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子「〇〇君に叩かれた」親「許せない!」→園に抗議した結果。ベテラン保育士が明かす“真相”に赤面

  • 2025.12.28
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、今年で保育士歴13年になる、現役保育士のめじです。

保育園に預けていると、園での様子は連絡帳や子どもの話でしか知ることができません。

だからこそ、我が子が「◯◯くんに叩かれた!」と言ってきたら、思わずそのまま信じてしまうのは、保護者としては自然な反応だと思います。

しかし、実際の保育現場では「子どもの言葉だけ」を根拠に状況を判断されると、誤解が大きくなってしまうことがあります。

今回は、私が2歳児クラスの担任をしていた時に経験した、子どもの話を信じすぎてしまう保護者とのやり取りで感じた難しさについてお話しします。

毎日のように届く“子どもの言葉だけ”の連絡帳

2歳児クラスは、友だちとの関わりが一気に増える時期。その分トラブルも多くなり、日々の中で小さな感情のぶつかり合いが起こる年齢です。

また、言葉も増え思ったことをそのまま口にします。

そのため、事実とは違う伝わり方になることもしばしば。

そんな時期のあるご家庭との連絡帳では、お子さんから伝え聞いたお友だちとのトラブルに関する記述が頻繁に見られました。

「◯◯くんに叩かれたと言っていました」「お友だちにこう言われて泣いていました」

こうしたご報告が続くこともありました。

もちろん、保護者が心配する気持ちはよく分かります。

しかし実際の場面を確認すると、決して一方的なものではありませんでした。

玩具の取り合いの途中に手が出てしまったり、互いに「いやだよ」「貸してよ」と主張し合っている最中だったり、背景には必ず子ども同士のやり取りが存在していたのです。

経緯を伝えると納得してくれるけれど…

そこで私たちは、毎回丁寧に経緯を説明し、「一方的なトラブルではないこと」「子ども同士で解決のプロセスがあったこと」を保護者へ共有しました。

保護者の方も話を聞くと「そうだったんですね。わかりました」と納得してくれることが多く、大きなトラブルに発展することはありませんでした。

しかし、我が子を思う保護者の方のお気持ちも痛いほど理解できるからこそ、私たちの伝え方にもどかしさを感じる日々でした。

どうすれば、園での学びのプロセスを共有し、同じ方向を向いて成長を見守っていけるのか。

この経験は、私たち保育者にとっても、保護者とのコミュニケーションのあり方を深く考えさせられる出来事となりました。

子どもを信じることと、話を鵜呑みにすることは違う

保護者にとって、子どもはかけがえのない存在。

泣いた、叩かれた、嫌なことを言われた、その言葉に心が揺れるのは当然です。

しかし、トラブルのたびに大人が先回りして解決してしまうと、子どもは「困ったときは、大人が何とかしてくれる」と考える機会が増えてしまうかもしれません。

もちろん状況や内容によりますが、ときには見守ることも子ども自身が学び成長していく上で大切なプロセスになるのです。

2歳児の人間関係は、小さな社会の入り口。

トラブルを経験し、相手の気持ちを知り、自分の思いを言葉で伝える力を育てていく大切な時期です。

そのためにも、私たち保育者と保護者が同じ視点で子どもの成長を見守ることが必要です。

“ちょっと引いて見守る”ことが子どもの力を育てる

子どもを信じることは大切です。

でも同時に、「子どもの語彙力では説明しきれなかった部分があるかもしれない」「自分の感情が強く出て事実と違う表現になっているかもしれない」と柔らかく受け止めることも重要です。

子ども同士のやりとりには、大人が思っている以上に多くの学びが詰まっています。

泣いた経験、ぶつかった経験、うまく言えなかった悔しさ。その一つひとつが、相手の気持ちを知り、自分の思いを伝える力につながっていきます。

だからこそ、私たち大人がすべて先回りして解決してしまうのではなく、

「今、この子は何を学んでいる最中なのか」

「どんな関わりが、この子の力になるのか」

を一緒に考えていけたらと思うのです。

保護者と保育者が同じ方向を向き、子どもの成長を信じて見守ること。

それが、トラブルを“問題”ではなく“成長のきっかけ”に変えていく一番の近道なのだと、日々の保育の中で感じています。



ライター:めじ

幼稚園、保育園と保育経験を重ね、今年で13年目に突入しました。保育の仕事の中で感じた思いや子どもたちとのやりとり、育児と仕事の両立の事など経験をもとに言葉にしています。


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