首都高「使えなくなります」一部のETC車載器で…国交省が注意喚起「最長で2030年頃まで」

高速道路の料金所をスムーズに通過できるETCは、多くのドライバーにとって欠かせないシステムです。しかし今、そのETC車載器が大きな転換期を迎えています。

国土交通省および高速道路各社から、「現在お使いの一部のETC車載器は、最長で2030年頃までに使えなくなります」といった案内が出されているのです。

2025年12月1日、首都高速道路株式会社の公式X（旧Twitter）アカウントが同様のアナウンスを投稿し、注目を集めました。

セキュリティ強化のための規格変更決済情報保護が目的

国土交通省によると、ETC車載器のセキュリティ規格変更は、情報機器の能力向上に伴うセキュリティ脅威の増大への備えとして実施されます。セキュリティ規格とは、料金所・車載器・ICカードについて、盗聴・改竄等の不正防止を目的に定められた情報安全確保の規格のことです。

重要なのは、現時点で現行のセキュリティに問題が発生したわけではないという点です。あくまで将来的なセキュリティリスクに備えた予防的な措置として、より強固なセキュリティ機能を持つ新規格への移行が進められています。

旧セキュリティ規格の車載器を使い続けると、ETCでの決済情報を保護できなくなる可能性があるため、規格変更後は使用できなくなります。

気になるのは「いつまで使えるのか」という点ですが、国土交通省の公式発表では具体的な時期は未定とされています。現行のセキュリティに問題が発生しなければ、最長で2030年頃までとなる予定です。

ただし、セキュリティに問題が発生した場合は、変更時期が早まる可能性があると明記されています。つまり、2030年頃というのはあくまで「最長」の見込みであり、状況次第では前倒しになる可能性もあるということです。

自分が使っているETC車載器が旧セキュリティ規格なのか新セキュリティ規格なのかを確認する方法は、大きく分けて2つあります。

1つ目は車載器管理番号での確認です。車載器管理番号は19桁の番号で、取扱説明書・保証書、車載器セットアップ申込書・証明書、または車載器本体で確認できます。この19桁の始まり（左詰）の数字で区分されており、「1」で始まる場合は新セキュリティ対応、「0」で始まる場合は旧セキュリティ対応となります。

2つ目は車載器の識別マークでの確認です。ETC車載器（専用）の場合、「●●●」のマークがあれば新セキュリティ対応、マークがなければ旧セキュリティ対応です。ETC2.0車載器の場合は、「ETC2.0」のロゴと「■」のマークの組み合わせで判別できます。

ただし、車載器の型式により識別マークがない場合もあります。上記の方法で識別できない場合は、購入した販売店またはセットアップ店に確認することをおすすめします。

なお、国土交通省によると、2018年8月時点で新旧セキュリティ対応品が併売されていたため、比較的新しい車載器でも旧規格の可能性があります。購入時期だけで判断せず、必ず確認することが大切です。

詳しくは、国土交通省の公式Webサイト「新・旧セキュリティ対応車載器の識別方法」をご確認ください。

旧セキュリティ規格の車載器をそのまま使い続けると、規格変更後はETCレーンを通過できなくなります。高速道路の料金所で突然使えなくなってしまうと、後続車との事故やトラブルの原因にもなりかねません。また、決済情報が保護できなくなる可能性もあるため、セキュリティの観点からも早めの対応が推奨されます。

新しい車載器に交換する際は、セットアップ手続きや登録が必要となります。セットアップには時間がかかる場合もあるため、余裕をもって対応することをおすすめします。特に2030年が近づくと、交換希望者が集中して手続きに時間がかかる可能性も考えられます。

まずは自分の車載器が旧規格か新規格かを確認し、旧規格であれば早めに交換を検討しましょう。販売店やカー用品店、整備工場などで相談できます。

セキュリティ規格の変更は、より安全にETCを利用するための措置です。突然使えなくなって慌てることのないよう、今のうちから準備を進めることが大切です。