1. トップ
  2. 27年前、4人が放った“ラテンの衝動” 2度目の紅白出場を果たしたワケ

27年前、4人が放った“ラテンの衝動” 2度目の紅白出場を果たしたワケ

  • 2025.12.11

「27年前、あの夏の夜風って、どんなリズムで吹いていたっけ?」

街を歩くたび、どこからともなくダンスサウンドが聞こえてきた。蒸し暑い空気に、ネオンの光。アスファルトに反射する夕陽さえ、どこか踊っているように見えた1998年の夏。

その空気を象徴するように、ある曲が全国のスピーカーを一気に“熱帯夜仕様”へと変えていった。

MAX『Ride on time』(作詞:松井五郎・作曲:横山輝一)――1998年7月22日発売

4人のダンスと熱いビートがひとつになり、街の空気を高揚させた。真夏の記憶のどこかに、ふと蘇るような一曲だ。

灼けた夏に鳴り響いた“ラテンの衝動”

MAXの10枚目のシングルとしてリリースされた『Ride on time』は、彼女たちのキャリアの中でもひときわ鮮やかに輝くラテン系ダンスナンバーだった。

ダンスミュージックのムーブメントがさらに加速していた時代。海外のラテンポップが日本でも話題を呼んでいた中、この楽曲はその潮流を真正面から受け止め、日本的なポップスの中に“情熱”と“躍動”を巧みに組み込んでみせた。

松井五郎の言葉が生む都会的なクールさと、横山輝一が描くホットなグルーヴ。この両極の温度が交差した瞬間、MAXのダンスが完成させる“夏の物語”が生まれた。

undefined
MAX-1998年撮影(C)SANKEI

体温を上げるサウンド、呼吸を合わせたボーカル

この曲の魅力の核心は、やはりそのビートだ。イントロから溢れ出すパーカッションの切れ味。そこへ絡みつくようなメロディライン。しかし決して暴走せず、どこか上質な空気もまとっている。

MAXのボーカルは力強いのに軽やかで、ラテンの熱を纏いながらも、日本のポップス特有の“抜け感”を絶妙に保っている。4人の声が重なる瞬間には、思わず身体がリズムを追いかけてしまうような衝動的な高揚感があった。

数字が示す存在感と、ステージでの圧倒力

セールスは30万枚以上を記録。ダンスボーカルグループが群雄割拠していた1998年において、この数字は決して小さくない。

さらに『Ride on time』で彼女たちは「第49回NHK紅白歌合戦」へ2度目の出場を果たす。全国に生中継されたステージは、当時MAXの人気と勢いを象徴する瞬間だった。

もちろん、忘れられないのは彼女たちのダンスだ。スピード感のある振り付けと、表情まで含めた演出力。その“トータルパフォーマンス”こそが、この曲を単なるダンスナンバーではなく、MAXの代表曲として記憶に刻ませた

1998年の夏が持っていた“熱量”とともに

『Ride on time』が愛され続ける理由は、音の強さだけではない。あの夏の空気、街のざわめき、テレビやラジオから流れるラテンビート。それらの記憶すべてが、この曲を聴いた瞬間に一気に蘇る。

そして何より、MAXが当時持っていた輝き。4人がステージで放つ熱量は、曲そのものを“時代の熱”として定着させた。今聴いても、イントロひとつで体温がすっと上がる。夜に強くなる。踊りたくなる。

それこそが、真夏のダンスアンセムとして生き続ける『Ride on time』の力なのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。