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「ただの不倫」「理解に苦しむ」“美化された脚本”に苦言も…だけど「よく引き受けたな」現役アイドルの“体当たり演技”光る名ドラマ

  • 2025.11.15

恋愛ドラマの中でも、長く議論と熱を呼ぶのが「不倫」をテーマにした作品です。誰もがいけないことと知りながらも、そこに映し出される感情の生々しさや美しさに、心を奪われてしまう。それはきっと、愛と罪、現実と幻想、その狭間で揺れる人間の本質が描かれているからなのでしょう。

本記事では、第2弾として若者と年上の女性――異なる世代の間に生まれる禁断の恋を描いた作品、永瀬廉さん主演で話題を集めた、テレビ朝日系ドラマ『東京タワー』をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です。
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます。

あらすじ

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テレ朝ドラマ『東京タワー』会見に参加した板谷由夏(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『東京タワー』(テレビ朝日系)
  • 放送期間:2024年4月20日〜6月22日(毎週土曜23:00〜23:30放送)

大学生の小島透(永瀬廉)は、友人と訪れたパーティーで年上の女性・浅野詩史(板谷由夏)と出会います。どこか孤独を抱えたような詩史に惹かれ、偶然の再会をきっかけに、二人の距離は急速に近づいていきます。
詩史には夫がいる。それを知りながらも、透は“恋に落ちる”ことを止められない。彼の中で芽生えた感情は、憧れでも冒険でもなく――「愛そのもの」でした。一方で、詩史もまた、忘れかけていた“女としての自分”を透に見いだしていく。若さと成熟、情熱と理性、恋と罪悪感。そのすべてが絡み合うように、二人は抜け出せない関係へと沈んでいきます――。

「不倫を美化しないで」「不倫なのになんでこんなに切なの…」ーーさまざまな感情が渦巻いた禁断の愛

今作は、江國香織の同名恋愛小説が原作です。21歳の透(永瀬廉)と20歳以上年の離れた人妻・詩史(板谷由夏)との許されない愛を描いています。原作は2001年に刊行され、2005年には岡田准一さん、黒木瞳さん主演で映画化され、大きな話題となりました。

今作を2024年版で主演を務めた永瀬さんのコメントに、2005年版の映画で透を演じた岡田さんからSNSを介しコメントが寄せられるなど、新旧主演俳優の交流も注目を集めました。

放送前から注目の作品であった今作。放送後、SNSには正反対の感情が入り混じる声が多く寄せられました。「純愛みたいに不倫を美化しないで」「ただの不倫」「理解に苦しむ」――禁断の恋を“純愛”として描くことに、抵抗を感じる視聴者の声です。確かに『東京タワー』は、若者のまっすぐな想いと、年上の女性が見せる切なさを丁寧に重ね合わせています。けれどその“美しさ”が、同時に痛みを生んでいる。だからこそ、「不倫を美化しないで」という言葉が、より鋭く心に残るのです。

一方で、もうひとつの声も多くの共感を集めました。「不倫なのになんでこんなに切ないの「不倫だけど綺麗というか儚い」「不倫はダメなんだけど…」という声も印象的です。“不倫なのに切ない”、“美しくあっちゃいけないのに美しい”、この矛盾こそが『東京タワー』という作品の核心なのかもしれません。人の心は、白か黒かで割り切れない。罪を知りながらも惹かれ合ってしまう――その“弱さ”にこそ、人間らしい真実があることを、この作品は静かに語っていました。

永瀬廉×板谷由夏が魅せた、“成熟の恋”のリアル

板谷由夏さんが演じた浅野詩史は、家庭を持ちながら年下の青年と恋に落ちる女性。その姿には、単なる“不倫相手”ではなく、“人としての葛藤”がありました。彼女の演技は、どこまでも静かで、繊細。視線の動き、沈黙の間、言葉にならない呼吸のひとつひとつに、“愛してしまった後悔”と“愛さずにいられなかった想い”が滲みます。

若い恋人役の永瀬廉さんとの対比も見事で、“恋に落ちる瞬間”と“恋を終わらせる覚悟”を同時に背負うような演技が印象的でした。詩史という女性を通じて、板谷さんは“成熟の恋”のリアルを描き出し、視聴者に「愛とは何か」「幸せとは何か」を静かに問いかけてくれたのです。

さらに、トップアイドルとして活躍する永瀬廉さんの見事な体当たり演技にも目が離せません。派手な言葉や動きではなく「視線」「微かな震え」「沈黙」という演技で“小島透の感情”を繊細に表現していました。

SNSでは「よく引き受けたな」「哀愁漂う佇まい」「全てが美しい」など称賛の声が相次ぎ、俳優としての存在感をさら強めた作品となりました。

『東京タワー』ぜひご覧ください!

『東京タワー』は、年齢や立場を超えた“許されざる恋”を、ただ刺激的な不倫劇としてではなく、“人間の感情”として描いた作品でした。「不倫を美化しないで」という声も、「不倫物語なのになんでこんなに切ないんですか…」という声も、どちらもこの作品が本気で“愛の正体”を描こうとした証拠。

永瀬廉さんの繊細な感情表現、板谷由夏さんの成熟した演技。その二つが重なり合い、観る人に“恋の痛みと温度”を静かに刻みつけました。“愛してはいけない人を愛してしまった”――その儚さを、こんなにも美しく描いたドラマがあったでしょうか。


※記事は執筆時点の情報です