみたいで、ありがとうございました」

と、ここまではよかったのですが…。

「うちの子は、〇ちゃんにそそのかされたみたいなんです。」
と、話が続きました。

「〇ちゃんが『大丈夫だよ、カメラ見てるから』って。みんなでおそろいのネイルにしようって。しつこかったみたいです」

「うちの子はそんなことする子じゃないのに。もう関わってほしくない」

他の子に責任転嫁する話が、延々と続きました。

驚いたことに、電話は一本で終わりませんでした。

万引きをした子の保護者たち全員からかかってきて、そのたびに他の子のせいにする説明を繰り返したのです。

「我が子は他の子に悪い影響を受けただけ。かわいそうだ」と…。

正直、その時間がとても苦しかったのを覚えています。

わが子が万引きをしたと聞いたら、信じられない、受け入れたくない、という気持ちになるのは親として当然のことです。

でも、「信じられない」ことと「起きた事実」は別です。

子どもたちは、確かにその場にいて、商品を手に取り、持ち去ろうとしました。

もし大人の世界なら、「誘われたから」「言い出したのは自分じゃない」だけで済む話ではありません。

子どもにも、少しずつ“責任の持ち方”を身につけていく必要があります。

私は電話の中で、こうお伝えしました。

「お気持ちは分かります。でも、誰が言い出したかではなく、今回の出来事をどう受け止め、子どもたちにどう向き合っていくかが大切だと思います」

間違いを犯したとき、大人がどう対応するかは、子どものその後に大きく影響します。

本当に子どものためを思うなら、誰かを悪者にするのではなく、事実を受け止めて次にどう進むかを考えることです。

長い電話を切ったあと、どっと疲れが押し寄せました。

あの子たちがこの経験を「人生の学び」にできるか、それとも「友達のせいで巻き込まれた不運な出来事」にしてしまうかは、周りの大人の関わり方次第だったはずです。

子どもが間違えたときに大切なのは、起きた事実から目をそらさず、次にどう進むかを一緒に考えること。

私自身が親になった今も、あの日のことを思い出すたびに、そう自分に言い聞かせています。

ライター：みずいろ文具

関東の公立小学校で15年間、子どもたちと向き合ってきました。教室での日々を通して感じた喜びや戸惑い、子どもたちから教わったことを、今は言葉にしています。教育現場のリアルや、子どもたちの小さな成長の瞬間を、やさしい視点でお届けします。