「喉に何かが張り付いている気がする…」　医師が教える原因と対処法とは

2025.11.30

「喉に何か張り付いている感じがする」…多くの人が一度は経験するこの違和感。食べ物が詰まったような圧迫感から、痛みや不快感まで、原因はさまざまです。最近ではストレスによる症状も増えており、医療機関への相談件数も多くなっています。本記事では、医師の知見をもとに、喉の“張り付く感覚”の主な原因と、状況別の対処法をわかりやすく解説します。

実はこんな原因が多い

喉に異物感や張り付くような不快感を覚えると、多くの人が「何かが詰まったのでは」と不安になります。しかし実際には、幅広い原因が関わっていることがあります。

主な原因としては次のようなものが挙げられます。

食べ物や異物の詰まり
食事中の小さな食べ物片が喉に引っかかり、一時的に異物感を引き起こすことがあります。
のどの炎症
かぜ・扁桃炎・咽頭炎などの感染症、声の使いすぎ、喫煙、アレルギーなどで喉が炎症を起こしている場合、腫れが“張り付く感覚”として現れます。
鼻づまり
鼻の通りが悪く、粘液が喉へ流れ込む「後鼻漏（こうびろう）」が起きると、喉に粘つきや重さを感じることがあります。
逆流性食道炎
胃酸の逆流は喉まで届くことがあり、ヒリつきや異物感を生じやすくなります。
ストレス・不安（咽喉頭異常感症）
明らかな原因がなくても、精神的ストレスで喉の筋肉が緊張し、「何か引っかかっている」と感じることがあります。検査で異常が見つからないのに症状が続く人も多いのが特徴です。

症状が長引く場合や、痛み・飲み込みづらさ・声の変化が続く場合は、喉頭の病気も含めて医療機関での評価が必要です。

原因別にできる対処法と受診の目安

喉の違和感は、原因によって対処法が大きく異なります。代表的なケースごとに、有効な方法を紹介します。

1、食べ物や異物の場合

咳をして自然に排出を試みる
背中を軽く叩いてみる
呼吸困難・強い詰まりがある場合は直ちに救急要請

2、のどの炎症

声を休める
温かい飲み物で喉を保湿
加湿器・のど飴などで潤いを保つ
症状が強い場合は医療機関の受診（細菌感染なら抗生物質の対象）

3、鼻づまりによるもの

鼻うがい
蒸気吸入（温かいシャワーなど）
アレルギー対策
市販薬は使いすぎに注意

4、逆流性食道炎

胃に負担の少ない食事
寝る前の飲食を控える
上体を少し高くして寝る
薬物療法が必要なこともあるため長引く場合は受診を

5、ストレス・咽喉頭異常感症

深呼吸・ストレッチ・瞑想などでリラックス
生活リズムの改善
加湿・温かい飲み物で喉をケア
漢方薬が処方されることもあり、医師へ相談が推奨

特に受診したほうがよい症状は、下記の4つです。

2週間以上続く喉の違和感
飲み込みにくさ、息苦しさ
声がれが長く続く
強い痛みや発熱を伴う

喉の違和感は原因が多数…見過ごさず受診を

喉に何か張り付いているような感覚は、食べ物の詰まりから軽い炎症、鼻づまり、逆流性食道炎、そしてストレスによるものまで幅広い原因で起こります。多くはセルフケアで改善しますが、症状が長引く・悪化する場合は専門的な診断が必要です。

気になる違和感が続く場合は、早めに耳鼻咽喉科や内科に相談し、適切な治療を受けましょう。

監修者：浅草橋西口クリニックMo 頴川博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。