進行速度が早い『スキルス胃がん』→医師が教える“なりやすい人”と初期症状とは【医師の監修】

胃がんの中でも特に進行が速いとされる「スキルス胃がん」。あまり聞き慣れないかもしれませんが、注意が必要な胃がんです。一般的な胃がんとは少し違った特徴を持っているため、なりやすい人やその初期のサインを理解することが、大事なポイントです。この記事では、その特徴やリスク、初期症状についてわかりやすく説明していきます。

スキルス胃がんの特徴と気をつけたい人とは？

スキルス胃がんは、他の胃がんと比べて胃の壁を厚くしてしまうのが特徴です。このため、胃の内側に腫瘍が大きくできるというよりは、胃全体が硬く縮まる変化が起こりやすいとされています。こうした進み方をするため、初期の段階では発見が難しいこともあります。胃の壁の変化が進むと食べ物が胃を通りにくくなるなどの影響が出るため、進行の速さに注意が必要です。

まだよくわかっていない部分もありますが、スキルス胃がんになりやすい人は、次のような人たちだと言われています。

• ピロリ菌に感染している、または過去に感染したことがある人
• 胃のごく浅いところにある粘膜萎縮や慢性胃炎の長期経過がある人
• 家族歴で胃がんのある人（とくに若い世代の発症があるとリスクとされる場合があります）
• 塩分の高い食事や喫煙、過度の飲酒を習慣的に行っている人

これらの条件があると、スキルス胃がんも含めた胃がんのリスクが比較的高くなる可能性が指摘されています。

初期症状を見逃さないために知っておきたいサイン

スキルス胃がんは進行が早いため、初期症状が現れにくいことが特徴ですが、注意深く自分の体の変化をチェックすることは決して無意味ではありません。初期の段階で見られる可能性のある症状には以下のようなものがあります。

• 胃のあたりの違和感や軽い痛みが続く
• 食欲不振や満腹感がいつもより早く感じられる
• 体重が知らないうちに減少している
• 吐き気や嘔吐を繰り返す
• 貧血症状（疲れやすさ、顔色の悪さなど）が出る場合もある

こういった症状は、胃の他の病気でも見られることが多いため単独で確定することは難しいですが、継続する場合や普段と違う変化を感じた時には、専門医に相談することが推奨されます。定期的な上部消化管内視鏡検査や経過観察が重要とされています。胃バリウム検査での初期病変の検出は非常に難しく、ある程度進行して伸展不良な状況となった際には胃バリウム検査での評価が可能となります。

近年は内視鏡技術の向上や画像診断の進歩で、早期発見の可能性も高まっています。定期的な健康診断や胃の検査を受けることは、早期発見につながる手助けになるでしょう。そして、診断・発見が非常に難しいことからも内視鏡検査を受ける場合には、検査や治療を専門に行われている内視鏡施設での検査をお勧め致します。

食生活の面では、塩分を控えめにし、野菜や果物を積極的に取ることや、喫煙や過度の飲酒を控えることが胃の健康に良いと考えられています。とはいえ、これらの対策をしたからと、発症を防げるというわけではありません。

日々の変化に気づくことから始めよう

進行が速いスキルス胃がんは、早期発見・早期対応が難しいケースもあるため、その分、胃のリスク要因や初期症状の理解が重要になってきます。また、胃の違和感や体調に変化を感じたら自己判断せず、専門医に相談することも大切です。

胃の健康を守るためには、日頃から自分の体の声に耳を傾け、内視鏡検査に力をいれている専門施設での検診を受けておくことが安心につながるでしょう。

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池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック 東京豊島院 院長：柏木 宏幸

東京女子医科大学消化器内科に入局後、複数の医療機関で胃・大腸内視鏡を中心とした臨床経験を積み、同大学病院助教を経て2023年に現クリニックを開院。胃がん・大腸がんの早期発見と内視鏡検査の普及をミッションに掲げ、健康診断や生活習慣病の治療をはじめ、一般内科および消化器疾患の診療、内視鏡検査と幅広く取り組んでいる。また、クリニックのYouTube(https://www.youtube.com/@HKa-wb4jw)を通じて医療知識や内視鏡検査の重要性をわかりやすく発信し、医療情報の普及活動にも尽力中。

都内トップクラスの内視鏡設備を完備し、土日診療対応、胃・大腸カメラ同日検査、専門医による鎮静下内視鏡、女性医師による検査体制など、患者さんの苦痛を抑えたきめ細かな検査環境を提供。今後も一人でも多くの患者様が安心して内視鏡検査を受けられるよう、質の高い医療サービスを追求し続ける。

池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック東京豊島院：https://www.ikebukuro-cl.com