1. トップ
  2. 加熱したのに『牡蠣にあたる』のはなぜ?管理栄養士が教える食中毒を防ぐポイント

加熱したのに『牡蠣にあたる』のはなぜ?管理栄養士が教える食中毒を防ぐポイント

  • 2025.11.27
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

冬から春にかけて旬を迎える牡蠣は、その濃厚な旨みと栄養価の高さで人気の食材です。でも、よく加熱しているのに「牡蠣にあたってしまった…」という話を耳にしたことはありませんか?安全なはずの加熱調理でも食中毒になるのは、どうしてなのでしょうか?

この記事では、そんな疑問をわかりやすく解説しながら、食中毒予防に役立つポイントを管理栄養士の視点からご紹介します。

加熱しても食中毒に?牡蠣が原因となる主な理由とは

牡蠣は海のミネラルやタンパク質、ビタミンなどの栄養を豊富に含み、旨みも濃厚で食卓を彩る人気の食材です。しかし、細菌やウイルスなどの感染リスクも抱えているため、扱い方には注意が必要です。加熱して食べたのにあたってしまう背景にはいくつかの原因が考えられます。

まず、牡蠣はウイルスの中でも特にノロウイルスの感染源として知られています。ノロウイルスは少量でも感染力が強く、加熱することで死滅させることができますが、中心部まで十分に熱が通らないと安全とは言えません。一般的に、牡蠣などの二枚貝は、中心部が85℃~90℃で90秒以上加熱することが推奨されています。ただし、加熱ムラがあると内部まで十分に熱が通らず、十分にウイルスが死滅しないこともあるため、中心までしっかりと火が通っていることを確認する必要があります。

牡蠣にはノロウイルスのリスクがよく知られていますが、それだけでなく、加熱では分解されない貝毒なども存在します。国内流通の牡蠣では貝毒による食中毒は稀ですが、漁場や季節によってリスクが変わるため、販売者や自治体の情報を確認することが大切です。

さらに、調理後の二次汚染や保存状態の問題も見逃せません。加熱した牡蠣を常温で放置したり、清潔でない調理器具や手で触ると、細菌の再付着や増殖が起こることがあります。こうした原因が重なると、加熱済みでも「牡蠣にあたる」問題につながるのです。

気をつけたい!安全に牡蠣を楽しむための工夫

undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

では、どのようにすれば牡蠣による食中毒を防ぎやすくなるのでしょうか?管理栄養士のアドバイスをもとに、大切なポイントをまとめました。

・牡蠣は新鮮で品質の良いものを選ぶ
信頼できる販売店で購入し、身の色やにおいなど鮮度を確認してから使うことが基本です。

・加熱は中心部までしっかり火を通す
特に蒸し牡蠣や焼き牡蠣は、身の厚い部分が冷たいままにならないよう注意が必要です。

・調理後はすぐに食べるか、冷蔵保存する
常温で長時間放置すると細菌が増える可能性があります。

・調理中や保存時には手洗いや調理器具の洗浄をしっかり行う
二次汚染を防ぐために手洗いや器具の洗浄を徹底し、清潔さを保つことが重要です。

・生食用と加熱用の牡蠣は区別して使用する
生食用はより厳しい安全基準で管理されています。加熱用の牡蠣を生で食べるのは避けましょう。

牡蠣を楽しみつつ食の安全にも気を配ろう

加熱して食べたはずなのに「牡蠣にあたった」と感じるのは、調理時に中心部まで十分に加熱がされていなかったり、加熱後に衛生管理が十分でなかったりする可能性が考えられます。ノロウイルスや貝毒のリスクをしっかりと理解し、調理後はできるだけ早く食べるか、冷蔵保存して細菌の増殖を防ぎましょう。安全においしく牡蠣を楽しめるでしょう。

食中毒を完全に防ぐことが難しい面もありますが、ポイントを押さえることでリスクを減らし、安全においしく牡蠣を楽しむことができますよ。


監修者:工藤まりえ

大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。