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24年前、4人が放った“紫の衝撃” 新世紀を駆け抜けた“疾走ダンスポップ”

  • 2025.12.17

「24年前、街を照らしていた“紫の光”を覚えてる?」

2001年の始まり。世の中は20世紀から21世紀へと大きく舵を切り、未来という言葉が今よりずっと艶やかに輝いていた。冬の冷たい空気の中でも、街には何か新しい時代のリズムが脈打っていて、若いエネルギーが街を染めていくようだった。そんな“新世紀の鼓動”を象徴するように登場したのが、この曲だった。

DA PUMP『Purple The Orion』(作詞:m.c.A・T・作曲:AKIO TOGASHI)――2001年1月11日発売

DA PUMPが放つキレのあるダンスと煌めくビート。それらが“紫の星座”のように冬空へ広がり、テレビや街角のスピーカーから一斉に鳴り響いた。ホーユー「Beauteen」とのCMタイアップもあいまって、華やかでポップな輝きは一気に広がっていった。

未来を引き寄せるように躍動した4人の存在感

『Purple The Orion』は、DA PUMPにとって13枚目のシングル。ISSA、KEN、YUKINARI、SHINOBUの4人が“チームとしての完成形”が光っていた時期で、この曲にもその結束が鮮明に刻まれていた。

ファンキーでありながら洗練されたDA PUMPらしいダンスチューンを支えていたのが、m.c.A・Tの言葉選びと、富樫明生が紡ぐメロディライン。どこを切っても勢いとキャッチーさが溢れ出すような構成で、聴くたびに身体が自然と揺れてしまう高揚感があった。

4人が放つ存在感は、単に“踊れるグループ”を超えて、当時のJ-POPシーンをしなやかに押し広げる力を持っていたと思う。

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2001年、ファンクラブ限定のプレミアムライブを行ったDA PUMP(C)SANKEI

“紫”で統一された美意識とビートの心地よさ

近未来的なシンセと滑らかなベースライン。その上を軽やかに駆け抜けるビートは、まるで街に点在するネオンがひとつの星座を描いていくような、都会のクールさと遊び心が混じり合った質感だった。

メンバー4人のボーカルとラップが交互に流れていく構成も、疾走感を強めるポイント。ISSAの伸びのある声が夜空を突き抜けるようで、KENの荒々しいラップのアプローチが、音の隙間にしなやかさを与えていた。テンションを高める曲でありながら、決して騒がしくならない。

心の奥がふっと浮き上がるような“軽やかなキラめき”が持続するところが、この曲の魅力の核心だと言える。

DA PUMPが示した“4人の成熟”とその先の物語

『Purple The Orion』は、クォーターミリオン(25万枚)を達成。だが数字以上に注目したいのは、グループとしての4人の成熟度だ。

1990年代後半からヒットを重ね、ダンス&ボーカルグループの先駆けとしてシーンを牽引してきた彼ら。2001年のこの時期には、確立したスタイルに更なる余裕と遊び心が加わり、パフォーマンスにもどこか“貫禄”が漂いはじめていた。

ホーユー「Beauteen」CMと結びついた華やかなビジュアル表現により、曲とグループの両方の魅力が立体的に広がっていき、当時の若い世代へ強い印象を焼き付けた。あの頃の4人が放った“紫の光”は、時代の空気と結びついて、いまも鮮やかに記憶を呼び覚ます。

あの冬空に瞬いた4人の“オリオン”

思い返せば、『Purple The Orion』は新世紀のスタートラインで輝いた一曲だった。あの頃、街のネオンの間を駆け抜けるように、4人のパフォーマンスが夜空の星をつなぐ線のように見えたことを覚えている。疾走するビートとともに、未来への期待が胸にじんわりと灯るような感覚。

時間の流れとともに思い出に変わったとしても、曲が鳴り出した瞬間、その頃の空気が静かに戻ってくる。まるでオリオン座の星々が、冬の夜にふと輪郭を取り戻すように。今もまた、その光は静かに、けれど確かに輝き続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。